第45回グローバル・スタディーズにて 吉川元国連大使による特別講義「中東和平問題を学ぶ」を開講
2025年11月5日(水)に行われた第45回グローバル・スタディーズにて、吉川元偉客員教授・元国連大使による特別講義「中東和平問題を学ぶ」が開催されました。
講義は、「中東和平問題」として知られるイスラエルとパレスチナの紛争について、その歴史的背景や国際社会の関与、日本との関係をテーマで扱い、冒頭では、「世界で最も解決が困難な紛争」と言われるパレスチナ問題の歴史的経緯について詳しい解説が行われました。
1947年の国連によるパレスチナ分割決議案がアラブ諸国の反対を受けたことをはじめ、イスラエル建国の背景や中東情勢の変化を、第一次世界大戦後のオスマン帝国崩壊やイギリスによる「三枚舌外交」、第二次大戦中のナチスによるホロコーストなど過去の経緯を振り返りながら紐解きました。
また、中東和平解決の上で最も重要とされる国連安全保障理事会決議242号についても解説があり、この決議が掲げる「領土と平和の交換(Land for Peace)」の理念により、イスラエルとパレスチナが共存の道を探ることが求められていることが紹介されました。
1970年代のオイルショック以降、和平の動きは一進一退を繰り返すが、1993年、アメリカの仲介のもとでイスラエルとパレスチナの相互承認(オスロ合意)が実現し、二国家実現が可能かに見えた。しかしラビン・イスラエル首相の暗殺などによって和平の動きは頓挫してしまった。その流れの中で、ちょうど2年前のハマスによるイスラエル攻撃が起き、戦闘と人道危機が続いている。本年10月には、トランプ大統領による停戦提案の第一段階が合意され、今大事な時期に来ていることが説明されました。
アメリカが中東和平に深く関与する理由にもふれながら、学生たちはその複雑性を再認識しました。
講義の後半では、日本と中東地域との関係に焦点が当てられました。
現状として、日本はエネルギー資源の多くを中東に依存しており、経済安全保障上の課題を抱えていること、また、歴史的には第二次世界大戦中にカウナス(リトアニア)領事であった杉原千畝氏が6000人のユダヤ人に日本通過ビザを発給し多くの命を救ったことなど、イスラエルとパレスチナをめぐる歴史の中で日本人が果たした役割が紹介されました。
本講義を通じて、学生たちは中東和平問題の複雑さや平和構築の難しさ、そして日本が果たすべき国際的役割について考える貴重な機会となりました。
吉川元偉 先生
元国際連合日本政府代表部特命全権大使
神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所 客員教授
1951年、奈良県生まれ。
国際基督教大学教養学部社会学科を卒業後、1974年に外務省に入省。国際連合日本政府代表部特命全権大使・常駐代表、在スペイン日本国大使館特命全権大使、初代アフガニスタン・パキスタン支援担当大使、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部特命全権大使等を歴任。英語、フランス語、スペイン語の3カ国語を話す。
神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所における「グローバル・スタディーズ」とは
本学グローバル・コミュニケーション研究所ではリベラル・アーツ(教養)を推進する一環として、その柱の一つであるグローバル・スタディーズをオムニバス形式で開催しています。 この講座で学ぶことの本質は、机に向ってテキストの問題を数多くこなすことではなく、日ごろ耳にするキーワードや日々起こりうる事象に対し、如何に関心が持てるかの感性を鍛えることです。この感性は勉強や本だけでは補うことはできないと考え、グローバル社会で実際に活躍された経験豊かな方々に講師をお願いし実施しています。本学4年間でこの講座をとおし、物事に対して不思議・疑問(wonder)をいっぱい(full)に感じ、互いが議論できれば、大学生活もよりwonderfulになることでしょう。
神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所
久保谷富美男 先生(客員教授)
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