第47回グローバル・スタディーズにて吉川元国連大使による特別講義「米・イスラエルのイラン攻撃と日本の役割」を開講

 2026年6月17日(水)に行われた第47回グローバル・スタディーズにて、吉川元偉客員教授・元国連大使による特別講義「米・イスラエルのイラン攻撃と日本の役割」が開催されました。講義では、現在も続くイラン情勢を題材に、国際法や外交、安全保障の観点から日本が果たすべき役割について考察しました。

 冒頭、吉川先生は国連憲章を手にしながら、「アメリカとイスラエルが悪いのか、それともイランにも責任があるのか」「この紛争において日本はどのような役割を果たすべきか」と問いかけました。

 学生からはさまざまな意見が挙がり、吉川先生はそれぞれの考えを受け止めながら、国際社会では単純な善悪だけでは判断できない問題が数多く存在することを説明しました。

 続いて、この戦争の背景を理解するために、中東やイランについての歴史や日本との関係について説明しました。吉川先生は学生に「“What is the oldest country in the world?”」という問いを自身のスマートフォンに投げかけてみるよう促し、学生たちからは「イラン」という答えに驚きの様子が広がっていました。古代ペルシャ文明からイスラム革命、核開発問題に至るまでの歴史を振り返りながら、現在の中東情勢につながる背景を分かりやすく解説しました。

 その後、今回の戦争について、国連憲章第51条が定める自衛権との関係や、アメリカによる軍事行動の正当性を巡る議論を紹介しました。吉川先生は「国際法上どう評価されるのか」という視点だけでなく、「日本にとって何が国益につながるのか」という外交的観点から考える重要性を学生たちに問いかけました。

 また、アメリカが同盟国との十分な調整を経ずに軍事行動に踏み切ったことや、ホルムズ海峡封鎖による世界経済への影響にも言及しました。日本は原油輸入の約95%を中東地域に依存していることから、中東情勢は決して遠い国の出来事ではなく、日本の経済や私たちの日常生活にも直結する問題であると説明しました。

 学生からは、「これまで中東情勢を他人事のように考えていたが、自分たちの生活とも深く関わっていることが分かった」といった感想が寄せられました。

 参加した学生たちは、長年にわたり国際外交の第一線を歩んできた吉川先生の講義を通じて、複雑化する国際社会の課題を多角的に捉える重要性を学びました。


吉川元偉 先生

元国際連合日本政府代表部特命全権大使 神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所 客員教授 1951年、奈良県生まれ。 国際基督教大学教養学部社会学科を卒業後、1974年に外務省に入省。国際連合日本政府代表部特命全権大使・常駐代表、在スペイン日本国大使館特命全権大使、初代アフガニスタン・パキスタン支援担当大使、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部特命全権大使等を歴任。英語、フランス語、スペイン語の3カ国語を話す。

神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所における「グローバル・スタディーズ」とは

本学グローバル・コミュニケーション研究所ではリベラル・アーツ(教養)を推進する一環として、その柱の一つであるグローバル・スタディーズをオムニバス形式で開催しています。 この講座で学ぶことの本質は、机に向ってテキストの問題を数多くこなすことではなく、日ごろ耳にするキーワードや日々起こりうる事象に対し、如何に関心が持てるかの感性を鍛えることです。この感性は勉強や本だけでは補うことはできないと考え、グローバル社会で実際に活躍された経験豊かな方々に講師をお願いし実施しています。本学4年間でこの講座をとおし、物事に対して不思議・疑問(wonder)をいっぱい(full)に感じ、互いが議論できれば、大学生活もよりwonderfulになることでしょう。 神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所 久保谷富美男 先生(客員教授)

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