キャリア教育センターからのメッセージ&就職内定速報(2021年12月現在)

それぞれの進路が決まり卒業を迎えた学生たち(2020年度卒業式)

【良い会社】の条件を考える

キャリア教育センター
ゼネラルマネージャー
杉本 雅視


12月1日現在、2022年3月卒(現4年生)の業界別就職内定状況は新型コロナウイルス禍前の2020年3月卒学生と比較をすると大きな変化が起きています。最も大きな変化は本学学生の属性【女子学生7割】【外国語・国際系】に基づく従来の【旅客航空業界・旅行業界・ホテル業界志向】から【IT情報産業を中心とした他業界へのシフト】です。 2020年3月卒の学生はその年の夏の東京オリンピックを控えたホテルの建設ラッシュなどもあり、ホテル業界就職(51名)+旅客航空業界就職(50名)=合計(101名)の就職実績でした。この年の卒業生は908名でしたので2020年3月卒学生の約9人に1人以上はホテル業界もしくは旅客航空業界に就職したことになります。このような時期の就職支援は「学生が希望する業界の就職をどのように実現させるか、学生の希望・憧れ・夢の実現をサポートすること」がキャリア教育センターの大きな役割の一つでした。それが新型コロナウイルスの影響で人の移動が大幅に減少したことにより【航空・旅行・ホテル業界】の求人が一時的に消失、その結果、これらの業界への就職実績が大幅に減少したことはご存知の通りかと思います。 その結果、今回の新型コロナウイルス禍は大学のキャリア支援の本来の役割である「学生たちと一緒に“現在”を共有し、一緒に“未来”をイメージし、学生がもっている “現在考えている卒業後のキャリアイメージ”の再構築を行う」必要性が発生し、【良い会社】とはなにかということを再度考える機会となりました。
今までの学生の就職活動では新聞社・ビジネス誌・就職情報サイト等の【人気企業ランキング】に掲載されている企業に入社することがイコール【良い会社】と思われた面もあったと思います。このような会社に入社することが【≒幸福度の高い職業キャリア】という形で一定の相関関係があった時期があったのも確かです。しかしながら現在は社会の環境変化が速く、卒業の段階で【良い会社(優良企業)】と考えられた企業が10年後も優良企業であるかは不透明です。このような環境下では学生・教職員だけではなく保護者・卒業生も【良い会社】とはどのような会社のことを指すのかを卒業時だけでなくキャリアの節目で考え抜かなければならないと思います。この考え抜くというステップを踏まないと私たちは外部の就職・転職情報などに踊らされ、新卒時だけではなく、転職の際にも人材ビジネスマーケットにおいて良いカモにされるだけです。
私は最近【良い会社】というのは以下の5つの条件を満たす会社ではないかと考えるようになりました。その5つは【助け合い(社員同士の風通しが良く、助け合う社風・文化がある)】【やさしさ(働く上での福利厚生等が整備され、利用されている)】【自己成長(自分に与えられた仕事が自分のポジションよりも少し難易度が高く、仕事を通して成長が図れる)】【権限移譲(責任あるポジションが任され、責任を果たさないといけないがその範囲内で主体的に仕事ができる)】そして最後は【この4つが成立する条件を満たしている経営をしている会社(利益・資金・人材・製品及びサービス、そして市場におけるシェアなど)】と考えるようになりました。
これらの条件の検証は入社前にある程度推測できるものと、入社をしないとわからないことがあるため、すべてがわかった上で入社をするのは難しいのですが、現在の大学生はキャリア教育センターで実施している【業界・企業研究セミナー】【会社説明会】などの参加で経験を積み、推測をすることも可能です。学生時代に【良い会社】探しを考えるスキルの習得は新卒時だけではなく、転職する必要が生じたときにおいても必ず役立ちます。この年末年始、学生とご家族で改めてそれぞれが考える【良い会社(=幸福度が高いキャリアのスタートが開始できる会社)の条件】を考える時間を持ってほしいと思います。