とにかく楽しさを追求したプレゼンに

大坪)第7回大会に出場したときは教育問題をテーマに選んだため、プレゼンの内容がかなり真面目で硬いものになりました。そのときにも大変有難いことに最優秀賞をいただいたのですが、本選に進出した他の出場者の方々の発表をみて、とにかくプレゼンの内容が楽しそうで、私もあんな楽しそうなプレゼンをしてみたいと思いました。4年生最後の思い出として第9回大会も出場することは決めていたのですが、真面目で勝ちに行くプレゼンというよりは、楽しいプレゼンをすることを目標に臨みました。とにかく楽しいプレゼンを目指す上で、テーマ選びも教育・環境はどちらかというと真面目なプレゼンになってしまうので、無人駅を活用したクリエイティブな提案のテーマを選びました。

奥)第7回大会で最優秀賞をいただいたので、今回の大会では前回のプレゼンよりレベルの高いものを作り上げないといけないという不安とプレッシャーを感じることもありました。ただ、もちろん結果を大切にするということもありましたが、それ以上に楽しいプレゼンをしたいという気持ちのほうが強かったです。スライドや原稿の作り方が高校の頃からずっと変わっていないので、プレゼンを作り始めたときはどうしても硬いプレゼンになってしまいました。しかし、いろいろな方々に表現の仕方や言葉のチョイスについてアドバイスをもらうことで、少しずつ楽しくて明るいプレゼンにすることができました。サポートいただいた皆さんに感謝したいです。

他との差別化を図るアイデアへのこだわり

大坪)錦川清流鉄道沿線にある地底空間テーマパークの存在をコロナ自粛期間中に知り、行ってみたいと思っていたので錦川清流鉄道のことは知っていました。しかし、テーマを決めて無人駅を探していた時に、初めて錦川清流鉄道は14駅中11駅が無人駅であることがわかりました。私たちのこだわりとして1つの駅のだけでなく、路線全部を使ったより広い範囲を活性化できるようなアイデアを出したいという思いがあったので、ちょうどマッチしていると思いました。1駅だけの提案だと一過性のものになりやすいのもありますし、幅広く提案できることでより多くのターゲットが利益を生み出すことができるのではと思いました。また、私個人としてこだわったことは美大生の活躍の場を増やすことです。もともと美大生の活躍の場がないという現状がある中で、今年度は特にコロナ禍で卒業展示もできなくなっています。そこをターゲットにしたことは一つのポイントだと思います。

奥)既に行われている無人駅の活性化プロジェクトをWEBで調べてみると、一つの駅にフォーカスしたプロジェクトが多くあったので、11の無人駅を使ったアイデアであれば他のチームと差別化できると思いました。また美大生をターゲットにしたことも観客からすると新しい提案なのかなと思います。路線全体を活用した美術展を企画するというのは、実際に二人で錦川清流鉄道にリサーチに行ったときに決めました。美術展の案を含め、いくつかアイデアを持って調査に行ったのですが、錦川地域を「錦川自然美術館」というキャッチフレーズとしていることを現地で知って、美術展の案にぴったりだと思いました。それ以外にも無人駅周辺に多くの観光名所があることや、電車の窓が大きいので美術展に合うのではないかということも現地調査で気づくことができました。

楽しいプレゼンを体現するための細かな工夫

大坪)審査員の方々に実際にいただいた言葉としては「チャーミング」ということでした。自分たちの求めてきた「楽しいプレゼン」ということが体現できたのではないかと思います。私が一番こだわったのは導入部分の社内アナウンスです。第7回大会でプレゼンした際も、周りの方からのフックの評判がよかったというのもあり、今回も楽しく始める印象的なフックというのを意識して作りました。また、プレゼンの始まりに電車の閉まる音を入れたのですが、本選では音を入れているチームが私たちしかいませんでした。発表の順番が2組目でしたが、最後までプレゼンの印象付けをすることができたのではないかと思います。その他にも文章のイントネーションや読み方といった細部にまで楽しさを表現しました。

奥)楽しさを追求した自分たちの理想のプレゼンスタイルが審査員や観客にしっかりと伝わっていたことが本当によかったなと思います。観客が聞いていて楽しくワクワクするプレゼンにするために、セリフやスライドにこだわりました。個人的に気に入っているのは大坪さんと二人で声とジェスチャーを合わせた「Picture-perfect!」というセリフや錦川鉄道が路線を走るようなアニメーションをつけたスライドです。はじめから最後まで観客が引きこまれるような飽きないプレゼンを心がけていたので細かい部分にも工夫を凝らしました。

2度目の最優秀賞受賞 それぞれのプレゼンの極意

大坪)正直なところプレゼンに対して得意な意識は持っていません。しかし、自分が興味や課題意識を持つことができたり、提案することについて自身が納得して臨むという気持ちはとても大切にしています。プレゼンのテーマが決められているから、とりあえずプレゼンするということはありません。第7回大会に発表した環境教育のプレゼンも高校生時代に勉強したことから繋がっていましたし、今回の大会も美大生の活躍の場がないという現状を知っていて、そこと繋げてプレゼンを考えるということをしていました。持っている知識や課題意識を活かすということは、プレゼンを作る上で意識しているところですし、観客に伝えたいという気持ちは負けないかなと思います。

奥)私はプレゼンやスピーチにおいて、観客とコミュニケーションを取ることや、説明をする文章でも一人一人とマンツーマンで話しているかのように目線を配ることを一番意識しています。私は練習をすればするほど自然と原稿を丸暗記してしまい感情を込めて伝えられなくなるタイプなので、機械的な話し方にならないように気をつけています。また、観客の笑いや反応を見てプレゼンを進めるようにもしています。しかし、特に今大会の2次予選はオンラインでしたし、本選でも審査員の方々はマスクをしていたので表情がわかりづらく、相手の反応を見ながらプレゼンをすることは難しかったです。そういった中で、一方通行の発表にならないために観客とのコミュニケーションは変わらず意識しました。

これからの進路と大会に参加される方へ

大坪)私は大学卒業後、IRとして働きます。国内だけでなく海外の投資家の方々にも業績報告などスライドを作ってプレゼンをすることはあるので、今までの経験が繋がってくるのかなと思います。新卒でIRという職種に就く人はあまりいないかと思うので、自分だけの能力や知識を身につけた人材になれればいいなと思います。
大会に参加される方へのアドバイスとしては、テーマの背景とポイントの細かい説明をしっかり読み込んで、より観客や審査員の方々に響くようなプレゼンをしてみてください。テーマと少しずれてしまうとメッセージが届かなくなるので、そこを読み込むことはとても大切なことだと思います。是非、参加して取り組んでみてください。

奥)私は大学卒業後、保険会社で働きます。今までずっと自分の強みである英語に頼ってきていたので、今後は新たなフィールドで英語以外の強みを身につけたいなと思っています。そして、新しいニーズに応える商品やサービスを開発していきたいです。
大会に参加される方には、QA対策をしっかりとすることをお勧めします。私の反省点としてバジェット面の対策が甘かったなと思っています。予算など細かいところまで問われるので、深いところまでしっかり準備をして、アイデアを自分のものにするようにしてください。頑張ってください。