活躍するKUIS在外公館派遣員たち(Vol.68/カンボジア)

元在シュムリアップ領事事務所派遣員の渡部 真生子さんをご紹介します

渡部 真生子さん(国際コミュニケーション専攻2年 2023年3月現在)

はじめに

久保谷先生、柴田先生をはじめとする神田外語大学の先生方、国際交流サービス協会の皆様、両親、姉、友人、そして何より在カンボジア大使館、在シェムリアップ領事事務所の皆様のお力添えがあってこそ、2年間の素晴らしい経験ができました。支えてくださった皆様にこの場をお借りして、心より御礼申し上げます。

在外公館派遣員制度と神田外語大学への進学

私は愛媛県立松山東高校の出身で、SGH部という国際交流や英語学習を行う部活に所属していました。高校生活では日々優秀な友人達に刺激を受け、私も周りに劣らないような人になりたいと密かに思っていました。高校3年生になり大学進学について考える中で、私は将来の夢を明確に決めることが出来ませんでした。しかし、SGH部での経験や姉がスイスに住んでいたこともあり、将来海外で生活したいという軸だけはぶれませんでした。そんなとき、在外公館派遣員制度について知り、久保谷先生の派遣員対策講座が受講できる神田外語大学への進学を決めました。

カンボジアでの生活

カンボジアと聞いて皆さんは何をイメージしますか?
アンコールワットがあって、東南アジアのどこかにある国という印象の人も多いと思います。実は、カンボジアには他にも魅力が沢山あります。プチっとした食感の生胡椒、カシューナッツ、マンゴーやパパイヤなど数々の果物。代表する世界遺産であるアンコールワット、タプローム遺跡、水上生活の様子が見られるトンレサップ湖などの遺跡や自然も大きな魅力です。ここまで読んでくださった方の中には、「果物や自然は東南アジアのどこにでもあるんじゃないの?」と思うかもしれません。しかし、ここからが他の東南アジアと違う魅力です。それは、段違いで人々が優しい!ところです。笑顔が多くとても温厚で、純粋で一所懸命で、お昼寝が好きで、家族・友人想いで、時々おっちょこちょいな面もある素敵なカンボジアの方々に沢山出会いました。私は元々事前の準備や計画に少しでも問題があるととても心配になる性格ですが、2年間のカンボジア生活で困ったことがある度に現地の人々から「No problem」と言われ、不安ながらもその言葉にいつも支えられていました。カンボジアの不思議なところですが、直前や本番はなんとかなることが多かったように思います。かなりヒヤヒヤすることも多かったのは事実ですが、今では良い思い出です。

また、2年間では「なんでもなんとかなる精神」をカンボジアの人々から学びました。そもそも、物事はポジティブに考えるのとネガティブに考えるのでは、見えてくる世界、伴う結果が違ってくると思います。カンボジアでは、問題をもポジティブに捉えるが人が多いからこそ、なんとかなるのかと納得させられました。この精神を身に付けた今では、大きな壁にぶつかったとしても、焦らず一呼吸おいて、ポジティブに対処することができると自負しています。

さらに、日常生活では、トゥクトゥクに乗り買い物へ行き、遺跡やカフェに行くなどのんびりと過ごしていました。休暇時には、シンガポール、ベトナム、タイなど東南アジアの近隣国へ旅行にもよく行っていました。

派遣員の業務

〈通常業務〉
シェムリアップ領事事務所は他公館と比較すると小規模公館ではありましたが、人数が少ないが故に幅広い分野に携わることができました。更に、業務に対する責任、達成感を身に染みて感じる場面が多くありました。

主な業務内容
●便宜供与 ●配車管理 ●空港送迎 ●会計業務 ●広報活動 ●領事業務
●庶務(ホテル、レストラン、フライト等の詳細把握、航空券手配、見積案の取得ほか)
●その他(シェムリアップに関する資料作成など)

〈ロジ等〉
2022年はカンボジアがASEAN議長国であったため、ASEAN首脳会議、ASEAN関連外相会議、日ASEAN経済大臣会合、拡大ASEAN国防相会議など、幸いにも大きな国際会議に何度も携わらせていただきました。帰国直前にもアジア太平洋3R・循環経済推進フォーラムや天皇誕生日レセプションなどの要務に関わる機会がありました。派遣員はロジの際、主に配車、空港、宿舎、会食用レストラン等の準備を行います。これらを1度に全て担うこともあれば、配車のみの場合もあり、ロジの規模によっても業務の範囲が変わります。

派遣員として得た学び

私は在学中に派遣員となったこともあり、社会人としての常識、コミュニケーションの取り方、言葉遣いなどをゼロからご指導いただきました。社会に出るうえで必要となる一般的な知識だけでなく、仕事をよりよくするためのプラスαも周りのお手本となる館員の皆様から勉強させていただきました。「環境が人を作る」という言葉がありますが、私はこの言葉を信じて派遣員という道を選び、そして今ではその選択は決して間違っていなかったと胸を張って言えます。2年間で出会った尊敬する外交官、医務官、他省庁の方々、在留邦人の方々、カンボジア人の友人達など、それぞれ違ったユニークな背景を持った方々からお伺いしたお話は、どれも新鮮で興味深く、物事に対する視野と将来の選択肢を大きく広げてくれました。それらは私の一部として今後の人生にも多大なる影響与えると確信しています。今後は、シェムリアップでの経験を活かし、さらに世界で活躍できる人材になれるよう、高い目標を持って日々精進していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

カンボジア王国(Kingdom of Cambodia)

【外務省HP/一般事情より】
1. 面積:181,035平方キロメートル
2. 人口:15.3百万人(2019年カンボジア国勢調査)
3. 首都:プノンペン
4. 民族:人口の90%がカンボジア人(クメール人)とされている。
5. 言語:クメール語
6. 宗教:仏教(一部少数民族はイスラム教)