第33回グローバル・スタディーズにて吉川元国連大使による特別講義「ロシアのウクライナ侵略に対する国連と日本の対応」を開催

2023年7月5日(水)に開催された第33回グローバル・スタディーズでは、吉川元偉元国連大使による特別講義「ロシアのウクライナ侵略に対する国連と日本の対応」が行われました。前回の講義をふまえ、受講生たちはグループに分かれてさまざまな問いについて意見を述べました。

「ウクライナ侵攻に関してどの立場を支持するか」という問いに対する自身の考えや、湾岸戦争を例に挙げながら、当時の日本の外交および国際社会の反応を、今回のウクライナ侵攻と比較した議論が交わされました。

また、「国連は無力か」という問いに対して、受講生たちからは「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連世界食糧計画(WFP)などの機関が迅速に対応し、難民支援や食料支援で重要な役割を果たしていると考える。」「国連が国際社会の課題に効果的に対応するためには、国連安保理などの組織体制の改革が必要ではないか。」という意見が挙がり、人道支援、経済制裁、平和構築・維持、そして国連安保理改革の可能性など、幅広い議論が行われました。

吉川先生は「問題の本質を見極めるためには、多角的にとらえて論理的に判断することや、国際情勢に常に当事者意識を持つことが重要である。」と述べられました。

講義の最後には、神田外語グループ佐野元泰理事長が「神田外語大学は『言葉は世界を繋ぐ平和の礎』を理念としている。世界で起きていることに正面から向き合い、現実を理解するための論理的な思考と正しい知識を身につけることが大切。」と述べ、講義を締めくくりました。

吉川元偉 先生

元国際連合日本政府代表部特命全権大使
神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所 客員教授

1951年、奈良県生まれ。
国際基督教大学教養学部社会学科を卒業後、1974年に外務省に入省。国際連合日本政府代表部特命全権大使・常駐代表、在スペイン日本国大使館特命全権大使、初代アフガニスタン・パキスタン支援担当大使、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部特命全権大使等を歴任。英語、フランス語、スペイン語の3カ国語を話す。

神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所における「グローバル・スタディーズ」とは

本学グローバル・コミュニケーション研究所ではリベラル・アーツ(教養)を推進する一環として、その柱の一つであるグローバル・スタディーズをオムニバス形式で開催しています。 この講座で学ぶことの本質は、机に向ってテキストの問題を数多くこなすことではなく、日ごろ耳にするキーワードや日々起こりうる事象に対し、如何に関心が持てるかの感性を鍛えることです。この感性は勉強や本だけでは補うことはできないと考え、グローバル社会で実際に活躍された経験豊かな方々に講師をお願いし実施しています。本学4年間でこの講座をとおし、物事に対して不思議・疑問(wonder)をいっぱい(full)に感じ、互いが議論できれば、大学生活もよりwonderfulになることでしょう。

(グローバル・コミュニケーション研究所 久保谷富美男 先生)

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