人生の転換期となったカナダ留学

もともと英会話教室に通っていたのですが、そこまで英語は得意ではなく、中学生の時の英語の成績はあまり良くなかったと思います。しかし、高校生の時に海外ドラマを見たのをきっかけに、海外の多様性が溢れる世界に飛び込んでみたいと思い、5ヵ月間、カナダに留学をしました。留学当初は英語を聞き取ることはできても、話すことができないレベルだったので、自分から周りの友達に話しかけに行くことができずかなり辛かったです。それでも自分なりにアピールすることで段々と名前を覚えてもらうことができました。英語を話さざるを得ない状況が、自分の英語力を伸ばすきっかけとなったと思います。
またカナダ留学では、先生との出会いも大きなターニングポイントになりました。私がプレゼンをしたEQの柱でもある「自分の感情と向き合う」「他者と協調する」といったことを、ただ言葉で説明するのではなく、実際に街中を歩きながら体験を通して教えてくれました。このカナダ留学を通して英語力を伸ばすだけでなく、多様性の大切さ、そして自分も他者も大切にするという価値観に気づくことができ、大変貴重な経験となりました。
帰国後、私は社会学に興味があり、さらに立教大学の社会学部に国際社会コースが新設されたので進学先に決めました。国際社会コースは授業を英語で受講する科目も多く、留学生とディスカッションやプレゼンをするなど、さらなる英語力は大学の授業で培うことができました。

インターンや対話を通して学んだ教育現場の現状

多様性の大切さや社会学を学んだことで、いじめや不登校といった日本の社会問題が本当に深刻であることを感じました。様々な本を読んで勉強していた中で、EQというものを知り、これが日本の教育の鍵になるのではないかと考えてきました。そういった中で、プレゼンテーションコンテストの存在を知り、自分が発表したいと思っていたテーマと合致していたため、出場することを決めました。
今回のプレゼンの中で一番生きたことは教育関係のインターンでの経験です。子供たちが児童労働や貧困問題などの社会問題を簡単に理解できるような出張授業を行っており、その中で私はファシリテーターやプレゼンをしています。それまでアイデアを本から学ぶということはやってきましたが、この約一年間、インターンを通して数多くの教育関係者の方々と対話をして学びを深めてきました。元小学校教師の方から教師時代の大変だった経験を聞くことや、子供の権利条約に関するイベントに参加した時は、教育政策に子供の声が反映されていない現状を学びました。私のプレゼンでの提案は、その対話をベースとして生まれたフレームワークでした。

聞き手を意識した丁寧な構成と課題へのアプローチ

私がプレゼンをする時に一番気をつけているところは構成です。当然、自分が知っていることをプレゼンで発表するわけですが、聞き手にとっては初めて聞くことばかりかと思います。私が発表したEQは日本での認知度は低いので、まずはそこをしっかり説明する必要がありました。その次のフェーズでは、特に日本の教育にEQを導入することの必要性を、データを使って具体的に提示することを意識しました。最後にどうやって実現をするかということを、自分の提案としてオリジナリティを出せるようにプレゼンをしました。政府や企業などを巻き込んでフレームワークを作ることで、日本全体の教育を変革することができると思い、提案をしました。
インプレッシブ賞を受賞することができたのは、インターンの現場で学んだ日本の教育の現状・課題に対して、教育に携わる方々のことを考えたアプローチができたからだと思います。希望的ではありますが、そういったプレゼンの内容を評価いただけていると嬉しいです。

コンテストを終えて

高校生の時から社会に前向きなインパクトを与えたいなという思いがありますし、これから先も、その思いはずっと変わらないと思っています。そういった思いを持つ中で、新しい教育というものに興味があるので、将来はNPOなどの組織に所属して、教育の観点から日本の社会問題を解決できたらいいなと思っています。今回のコンテストで入賞できたことで、今持っているアイデアには可能性があるのかもしれないといった自信になりましたし、日本の教育を変えていきたいという思いをもってキャリアを歩んでいく中での、最初の一歩に繋がりました。
プレコンはとても大きなコンテストなので、参加するにあたってとても勇気がいるかと思います。しかし、「自分のやってみたいこと」「聞いてほしいアイデア」を持っている人は楽しく取り組めると思いますし、何よりも自分の学びになると思います。実際に私は他の出場者からフィードバックをもらったり、審査員の方から質問をしていただくことで、自分に足りない部分があることを認識することができました。
このコンテストへの参加をきっかけに、第三者から自分のアイデアに対して意見や思いをもらって、アイデアを深めてみてください。