カリキュラム


Humanities

自分の考えは本当に正しいのか
自らを問い直せる力を養う

Humanitiesは「人間」について学ぶ領域です。人間とその文化の多様性を理解し、自己を省みることは、平和を考えるにあたって極めて重要な役割を担います。たとえば海外スタディ・ツアーでインドに友人ができたとしましょう。しかし、単に知り合いになっただけではインドの社会や宗教、価値観といったことにいきなり踏みこんでいくことはできません。立場や価値観の違いを前提としつつ、信頼しあえる平和的な関係を築くためには、自他の文化や歴史について学びながら「対話」を繰り返す必要があります。しかし、人間は他人の意見を聞いていても、それを自分の価値観の中で判断しがちな生き物です。お互いが狭くゆがんだ知識をもったまま「対話」を繰り返しても、そこから良い結果は生まれてきません。そこで大切なのは、自分の考えや「常識」が本当に正しいのかどうかを常に問い直すことができる力です。この力を養うのがHumanities(人文学)の役割です。

Associate Professor 植田かおり UEDA Kaori

文学の疑似体験や芸術の感性が
人間を学ぶことにつながる

たとえば、文学は虚構によってひとつの世界観を構築し、その中に読者を誘い込むことで自分とは違う価値観、人生を体験させます。物語の中には不条理なことも悲惨な出来事も描かれていますが、それを読み、思考と感情を揺さぶられることは人を成長させます。疑似体験することで自分の価値観が絶対的ではないことを理解し、日常を疑うことができるようになるのです。ほかにも、芸術は社会と文化に大きな影響を与えています。感性について学ぶことは人間の生について深く学ぶことにつながっていきます。現代の「対話」には、自他を相対化する力を養うHumanities(人文学)の知恵と、現代社会で起きていることを理解し、グローバルな視点から社会実践を考える社会科学(SocietiesとGlobal Studies)の知恵の両方が必要です。GLA学部で学ぶ領域がこの3つであるのは「対話」する力を身につけるためなのです。

「人間」を理解するためには「対話」が欠かせない


Societies

社会の成り立ち、あり方を学び
よりよい世界への変容を担う

Societies(社会と共生)の領域は、社会の構造や複雑性を理解し、社会のあり方と変容にむけた方策を学ぶ領域です。ここには3つの重要なキーワードがあります。1つは「サステナビリティ(持続可能性)」。経済の繁栄、人間の尊厳の保持、環境の保護をすべて実現した平和な世界をつくるためには、既存の社会から新しい社会の制度や仕組みへと変える必要がありますが、その土台となるキーワードです。2つめは、「インクルージョン(包摂)」。グローバル社会では多様な人々がお互いを受け入れ、認め合い、多様性を維持しながら、共に生きていくことが必要です。ダイバーシティ(多様性)をさらに一歩進めた考え方です。そして3つめが「イノベーション(革新)」。多様なニーズを同時に実現するためには、これまであたりまえと捉えてきた制度や仕組みそのものを変えていくことが必要です。そのためには新しい技術のみならず、異なる分野の人や知識のあらたな組み合わせが鍵となります。

Associate Professor 石井雅章 ISHII Masaaki

多様な人々が認め合い、共に生きていく
平和な社会を実現するリーダーへ

Societiesの領域では、サステナビリティ、インクルージョン、イノベーションの視点から社会を考える授業を多数用意しています。たとえば、“ 住み続けられるまちづくり”をベースに国際社会から地域コミュニティに至るさまざまな課題を考える「社会とサステナビリティ」、マイノリティの視点から社会のあり方を捉えなおす「社会と多様性」、人間社会と技術の関係から新たな社会システムの可能性を考察する「現代社会とイノベーション」といった科目は、Societies 領域を象徴するカリキュラムです。こうした社会と共生にまつわる教養を幅広く身につけることで、学びに対して、他者に対して、そして未来に対しての“ 信頼”を強固なものにし、周囲の人々に良い影響を与えながら、平和な社会を実現するリーダーシップを育んでいきます。

社会を理解するためには多様性の先にある包摂が大切


Global Studies

国家という枠組みを超えて生まれつつある
新しいグローバル社会のあり方を学ぶ

グローバルな視点から教養を学び、それを平和のためにどう活かすかを考える。それがグローバル・リベラルアーツ(GLA)学部での学びです。たとえばGlobal Studiesでは「グローバル・ガバナンス」という科目があります。これは、さまざまな人・国家・組織が協働して世界を治めるという考え方のことで、「協治」とも呼ばれています。現在、地球上には世界政府は存在していませんが、国連のような国際機構(IGO) やCSO ( 市民社会組織)(NGOとも言います)、社会貢献する企業、そして市民がいます。そうした人々や組織が、国家を超えたネットワークを組んで、さまざまな国家と協力しながら世界全体を支えているのが現代のグローバルな社会です。たとえば、SDGs(持続可能な開発目標)の目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、平和、人権、開発、環境問題をめぐり、国連・国家・CSO・企業・市民がパートナーとして協力して取り組むという意味です。つまり、SDGsとはグローバル・ガバナンスの実践です。

Professor 阪田恭代 SAKATA Yasuyo

世界における多様性を理解し、
平和に貢献する

しかし、「グローバル・ガバナンス」の実践は決して簡単なことではありません。世界にはさまざまな考え方やライフスタイルがあり、その多様性を理解してはじめて平和への貢献ができます。そのためにGLA 学部では中国やヨーロッパなどの地域と世界の関わりを考える「地域とグローバル世界」や、現代の平和をどう捉えるかを考える「グローバル平和論」といった科目なども学んでいきます。Global Studies の領域では、国際貢献や国際協力といった従来の枠組みを超えて、いま生まれつつある新しいグローバル社会の仕組みやあり方を学びます。世界に関わり、平和に向かって何かを成し遂げるために、「人間」(Humanities)と「社会」(Societies)についてグローバルな視点から考える。GLA 学部がめざすのはそういう視点をもった21世紀のリベラルアーツです。