空港で外国人旅行客を相手にそつなく英語で対応するグランドスタッフ。その姿に憧れているけれど、「自分の英語力でなれるの?」と心配になる方もいるでしょう。
実は、グランドスタッフの採用時に求められる英語力は「TOEIC®550点程度」と、そこまで高いレベルではありません。大学生のTOEIC®平均スコアとほぼ同程度の水準です。しかし、実際の業務ではTOEIC®だけでは測れないような英語力が必要となるケースも出てきます。
そこで本稿では、神田外語学院の国際エアライン科教員として多くの学生を航空業界に送り出している太田京子先生のお話に基づいて、グランドスタッフになるために必要な英語力をお伝えします。
それに加え、
グランドスタッフが空港で実際に使っている英語フレーズ
グランドスタッフに必要な英語力の磨き方
グランドスタッフに内定した学生の体験談
といった、グランドスタッフを目指すみなさんに役立つ情報を紹介していきます。最後まで読めば、グランドスタッフ採用試験の英語力対策を効果的に行えるようになるでしょう。
目次
1.グランドスタッフには英語力が必要
グランドスタッフは空港のカウンターでのチェックイン業務や、搭乗ゲート前での案内だけでなく荷物の破損や未着のお客様対応など多岐にわたる業務を行う業務です。日本人だけでなく多国籍のお客様を相手にする仕事なので、英語力は欠かせません。
この章では、採用試験で必要になる英語力と、就職後の業務で必要になる英語力を2項目に分けて解説します。
1-1.グランドスタッフの応募条件はTOEIC®550点程度
グランドスタッフの採用では応募条件として英語力が求められることが多く、その目安は「TOEIC®550点程度」とされています。これは、一般的には英検準2級~2級程度とされるレベルです。TOEIC ®運営団体によるスコアデータ「TOEIC® Program DATA & ANALYSIS 2019」によれば、2018年度の大学生の平均スコアは567点。つまり、応募時点で求められる英語力は高いものではありません。
以下に、代表的な企業におけるグランスタッフ応募条件の英語力に関する内容をまとめて一覧にしたものを紹介します。
※グランドスタッフは航空会社社員ではないケースが大半です。グランドスタッフが所属しているのは、JALスカイのような航空会社系列企業の場合もあれば、スイスポートジャパンのように様々な航空会社の業務を請け負う独立系企業の場合もあります。
「望ましい」といった表現もありますが、一部には「卒業までに取得すること」と、一定の英語力を必須としている企業もあります。
企業によっては英語試験がある
採用試験では基本的に英語試験は行われませんが、ごく一部の企業では英語面接などを実施する場合もあります。志望企業の選考フローを事前によく調べておきましょう。
英語試験がない企業を受ける場合は、エントリーシートでTOEIC®スコアをアピールできるよう、早めに準備してください。
身に付けられている語学力はエントリーシートの記載事項にて確認させていただきますので、習得状況をご記入のうえご提出ください
引用元: Q&A|ANAエアポートサービス株式会社
1-2.現場ではキャビンアテンダントより英語力が必要な場合もある
グランドスタッフを目指している方の中には、キャビンアテンダントと迷っている方もいるのではないでしょうか。キャビンアテンダントの応募に必要な英語力は「TOEIC®600点程度」とされており、グランドスタッフより50点ほど高くなっています。しかし、実は実際の仕事現場では、グランドスタッフの方が英語力を必要とされることが多いのです。
キャビンアテンダントの場合、お客様と接するのは基本的に飛行機の中だけです。しかも、会話の内容はほとんどがそのフライト自体に関係することだけです。極端な話、緊急時でなければ、会話らしい会話をほとんどしないこともあり得ます。
一方、グランドスタッフの場合はチェックインやゲート業務だけでなく、出発ロビーに立ってお客様の対応をする仕事もあります。遅延・欠航などのトラブル対応のほか、自社便以外のことを尋ねられたり、交渉・即決が必要な場面に直面したりすることも少なくありません。
そのため、応募条件は緩やかでも、実際はグランドスタッフの方が臨機応変に対応できる幅の広い英語力を求められることが多いのです。
