在外公館派遣員経験者を招いて2023年度前期第11回『「Team∞」グローカル教養ゼミ』を開催

2023年7月12日(水)に行われた2023年度前期11回『「Team∞」グローカル教養ゼミ』では、元在タンザニア日本国大使館派遣員の江波戸 明香さん(国際コミュニケーション専攻卒業)が登壇しました。

タンザニアでの生活がきっかけとなり、現在は日本で農業系の会社を立ち上げ、経営者として活躍している江波戸さん。大学卒業後、いかにして現在に至ったのか、派遣員生活がもたらしたものやタンザニアでの生活、帰国後の歩みを振り返りました。

卒業と同時に外務省在外公館派遣員としてタンザニアに赴任となった江波戸さんは、何もかも日本と大きく異なるアフリカでの生活に戸惑いながらも、海外出張やアフリカ開発会議(TICADVI)等の大型国際会議ロジを経験。「外交や国際的な現場で活躍している方々に囲まれ、非常に臨場感があり、気づきの多い毎日だった。」と語りました。また「大型のイベントが開催されるときは、近隣国に赴任している神田外語大学の派遣員と一緒に仕事をすることもあった。休日には派遣員の同期がいる国に旅行に行き、プライベートも充実していた。」と述べました。

派遣員としての任期満了後は、コンサルタント会社に就職し、群馬の製品や観光地を海外に向けてPRする業務に従事していました。そこでは通訳や翻訳の他、海外の方との事前調整やアテンド等、多岐に渡る業務を担当。海外とのやり取りでは、イレギュラーな事態が発生することも多く、その度に派遣員時代にタンザニアで培った、周りを巻き込んで実行していく力を発揮し、困難を乗り越えてきたといいます。

その後、独立して農業系の会社を経営。現在は群馬・高崎の農家と日本在住の外国人を繋ぐ活動を行っています。「雨季と乾季しかないタンザニアでは、日本の四季を懐かしく思うことが多かった。四季が移り変わるからこそ感じることや季節ごとの食の変化など、日本ならではの魅力を再発見することができた。食を通して、そんな日本の美しさを海外の方に体感してもらいたいという思いでこの会社を始めた。」と述べました。

講義の最後には「学生のうちはいろんなことに挑戦することが大切。その経験がいつか必ずどこかで役に立つ瞬間がある。限りある4年間を充実したものにしてほしい。」と受講生たちに向けてエールを送りました。

神田外語大学での学びを卒業後の進路に活かし、自身の会社を経営しながら、その経験を語る姿はとても逞しく、受講生たちにとって非常に有意義な時間となったようです。

神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所における「Team∞」グローカル教養ゼミとは

「Team∞」グローカル教養ゼミは、真のグローバル人材(国際人)は優れたローカル人材(日本人)でもあると同時に、“「∞」の皆さんが、「∞」の領域(内外)にわたり、「∞」に学び続ける” ことを願ってこのゼミ名とし、主に外務省在外公館派遣員を目指す全学年の学生を対象に開講しています。内容は以前より開講されていた「+α・β」グローバル教養講座を継承するもので、「+α」と「+β」を融合的に学ぶべく集大成したものです。ここで学ぶ目的は以下のとおりです。

1.文理の枠を超えて、グローカル教養として幅広く、出来るだけ多くの分野を統合したものから学ぶ。
2.自分と異なる多様な文化的背景を持つ人々との出会いの場を自らが積極的に設け、様々なことを語り合うことにより、相手の立場に立って物事を見る目を養う。
3.日本語できちんと筋道を立てて話し・書ける能力の基本を養うと共に、自らがグローバルに発信し、世界の人々にも理解してもらえる説明(プレゼンテーション)力を向上させる。

グローバル・コミュニケーション研究所
久保谷 富美男(シニアアカデミックフェロー)

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