活躍するKUIS在外公館派遣員たち(Vol.92/ナミビア)

増子 里空さん(外国語学部英米語学科3年)
はじめまして。元在ナミビア日本国大使館派遣員の増子里空と申します。今回は、私が派遣員を志したきっかけや大使館での業務、ナミビアでの生活についてご紹介いたします。これから派遣員を目指す方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

派遣員を目指したきっかけ

私の学生生活は、新型コロナウイルスの流行によって大きく変化しました。人との交流が制限され、授業もオンラインとなり、将来への目的を見失いかけていた時期もありました。そんな中で在外公館派遣員制度の存在を知り、日本の外交を現場で支えながら、自身の国際経験を深められる貴重な機会だと感じ、挑戦を決意しました。せ っかくならば日本とは大きく異なる環境で勤務したいと考え、アフリカ地域を志望したところ、在ナミビア日本国大使館での勤務が決まりました。

大使館での業務

ナミビア大は本官約10名、現地職員約10名の小規模な公館です。その分、一人ひとりの役割が幅広く、責任も大きいと感じました。私は官房班に属し、主に以下の業務を担当しました。

・館員の出張・離着任支援(空港送迎、宿舎・航空券・車両手配、査証・外交ID手続きなど)
・車両管理(配車や修理手配など)
・各種書類の翻訳や簡易通訳
・政府要人訪問時のロジ支援(配車、会場調整など)
・警備・領事補佐(失効旅券の通報、警察機関との調整など)

赴任当時、大使館は設立からまだ8年ほどで、閣僚級の要人訪問は前例がありませんでした。そうした中で西村経済産業大臣ご一行の訪問対応では、ゼロから関係機関との調整を行い、無事に訪問を終えられた経験は大きな自信となりました。また、在任中には初代大統領のご逝去や第3代大統領の急逝といった歴史的な出来事もあり、大使館の一員として現地の反応や式典に携われたことは非常に印象深く、ナミビアという国の歩みを間近で体験できた貴重な経験となりました。

ナミビアでの生活

ナミビアの首都ウィントフックは落ち着いた雰囲気の小さな都市で、ドイツ統治時代の名残を感じられる街並みに驚かされました。一方で、中心部から少し離れると電気やガスが整っていなかったり、トタン屋根の住居で暮らす地域もあり、貧富の差を実感する場面もありました。また、所得格差の大きさに加えて、特に若年層における高い失業率も大きな課題として挙げられます。
気候は年間を通じて晴天が多く、夏は40度を超える日もあれば、冬は氷点下まで下がることもあるなど、寒暖差の大きさが特徴的です。生活面では日本食レストランがなく、食材や生活用品も限られていましたが、館員のご家族やJICA 関係者の方々に支えられ、充実した毎日を送ることができました。
休日にはエトーシャ国立公園でのサファリやナミブ砂漠でのキャンプを楽しみ、ナミビアならではの大自然を満喫できました。キャンプ好きの館員ご家族と共に数えきれない程キャンプに行き、忘れられない思い出となっています。

最後に

派遣員の業務や生活は、公館の規模や国の環境によって大きく異なります。ナミビアは小規模公館だったため、一人ひとりの業務範囲が広く大変なこともありましたが、その分様々な業務に携わることができ、柔軟性や臨機応変な対応力を身につけることができました。
この2年間で多くの人々と出会い、様々な価値観に触れる中で、自分自身のキャリアだけでなく人生観についても深く考える機会となりました。派遣員としての日々はかけがえのない経験であり、今後の大きな自信につながっています。
このような貴重な経験を積むことができたのも、久保谷先生をはじめOB・OGの先輩方、家族や友人、ナミビア在任中に関わって下さった全ての皆様の支えのお陰です。改めて感謝申し上げます。
これから派遣員を目指す皆様が、それぞれの場所でかけがえのない経験を得られることを心から願っています!

ナミビア共和国(Republic of Namibia)

【外務省HP/一般事情より】
1. 面積:82.4万平方キロメートル(日本の約2.2倍)
2. 人口:303万人
3. 首都:ウィントフック
4. 言語:英語(公用語)、アフリカーンス語、独語、その他部族語
5. 宗教:キリスト教、伝統宗教