第22回 「ブルーベリーの色」

出盛りのスモモ(果肉が黄色い種類)と一緒に煮たところ、きれいな赤いフルーツソースができました。

2011年は春のはじまりが遅く、植物の開花・結実も遅いものが多かったようです。庭のブルーベリーは例年は7月に熟し始めるのですけれど、今年は7月末にやっと色づきました。少しだけ採って、出盛りのスモモ(果肉が黄色い種類)と一緒に煮たところ、きれいな赤いフルーツソースができました。ヨーグルトやアイスクリームにかけると、ほどよい酸味で色もきれいです。

ブルーベリーの濃い赤紫色の色素はアントシアニンといい、植物が作り出すポリフェノールの1種です。ポリフェノールには他にも、お茶に含まれるカテキン、ソバの実に含まれるルチン、ウコンに含まれるクルクミンなど、色々な種類があります。これらは植物の細胞の中で活性酸素(DNAを傷つけて細胞を癌化させることがある)を除去する役割を担っています。またアントシアニンにはDNAを直接障害する紫外線をカットする役割もあります。植物の若葉に赤っぽい色のものが多いのは、まだ柔らかい葉を紫外線から防御するアントシアニンが多く含まれているからです。 ではブルーベリーの実になぜアントシアニンが多いかというと、黒紫色の実が鳥にとって「美味しそう」に見え、発見して食べてもらえる利点があるからです。鳥には歯がないので実を丸呑みにし、果肉は消化しますが種子は糞と一緒にどこか別の所で排泄します。植物は自分が動けないので、こうして鳥に種子を散布してもらうのです(注)。  紫外線防除用・活性酸素除去用として作り出したアントシアニンという色素を、今度は種子散布用に転用する。植物は賢いですね。 (注:栽培品種のブルーベリーの場合は、鳥の散布した種子からは育ちません。)