大学祭

【韓国】年2回行う大学もあります
韓国の大学祭は日本と似ている

韓国の大学祭は、中間テストが終わる5月と10月あたり。2回やるところと1回のみのところがあります。日本と同じように各大学が独自の名称をつけています。ちなみにソウル大学は「大同祭」です。 内容は、日本の文化祭とほぼ同じ。キャンパスのいろいろな場所に屋台が出て、夜には芸能人を呼んでイベントが開催されます。イベントの前売り券を売ったり、招待券を配ったりして、地域の人たちも見物に来ます。学生の参加も自由ですが、積極的に参加するのは半分くらいでしょうか。 日本と違う点は、3〜4日から一週間くらいやるという点でしょう。この間はもちろん授業はありません。また、お酒も基本的にオーケーです。ただ、こういうやり方に批判があるのも事実です。お酒がらみでトラブルが起こることもありますし、芸能人を呼べばお金がかかります。日本も同じかもしれませんが、そういうことが本当に必要なのかという疑問の声もあがっています。 権 容璟先生

【インドネシア】学生芸術祭でパフォーマンス・スピリットがはじける
音楽から研究発表までやるインドネシアの大学祭

インドネシアの大学には、直訳すると「学生芸術祭」というイベントがあります。時期は、たいてい6月の定期試験後で、2日くらいが普通でしょう。主催は学生委員会ですが、スポンサーを探して資金提供をお願いすることもあります。 キャンパス内にはステージを組んで、学生のグループが歌ったり踊ったり演奏したりします。有名な歌手を呼ぶ場合もあります。 いまはジャズが好まれているようです。ただアメリカのそれとはだいぶ趣きが違っていて、インドネシアのはもっとイージーリスニング風です。もちろん、ロックやガムランもあります。音楽以外のシンポジウムや研究発表も同時に行われます。 屋台も出ますが、日本のように学生が作るということはありません。大学のまわりにいつも出ている屋台を呼んで来ます。お酒はなしで、せいぜいコーラくらいでしょう。日本と同じように、この日は地域の人たちもお祭りに参加して、学生たちと一緒に楽しみます。 エマ・マジッド先生

【ベトナム】小学校から大学まで、11月20日は「先生の日」
ベトナムでは学生全員が、先生に感謝する催しに参加する

ベトナムの大学には、日本のような大学祭はありません。最近は似たような催しをやり始めるところも出てきましたが、全国的にはないと言っていいと思います。 入学式・卒業式以外で、特徴ある学校の行事は、11月20日の「先生の日」でしょう。小学校から大学まで共通して行われ、全員が参加します。ベトナムでは、先生はとても大切にされています。先生がいなければ、ちゃんとした人間になれないと考えられているからで、親についで大切な存在なのです。 劇や歌などを先生に披露するため、生徒や学生たちは一カ月前くらいから練習を始めます。当日は、小学生は両親につきそわれて先生のお宅に行きます。そしてプレゼントを渡します。大学生は、自分たちでプレゼントを用意して、先生の家を訪ねます。大学で渡すこともありますが、いずれにしてもそうやって感謝の気持ちを伝えるのです。 グェン・ティ・トゥイエン先生

【タイ】学生の研究発表に企業も注目する
タイの大学で開催されるアカデミックなイベント

タイでは、チュラロンコン大学など特定の大学で、日本の大学祭に似た催しがあります。1970年代の始め頃から始まった「アカデミックなお祭り」というようなイベントです。 この催しは基本的に、学生たちが勉強したことや、練習したことを見せる場。エネルギー問題、農業開発から、王様の考え方についての研究発表まであります。屋台も出ますが、学生が作るということではなく、業者に任せるやり方です。 こういう性格のイベントですから、学生が楽しむというより、大学側が中心となって企画されています。ですから、学生や地域の人ばかりでなく、企業関係者も来ます。大学祭とはちょっと違いますが、農業大学では一週間くらい農業フェアといった催しをします。ここでは、農業の生産や開発に関する研究の発表があり、農作物の買い物もできます。 タイでは、大学はエリートのもので「閉じた社会」という感じがありました。最近ではもっと開放的な姿勢を打ち出していて、こうした催しを通じてPRしています。 ポンシー・ライト先生

