GLA教養講座「大使と語る」 〜国連80周年の節目に、日本の役割を考える~

 神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部(GLA)では、国際社会の複雑な課題に向き合い、多様な価値観を理解しながら主体的に行動する力を養うことを重視しています。「平和のためのグローバル教養」を学ぶ取り組みの一環として、GLAでは元国連大使で本学客員教授の吉川元偉先生を迎えた特別講座「大使と語る」を開催しています。

 前回の講座では、外交の現場で求められる姿勢や国際社会との関わり方について学び、多くの学生が世界情勢を自分ごととして捉えるきっかけになりました。今回の第2回講座は、2025年10月15日(水)、「国連80周年と日本」をテーマにGLAコモンズで行われました。GLAでは座学だけでなく、講師と同じ目線で学び、考え、対話するスタイルで授業を実施しています。GLAのグローバル・スタディーズ領域で企画し、阪田恭代先生が司会を務めました。

 吉川氏が長年の外交経験をもとに、国連が果たしてきた役割や課題、そして日本が国際社会で果たすべき責任について語りました。国連が掲げる理念と、常任理事国の拒否権など現実とのギャップ、軍事力を持たない国連が加盟国とどう協力しながら平和維持に取り組んでいるのか――。ニュースだけでは知り得ない国際政治の現場が語られ、学生たちは熱心に耳を傾けていました。
 国内では国連に対する評価が低いという話題にも触れられ、吉川氏は「国連は万能ではないが、まったく無意味ということでもない。どう活用するかは加盟国次第」と語りました。国際社会の一員として適切に関わり続ける重要性について、学生たちに投げかける場面も見られました。
 講義の終盤には学生との質疑応答も行われ、ウクライナ情勢、北朝鮮問題、日本と国連の関係、国際社会の中での主権の扱いなど、さまざまなテーマで議論が広がりました。

受講した学生の声(※一部引用・要約)

● 「平和維持がどれほど複雑なプロセスの上に成り立っているのかを考えるきっかけになりました。」

● 「日本では国連に否定的な報道が多いですが、実際には多くの場面で重要な役割を果たしていることを学びました。」

● 「国連がすべてを解決してくれると思っていましたが、加盟国の行動が鍵になるということを学びました。」


 学生たちからは、国際情勢を主体的に理解し、自らの将来や学びにつなげたいという前向きな声が多く寄せられ、本講座が国際社会を広い視野で捉える機会となったことがうかがえました。
 本講座は、GLAで培うグローバルな視点を実社会の議論と結びつける機会として実施されたものです。国連の現実と可能性、そして日本が国際社会でどう向き合うべきかを考えた学生たちは、平和や国際協力を自分ごととして捉える姿勢をより強くしました。国際問題に対する理解を深めた今回の学びは、将来の進路やキャリアを考える上でも確かな土台となるはずです。

吉川元偉 先生
元国際連合日本政府代表部特命全権大使
神田外語大学 グローバル・コミュニケーション研究所 客員教授

1951年、奈良県生まれ。 国際基督教大学教養学部社会学科を卒業後、1974年に外務省に入省。国際連合日本政府代表部特命全権大使・常駐代表、在スペイン日本国大使館特命全権大使、初代アフガニスタン・パキスタン支援担当大使、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部特命全権大使等を歴任。英語、フランス語、スペイン語の3カ国語を話す。

阪田恭代 先生からの一言
神田外語大学 グローバル・リベラルアーツ学部 教授

 本講座では、GLAの「平和のためのグローバル教養」のグローバル・スタディーズ領域の企画として、本学客員教授の吉川大使をお招きし、学生との語り場を設けています。後期はリアルな国際政治・外交のテーマとして、国連80周年と日本を選びました。今年は国連誕生から80年。世界では様々な紛争や課題に直面し、国連も試練を迎えています。日本の役割は何なのか。一般的な言説にただ流されず、立ち止まって考え、未来を想像する。元国連大使の吉川先生と学生との間の貴重な対話の時間でした。

阪田先生の専門は国際関係学。 GLAでは「グローバル平和論」を担当しています。

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