活躍するKUIS在外公館派遣員たち(Vol.74/バーレーン)

元在バーレーン日本国大使館派遣員の足立 有紀さんをご紹介します

足立 有紀さん(スペイン語専攻2020年卒業)

ペルシャ湾に浮かぶ島国、バーレーン王国

皆さんは中東と言えばどのような国を思い浮かべますか?サウジアラビアやUAEなどといった国でしょうか?
バーレーンはそういった国々に囲まれた湾岸地域の中にある小さな島国です。小さな島国と聞くと、のどかなイメージが頭に思い浮かびますが、実際、バーレーンには高層ビルやハイウェイ、巨大なショッピングモールが立ち並び、非常に活気のある国です。近代的な風景が広がる一方で、バーレーンの歴史はとても古く、紀元前2200年〜紀元前1700年にかけてはディルムンと呼ばれる古代都市が栄えていました。現在も国内には多くの古墳群や遺跡が残っており、訪れてみると近代的なバーレーンとはまた違った、古代の人々の暮らしを思い浮かべることができます。
イスラム教徒が人口の大多数を占めるバーレーンですが、宗教戒律は驚くほど緩く、非イスラム教徒の女性であれば髪や体のラインを布で隠す必要も無く、街中で豚肉もお酒も買うことができます。そういった意味では、湾岸地域の中で一番住みやすい国とも言えます。
私自身、赴任前は中東へは一度も渡航したことがなく、ましてやバーレーンという国名も聞いたことがなかったのですが、バーレーンへ派遣されることが決まり、未知の人々と文化に出会えることにワクワクしました。実際住んでみると、社会構造から文化・慣習まで日本とは大きく異なり、現地の新聞一つ読んでいても興味深い発見がたくさんありました。

バーレーンでの生活

2020年の着任当時はまさにコロナのパンデミックの真っ只中でした。大使館での勤務も制限のある中で、コロナ後の仕事のためにも自分に今出来ることは何かをよく考え、行動するようにしていました。例えば、バーレーンに関する様々な情報を資料にまとめたり、たくさん一緒に仕事をすることになる現地職員やロジで使用するホテル関係者とは頻繁にコミュニケーションを取り、仕事が円滑に進むように心掛けていました。やがてパンデミックが落ち着き始めた頃から、徐々に出張者や大使館での広報・文化イベントなども増え、多岐にわたる仕事に携わらせていただきました。もちろん、予期せぬハプニングや苦労もありましたが、普段日本にいては目にすることのない、外交の現場における裏方の仕事を経験することができ、勉強になることばかりでした。社会人経験の無い私に、一からたくさんの指導をしてくださった館員の皆様には感謝しています。
また、人口の半分が外国人労働者であるバーレーンでは、現地職員含め、出会った人々は皆、様々なバックグラウンドを持ち、非常に友好的で、おかげで仕事でも私生活でも充実した2年間を過ごすことができました。

最後に

私は久保谷先生から教わった、Planned Happenstance(計画された偶然性)という言葉が好きです。予期せぬ国へ派遣されることになっても、そこには未知数の発見が待っています。また、そこで得た経験が自分に新たな気づきを与えてくれ、その後の進路に繋がったりすることもあります。私自身、この派遣員という経験を通じて、新たに大学院で国際関係を学び、いずれは国際機関で平和構築に携わりたいという目標が見つかりました。
もし今、この記事を読んでくださっている派遣員を目指している方やそうでない方でも、何か新しいことに挑戦をしようとしているならば、ぜひそこに思い切って飛び込んでみてください。思いもよらぬ出会いがあるかもしれません。

バーレーン王国(Kingdom of Bahrain)

【外務省HP/一般事情より】
1. 面積:786.5平方キロメートル
2. 人口:148.4万人、うちバーレーン人は、70.2万人(47%)(2019年、バーレーン政府情報・電子政府庁)
3. 首都:マナーマ市
4. 言語:アラビア語
5. 宗教:イスラム教