【ミャンマー】「大学で楽しもう」という考え方がない
ミャンマーでは大学にいくだけで大変

日本でも同じでしょうが、タイでもつい最近までは、外国の音楽と言えば西欧のポップスが主流でした。でも、いま若い世代に人気があるのは、K-POPです。でも、卒業して就職したら、今度は子どもの方が親の面倒を見るということになります。 大学を卒業して仕事を始めたら、給料の半分くらいは親に送金します。なかには、全部あげてしまう人もいます。もともと韓国のテレビドラマがヒットしたことがきっかけで、日本の韓流ブームのようなものが起きているのです。日本でも活躍しているピ(RAIN)、BIG BANG、少女時代、KARAなどはタイでも人気があります。なかでも、注目されているのは2PMというアイドルグループ。メンバーのなかにタイ人がいて、彼はオーディションに合格してこのグループに入りました。そういえば、モーニング娘。のなかにも、以前中国人メンバーがいましたね。こうした影響もあって、タイの学生たちも、多くの人がバンドをやったり、ダンスを練習したりしています。 エイチャン先生

【アルゼンチン】週末のダンスパーティーが大事なイベント
アルゼンチンには大学祭はないけれど

アルゼンチンの大学には、日本のような大学祭がありません。みんなが一緒に同じことをするという風土が、ラテンアメリカには希薄なのです。 そのかわり、学生たちはいろいろなパーティーをします。たとえば年に2・3回、同じ学科の学生が先生と一緒に山や川などに行って、焼き肉パーティーを開くのです。もちろんお酒も飲みます。私が大学生だったときは、哲学部の1年生70人のうち、半分くらいは参加しました。学生同士はもちろん、先生とも仲良くなります。 週末になると、ダンスパーティーが開かれます。各学部が持ち回りで担当するのです。会場になる場所を借りて、飲んだり食べたりの準備もします。時間は8時頃から夜中の12時頃まで。参加費は300円から500円という感じでしょう。もちろんみんな誘い合って参加します。これはすごく大切なこと。アルゼンチンの学生にとって、授業よりずっと気合いが入ることなのです。 アンヘル・ブラーボ先生

【ブラジル】田舎っぽい格好でクワドリーリャを踊りまくる
ブラジルのフェスタ・ジュニーナ

ブラジルでは、日本と同じような大学祭はありません。でも、祝日に合わせた文化祭のような催しが、大学でも行われることがあります。それは、フェスタ・ジュニーナ(6月祭)。カトリックの聖人を祀る催しが起源で、いまではブラジルの田舎生活を楽しむ民族的なお祭りになっています。 寸劇が終わると、クワドリーリャというダンスの時間です。ダンスをリードする役がいて、「ペアになってダンスしましょう」とか「トンネルを作りましょう」などと指示。みんな野良着や麦わら帽子など田舎っぽい格好をして、列になって踊りまわります。 アリーネ・アントゥネス先生

【アメリカ】春夏秋冬いろいろなイベントで楽しむ
バラエティーに富んだアメリカの大学祭

アメリカの大学祭は、大学によってかなり違います。 私の勤めているダートマス大学は、田舎にあるので遊ぶところがありません。そんなこともあって、学生たちは各学期にイベントを作っています。ほとんどの学生が寮に住んでいることもあって、全員がなんらかのかたちで参加します 夏は、古タイヤの上に乗ってコネチカット河を流れ降りるチューブ・ストックというイベントをします。秋のホームカミングディには、卒業生が集り、バンドや歌手を呼んでパーティーを開きます。 キャンパス内の芝生では、薪を積み上げて燃やすボンファイアという催しもあります。1年生が、夜中にそのまわりを規定回数走ってまわるのが慣習です。 冬には、ウインター・カーニバルがあります。寮やクラブの人たちが集まって雪人形を作りコンテストを開催します。 もちろんスキーやスケートの大会もありますし、ポールベア・スイム(白クマ水泳大会)という寒中水泳大会もあります。氷の張った湖に穴を開けて入るというハードな催しです。 ジェームズ・ドーシー先生