悔しさをバネに、学生最後の挑戦へ

(赤松)私はこれまで英語の勉強をしてきましたが、周りの学生と比べ自分の英語力が足りないと思っていました。壁を打ち破ろうと2018年の夏から1年間、ノルウェーへ留学に行き、その結果、英語でコミュニケーションを取ることには慣れることができました。ただ、留学が終盤に差し掛かった頃、授業の中でプレゼンを行わなければならず、まともなプレゼンが出来なかったことから、悪い評価を取ってしまったのです。自信を持って話している現地の学生に比べ、私は紙を見ながらプレゼンをしている。「このままではだめだ。帰国後に必ず克服してやる。」と思っていたところ、インスタグラムでプレコンの広告を見て、迷わず参加を決めました。
(中田)私は小さい頃アメリカに少し住んでいたこともあり、昔から英語は身近なもので、英語でのプレゼンに対する苦手意識はありませんでした。ただ、とある企業でインターンシップを経験させて頂いた時に、私が作成した資料の出来映えに対して、インターンシップ先の方からかなり厳しい指摘を受け、自分が未熟であることを思い知りました。それまで指摘されることがなかったので、ありがたいという気持ちと同時に、社会に出たときに必要となってくるであろう資料作成の技術が足りていないことを痛感しました。インターンシップで学んだことをアウトプットしてみたいと思っていたところ、赤松さんからコンテストに誘われたので参加しました。
(山田)私の場合、高校1年生で経験した1年間のカナダ留学が大きな経験となりました。留学当初はまったく英語が話せず、友達もできない。「I don’t understand Japanese English」と揶揄されたこともありました。そういった状況がとても悔しくて、なんとか状況を変えたいと思い、部活やボランティアに参加し、色々な人と積極的に会話しました。その甲斐あって5ヶ月ほど経ったころには言語の壁は払しょくできたと思います。大学でもチャレンジを続けようと思い、高校生向けに国際交流会の企画を行う学生団体に所属しました。その中で出会った赤松さんにコンテストに誘われたので、出場を決めました。

実現性大のアイデアとそれを分かり易く伝える工夫

(赤松)今回私たちのプレゼンを評価頂けたのは、RFID(※1) とアプリを組み合わせたアイデアの実現可能性が高いことがポイントだと思っています。スーパーなどの食品に値段や賞味期限が入力された電子タグを貼りつけ、その電子情報がシステムで拾われ、専用のアプリを持っている消費者へお得なディスカウント情報などが発信されるアイデアを提案しました。食品の売れ残りを抑えると同時に、消費者へアプリを通じて賞味期限がリマインドされ、忘れずに使い切ることができる、一貫型のシステムです。データや根拠に基づいて、議論を重ね、内容を皆で決めていきました。スピーチ練習の時間は少なかったのですが、3人の連携がうまくいったと思っています。
(中田)「食品ロス」というテーマを選んだのはどの地域の人にも日々関わる問題であるため、より多くの人に伝えられ、ビジネスプランの様に価格設定まできっちり詰めた実現性のある提案ができると思ったからです。私たちのチームにはお互いに意見を出す時に、納得がいかないことがあれば徹底的に議論できる風通しの良さがあったので、妥協せず、お互いが納得いくまで議論を深めることが出来ました。また、スライドの構成を工夫し、話している内容とスライドの内容がずれないことを意識していました。聴衆に内容がうまく伝わるようなスライド作りを心がけていました。
(山田)食品ロスを解消する手段として、RFIDを活用したアイデアを提案しましたが、このアイデアに行きつくまでには大きな苦労がありました。チーム結成時には、今回の提案の核となる、アプリが賞味期限を消費者のスマホにリマインドしてくれるアイデアが直ぐに浮かんでいましたが、具体的にどうやるか思い浮かばず、一度ボツにしました。バーコードが使えるとも思い検討しましたが、正確に読み取れるという情報はどこにも無く、保証がありませんでした。でたらめな情報や適当な製品情報だけでは実現可能性を示すことができず、インパクトも弱いため、裏付けを取ることが大切だと考えたのです。煮詰まっていたところ、赤松さんがテレビのニュースでRFIDタグを見つけてくれて、直ぐに各メーカーの製品情報と機能を徹底的に調べました。「これならできる」と確信しました。

※1 RFID…電波を用いて物品や人物を自動的に識別するための技術

怖がらず一歩踏み出してみること ~成長した自分を実感~

(赤松)今回プレコンに参加し、トップ10に入れたことで、自分に自信が持てるようになりました。ノルウェー留学中にはプレゼン力の未熟さを感じていましたが、今では、英語で自分の考えや意見を主張する力が上達したのではないかなと思えています。また、他の参加者と交流を深めることができ、色々な考えや伝え方について学び、英語力を見直すきっかけになりました。参加すれば必ず良い経験を得られるので、出場を考えている人はそれを楽しみに参加してもらえたらいいなと思います。
(中田)今回トップ10に入り、「やればなんとかなる」と思いました。よく「まずはやってみなさい」と言いますが、本当にその通りで何とかなったなと実感できました。出場前は自分のアイデアが理解されるか、伝えてどう思われるか、といった不安がありましたが、それらを克服することができました。プレゼンは怖いと思っている人でもなんとかなると思うので、ぜひ出場してもらいたいと思います。
(山田)学生最後のチャレンジとして、最善は尽くしていましたが、まさかトップ10に入れるとは思っていなかったので、何事も努力したら乗り越えられるということを実感しました。プレゼンは楽しいものです。最初は緊張しますが、いざステージに立つと凄く爽快感があって、聴衆の前で話すのはこんなに気持ちいいのかと思いました。緊張していてもやってみると楽しいので一歩踏み出してみてください。