第19回 「早春の花々」

ソメイヨシノの咲く前のこの季節、遠目には庭の芝生も茶色く枯れて、春はまだ遠いように見えるかもしれません。

しかし季節は着実に歩みを進めています。地震も放射能漏れも、春を止めることはできず、長い冬を耐えてきた生き物の目覚めを阻むこともできはしないのです。ご一緒に庭をあちこち見てみましょう。

  • 遠目にうっすら白く見えていたのはユキヤナギです。今を盛りと純白の装い。

  • 歩道のひび割れは地震によるものです

  • そのすぐ脇のアーチでは、私の大好きな白い小さなクレマチスの花盛りでした。

  • 昨年夏の酷暑で随分枯れてしまったブルーベリーの生け垣に、新たな芽吹きを発見。

  • 地震による液状化現象で、庭のあちこちに灰色の泥が吹き出し、堆積しています。 けれどもその泥を押しのけて、いのちの勝利を高らかに宣言するトランペットのように、金色のラッパズイセンが群生しています。

  • 泥を押し割って伸びている様子、お分かりでしょうか。

  • 以前の巣穴に分厚く被さった灰色の泥は粒子が細かく、乾くと固くなって、掘り進むのは大変だったはずですが、アリたちは諦めずに掘り抜き、活動を開始しています。

  • フォーンの噴水の周辺にも泥は吹き出していましたが、通路側には青紫のローズマリーが、噴水側には赤紫のエリカがびっしりと咲いています。

  • 小さな草花も点々と咲いています。どこにどんな花が咲いているか探しながら歩くのは、宝探しのように楽しいものです。

  • 植えたわけではない、「雑草」とひとまとめにされてしまいがちな植物たちも、今を盛りと咲いています。セイヨウタンポポやホトケノザ、ヤハズカラスノエンドウなど、外来種ですけれど、埋立地のキャンパスではすっかり春の花として定着しています。

  • タイトルと離れて今回は食べられないものばかり紹介していましたので、最後に食べられるものを1つ。冬に花を付けていたビワの木を再訪したところ、青い小さな実がなっていました。熟す頃(初夏)が楽しみです。

  • 春を探して、いのちを探して、みなさんも庭を歩いてみませんか。