第9回 「クリスマス・リース」

12月の声を聞くころから、町はクリスマス一色になります。

私はクリスチャンではありませんし、クリスマスを恋人たちのお祭りに仕立て上げようとしている日本の商戦も、いかがなものかと思っています。しかしクリスマスの華やかさには、やはり心を動かされます。またヨーロッパの古いクリスマス・キャロルが好きなので、街頭で流れるメドレーの中に知っている曲を聴きつけて、楽しい気持ちになることもあります。

クリスマスの起源は、古代の冬至のお祭りにさかのぼるといいます。クリスマス・ツリーやクリスマス・リースも、冬に葉を落とさない常緑針葉樹で作られます。冬の寒さの威力も及ばず、青々と葉を茂らせる針葉樹は、落葉樹の多い高緯度地域では特に、生命の象徴とも思えたことでしょう。大学の庭や近所で採れる植物を使って、簡単にリースを作ることができますので、ご紹介します。 晴れた日、ニオイヒバのすがすがしい香りにつつまれながら庭のベンチでリースを作っていると、改めて自然の造形と色の美しさに心を打たれます。そしてまた、一年で最も日が短いこの時期に、一陽来復を願いつつお祭りの準備をしてきた人々の気持ちが、何となく分かるような気がするのです。

クリスマス・リース

材料: 浜田川の植栽にからみついているクズ(マメ科の蔓性植物)の蔓(植栽を駄目にする植物ですから、切っても誰からも咎められません)、またはツタの蔓。7号館横のクロマツの松ぼっくり(前年の12月から1月ごろに落ちているので、拾っておく)。イングリッシュ・ガーデン内のニオイヒバやヒマラヤスギなどの針葉樹の小枝、赤く熟したバラの実、ピラカンサ(赤・オレンジの実。棘があるので注意)、その他何でも。輪ゴム。 作り方: 蔓を適当な長さに切って、ねじり合わせながら巻き、輪を作る。その輪に松ぼっくりを輪ゴムで留め、輪ゴムと松ぼっくりの間に針葉樹の小枝をはさみ、適宜バラの実やピラカンサの実などもはさむ。