活躍するKUIS在外公館派遣員たち(Vol.41/スペイン)

“活躍するKUIS在外公館派遣員たち”というテーマで、赴任中または帰国後の様子を紹介するシリーズ第41弾。

元在バルセロナ日本国総領事館派遣員の杉山 梨里さんをご紹介します

杉山 梨里さん(国際コミュニケーション学科2009年3月卒業)

私は学生時代にスペイン語に興味を持ち、在学中にスペインへ留学をしました。その間バルセロナを訪れた際、いつかこの街に仕事をするために戻ってきたい、と決意をしたのが海外勤務を目指したきっかけでした。帰国後、社会人経験のない学生でも、語学力を活かして海外で活躍する機会がないか模索していたところ、在外公館派遣員制度について知りました。受験を決めたものの、当時はあまりにも情報がなかったため、まずは情報収集を徹底的に行い、神田外語学院で在外公館派遣員対策講座(今では信じられませんが、当時は3-4人のとても細々としたものでした!)を開いていた久保谷先生に出会うことができました。そして先生のご指導のおかげで、無事に希望のバルセロナへの派遣へとつなげることができたのです。

バルセロナの総領事館は小規模で、欧州の周りの公館に比べのんびりとした環境だったと思います。公館の業務状況や雰囲気にもよりますが、私の場合、公では日本式での仕事、私ではスペイン式での余暇の過ごし方、とメリハリのある生活を送ることができたと思います。
便宜供与の案件が少ない公館だったのですが、だからこそ便宜供与で出会った人たちとの思い出はどれも新鮮で、今の自分を形成するとても貴重な経験となりました。

私は卒業と同時に海外で働き始めたので、任期後は日本での社会人経験を得るべく帰国を考えていました。とりわけ、外務省で働いた経験を活かして、次は駐日大使館で働きたいと希望していたのですが、幸運なことにその目標をかなえることができました。現在、派遣員時代に経験したこと全てを活かしながら働いていますが、思えばその礎は独学で始めたスペイン語、やっとの思いで見つけた久保谷先生との出会い、受験に向けた猛勉強など、自分の信念に基づいて取ってきた行動に起因しています。派遣員の2年間は、キャリアにおける経験だけではなく、プライベートでの自分の存り方も豊かにしてくれる貴重な時間になるはずです。派遣員を目指す過程を含め、自分の人生のキーポイントになる経験となるよう、積極的に取り組んでください。

杉山 梨里さんとの想い出(グローバル・コミュケーション研究所久保谷先生より)

現在100名の登録者を超える勉強会(在外公館派遣員対策)も、ふり返ってみると杉山梨里さんがいたからこそ、今なお継続できていると言っても過言ではありません。
勉強会をスタートさせた当時(2008年)は、放課後17:00以降、神田外語学院(東京・神田)の教室片隅で、私も含めて4~5名が試行錯誤の勉強会を行っていました。そこに千葉(神田外語大学)からわざわざ通ってくれて、今もその情景を昨日のことの様に想い出すのですが、誰よりも真剣に取り組む杉山さん(当時国際コミュニケーション学科4年生)の姿がありました。
その数か月後の10月(秋試験)に第69回外務省在外公館派遣員一次試験が行われ、その後二次試験を経て年の暮れに合格発表がありました。その結果は翌年(2009年)3月から在バルセロナ総領事館に赴任することとなり、私からしてみると在外公館派遣員第1号の誕生だったのです。
それから12年が経ち、現在75ヵ国・179名の合格者に至っていますが、もしそれが無かったなら、参加者も増えず、きっと勉強会も終わっていたことでしょう。まさしく今の「∞」グローカル教養講座の原点は杉山梨里さんに有りなのです。
感謝を込めて、大変懐かしい想い出として今回の掲載にご協力頂いたこと、心から御礼を申し上げます。

グローバル・コミュケーション研究所
久保谷 富美男
「∞」グローカル教養講座参加者と共に

スペイン王国(Kingdom of Spain)

【外務省HP/一般事情より】
1. 面積:50.6万平方キロメートル(日本の約1.3倍)
2. 人口:約4,708万人(2020年1月)(うち約485万人は外国人)
3. 首都:マドリード
4. 言語:スペイン(カスティージャ)語(なお、スペイン憲法は、第3条において、各自治州の自治憲章の定めにより他の言語も当該自治州の公用語とすることを認めており、現在、バスク語、カタルーニャ語、ガリシア語、バレンシア語、アラン語がそれぞれ公用語として認められている。)
5. 宗教:憲法で信仰の自由が保障されている