第35回グローバル・スタディーズにて吉川元国連大使による特別講義「中東和平問題を考える」を開催

2023年11月15日(水)に行われた第35回グローバル・スタディーズにて、吉川元偉元国連大使による特別講義「中東和平問題を考える」が開催されました。

10月7日、パレスチナの軍事組織ハマスがイスラエルに対して奇襲攻撃を行い、その報復としてイスラエル軍によるガザ地区への軍事作戦が開始されてから1か月が過ぎました。今回の講義では、両者が衝突する背景を、これまでの歴史や国際関係の側面から探っていきました。

今年7月に、海外スタディ・ツアーでイスラエルに研修に行ったグローバル・リベラルアーツ学部の学生は、当時を振り返り「三宗教の聖地が集中する街で、観光客が多く賑わいがある一方、様々な要因が絡み合うこの場所が抱える問題を想像すると、複雑な気持ちになった。現地でふれ合った人たちを思い出すと、イスラエルとパレスチナの現状には胸が痛む。」と述べました。また「どんな背景があるにせよ、民間人を巻き込む攻撃は非人道的で、正当化できない。」「日本の立場上、関係国に配慮が必要ではあるが、危機的状況でも人道支援を諦めてはいけないと思う。」といった意見も挙がりました。

紐解くことで見えてくる、不条理な歴史やイデオロギー、民族、宗教、国際情勢等の根深い問題。吉川先生は、国際社会の不十分な支援や関与のあり方にも言及し、中東地域の安定のために、日本が果たすべき役割は何か、学生たちに問いかけました。

吉川元偉 先生

元国際連合日本政府代表部特命全権大使
神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所 客員教授

1951年、奈良県生まれ。
国際基督教大学教養学部社会学科を卒業後、1974年に外務省に入省。国際連合日本政府代表部特命全権大使・常駐代表、在スペイン日本国大使館特命全権大使、初代アフガニスタン・パキスタン支援担当大使、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部特命全権大使等を歴任。英語、フランス語、スペイン語の3カ国語を話す。

神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所における「グローバル・スタディーズ」とは

本学グローバル・コミュニケーション研究所ではリベラル・アーツ(教養)を推進する一環として、その柱の一つであるグローバル・スタディーズをオムニバス形式で開催しています。 この講座で学ぶことの本質は、机に向ってテキストの問題を数多くこなすことではなく、日ごろ耳にするキーワードや日々起こりうる事象に対し、如何に関心が持てるかの感性を鍛えることです。この感性は勉強や本だけでは補うことはできないと考え、グローバル社会で実際に活躍された経験豊かな方々に講師をお願いし実施しています。本学4年間でこの講座をとおし、物事に対して不思議・疑問(wonder)をいっぱい(full)に感じ、互いが議論できれば、大学生活もよりwonderfulになることでしょう。

(グローバル・コミュニケーション研究所 久保谷富美男 先生)

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