①日米中のトリリンガルを目指して邁進する日々

わたしの両親は中国の出身で、父は長春、母は無錫で生まれ育ち、それぞれ日本の大学に留学している頃に出会い、結婚してわたしが生まれました。家庭では中国語や日本語でコミュニケーションをとっていたので、外国語はわたしにとって身近なものでした。英語に触れたのは3歳くらいの頃で、英語教室に通ったり、児童英語教材を使ったりして英語を勉強していました。そのおかげで英語はずっと得意です。高校は多国籍な学生が集まるインターナショナルクラスのある学校へ入学できました。
その後進学した名古屋外国語大学の世界教養学部は、各国の言語や文学、音楽、芸術、またジェンダー論などさまざまな教養を学べます。英語に加え、絵を描くことも好きでしたので、非常に魅力的でした。また、2カ国へ留学する際にかかる費用を全額負担してくれる支援制度があります。一定のTOEFLのスコアとGPAをとった学生のみ、その制度を利用できるのですが、大学2年生の時に念願通り合格ラインを超えることができ、アメリカと中国への留学が決まりました。アメリカに1年間、中国に半年間留学することになったのですが、アメリカ留学中にコロナ禍になってしまい、留学生活は9カ月ほどで終わってしまいました。中国への交換留学は中止になりましたが、諦めきれず2020年8月から翌年の5月まで、親戚のいる広州にある大学附属の語学学校で中国語を学びました。

②英語・絵・ダンス、やりたいことはすべて実行

途中帰国になったものの、アメリカ留学中はとにかくやりたいことをやりました。学部の授業に加え、デッサンなどを学ぶ芸術コースがあったので、そのコースの教授を訪問し、それまで描いてきた絵を見せながら「授業を受けさせてください」と直談判しました。その結果、絵の実力と熱意を認めてもらい、授業を受講できることになりました。単位互換の対象ではないため、単位を得ることはできませんが、絵を描くことが大好きだったので飛び込んでいきました。主に聴講する学部の授業と異なり、同コースの授業は作品を作り上げ、自分の作品について皆の前で発表することがルールでした。大変でしたが、どのような意図で作ったかなどを説明することはとても勉強になりました。
また、ダンスサークルの活動も非常に刺激的でした。高校時代からダンス部に所属していたので、アメリカでも絶対ダンスをやろうと決めていたわたしは、ヒップホップ系ダンスチームのトライアウトを受けました。チームの20人のうち、ほとんどがアフリカ系アメリカ人で、わたしが普段聞いていた英語と違いすぎてコミュニケーションが取れるか不安でしたが、それでも絵と同じように言葉が無くても繋がれると感じていたので、思い切って受けました。結果は見事合格。わたし以外にも入部希望者がいて、皆一緒に入部できました。その中の一人ととても仲良くなり、食事やダンスの練習に一緒に行くようになりました。そのおかげで、初めはついていけなかった会話のスピードにだんだんと慣れてきて、他の部員の皆とも仲良くなりました。練習も毎日がんばり、学内大会で優勝することができたのです。思い切って参加して本当に良かったと思っています。

③留学の次は第10回プレゼンテーションコンテスト

2021年7月頃、より高い英語力を求め、英検やTOEICなど受けていましたが、もっと違う形で英語の実力を試せる機会が無いかと探していました。そんな中、第10回プレコンについて知ったのです。日頃からよく聴いているTEDトークのようでかっこいいと思い、すぐに応募しました。
出場するにあたり決めていたことは「とにかく笑顔で自信満々にやること」です。そのためには入念な準備が必要でした。二次予選はオンライン開催でしたが、しっかりと言いたいことが伝わるよう、抑揚をつけることに気をつけました。妹とZoomを繋いでシミュレーションをして、目線などのアドバイスをもらい準備しました。質疑応答についてもA4の原稿用紙3ページ分くらいで想定質問と回答をまとめました。他にもジェスチャーなど、プレゼンテーションで気をつけるべきことはすべて準備したと思います。その甲斐あって、全体を通して自信をもってプレゼンテーションすることができたと思っています。
わたしはプレゼンテーション自体が得意というわけではありません。ただ、どんなに論理的なことを喋っていても結論部分では、いかに気持ちを込めて訴えているかが大切です。そのため、とにかく気持ちの強さを見せることに重点を置いていました。

④小学生が楽しく、効率的にフェイクニュースを学べるアイデア

漫画を教材としてフェイクニュースを小学校で学ぶというアイデアは、検討に2カ月ほどかかりました。メディアリテラシーについて調べていたところ、これまでのフェイクニュースの事例やフェイクニュースを読み解く方法などがまとめられたサイトなど、既に情報は沢山出ていることに気が付きました。今後、メディアリテラシーについて学ぶ上で、既存のものと異なるアプローチを考えていたところ、小学6年生の時にドラッグについて学ぶ際に読んだ漫画が非常に印象的だったことを思い出しました。わたしの提案におけるターゲットは小学生でしたので、自身の小学生時代を思い出し「フェイクニュースも漫画であればみんな楽しく学んでくれるのでは」と思いました。
また、実態を調査するためにアンケート調査と現地調査を実施しました。アンケート調査では、日本・アメリカ・中国の友達に依頼して、約400人から回答を得ることができました。その結果見えてきたものは、日本の学生のフェイクニュースに対する意識の低さです。「フェイクニュースを知らない」といった回答も多かったです。日本の小学校や高校で勉強したかを聞く質問では「勉強した」と回答した人が、アメリカや中国と比べるとはるかに少なかったため、今後しっかりと教育に組み込んでいく必要があることを確信しました。
現地調査では、わたしが卒業した小学校と中学校へ訪問し、ニュースリテラシーの授業の有無や授業の頻度、どんな教材を使用しているのかなどを聞いていきました。いろいろとお聞きすることができましたが、小学校で予想以上にICT教育が進んでいることが非常に印象的でした。わたしが卒業した小学校では1人一台のiPadが支給されていたため、だんだんとデジタル環境が整備されていく学校で、漫画教材をデジタル教材として授業で活用することを思いつきました。このアイデアが結果的にクリエイティブ面でジャッジたちの評価を得たのだと思います。

⑤学生はさまざまなことにチャレンジすべき。失敗を恐れるのはもったいない!

プレコンを通して、一つのことを専門的に調査していく経験ができて面白かったですし、自分で調査したことを根拠に、アイデアを提案することは非常に楽しかったです。また、スライドに使っていたイラストは自分で描いたものなので、自分の絵も使いながらプレゼンテーションできたので満足です。
やってみたいことは行動に移した方が絶対に良いと思います。特に学生時代は行きたいところへ行って、やりたいことはやるべきですね。失敗を恐れることはもったいないです。学生にとっては、失敗を沢山経験して沢山の壁を乗り越えた方が自身の力になるので、失敗することをむしろ楽しみにして、何も恐れずに挑戦してほしいと思います。