※キャビンアテンダントに必要な英語力についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 |
2.現場で使うシーン別英語フレーズ集
グランドスタッフの仕事現場では具体的にどのようなフレーズを使っているのか、シーン別に紹介していきます。
2-1.チェックインカウンターで
近年はWeb等で自動チェックインをする場合が多く、チェックインカウンターでの対話は減少傾向にありますが、以下のようなフレーズが想定されます。
2-2.搭乗案内アナウンス
以上はマニュアルにも載っているような定型文です。毎日のように案内するフレーズなので、次第に暗記してしまうでしょう。しかし、イレギュラー時は定型ではないアナウンスも必要になります。
2-3.イレギュラー時アナウンス
◆お客様のお呼び出し
◆遅延発生時
◆最終搭乗案内
企業によっては社内研修で英語の言い回しなどを学ぶ機会がありますが、いずれにしても様々な状況に対して臨機応変に案内できる英語力が必要です。
3.グランドスタッフに必要な英語力の磨き方
第1章で解説した通り、グランドスタッフの応募条件は「TOEIC®550点程度」です。
しかし、就職活動で他のライバルに勝って確実に内定を獲得するためには、より高い英語力があったほうがよいのは間違いありません。また、就職後は実用的な英語力が必要となります。社内での英語研修が行われる場合もありますが、事前に応用力を磨いておいたほうがよいでしょう。
この章では、TOEIC®600点以上を目指す勉強法を紹介します。
◆TOEIC®600点以上を取得するための対策
TOEIC®で600点を達成するには、一般的にリスニングで350点、リーディングで250点程度を目標にするのがおすすめです(満点はリスニング、リーディング各495点、計990点)。
TOEIC®の平均点が「リスニング321点」、「リーディング259点」であることを考えると、リスニングの方が点数をとりやすいと言えるからです。
※出典: TOEIC® Program DATA & ANALYSIS 2019
それを踏まえた上で、「600点を目指す3つの勉強法パッケージ」をご紹介したいと思います。
(2)中学レベルの文法をマスターする
(3)公式問題集を使って「音読」を繰り返す
それでは一つずつ見ていきましょう。
(1)TOEIC®に出る基本単語を覚える
TOEIC®の点数を上げるには、まずは単語です。とはいえ、英検1級レベルの難しい単語を覚える必要はありません。というのも、実は、TOEIC®の語彙レベルはそれほど高くなく、英検準1級と2級の間のレベルだからです。
600点を目指すなら、最初に高校基礎レベルの単語をしっかり固めましょう。その上で、TOEIC®に頻出する基本ビジネス単語を1000語程度覚えればほぼ十分です。
(2)中学レベルの文法をマスターする
TOEIC®600点を目指すには、中学英文法を固めることが最も大切です。TOEIC®で出題される文法のレベルはそれほど高くありません。ビジネスパーソンが普段の生活で耳にしたり目にしたりするような、一般的でわかりやすい英文ばかりです。小説のような複雑な文構造の英文は出題されません。
TOEIC®で出題される主な文法事項は以下の通りです。
これらは主に中学校で習う文法項目です。まずはこうした基本的な文法事項をしっかり理解しましょう。また、TOEIC®の文法問題は、毎回同じようなパターンの問題が出題されますので、問題演習で出題パターンに慣れることも大切です。
◆『中学英語を もう一度ひとつひとつわかりやすく。』(山田暢彦監修・学研出版)
中学で学ぶ文法事項を、左側に説明、右側に演習の形で効率よく学習できます。
◆『TOEIC® L&Rテスト 英文法 ゼロからスコアが稼げるドリル』(高橋恭子著・アルク)
TOEICに頻出する文法事項を基礎からドリル形式で学べるのでお勧めです。
(3)公式問題集を使って「音読」を繰り返す
公式問題集をスラスラ音読できれば600点レベルと言えるでしょう。目標が600点なら、リスニング用に使う教材はTOEIC®の公式問題集1冊でほぼ十分です。ナレーターが本試験と同じなので、勉強した効果が試験結果に直結します。あれこれ他の教材に手を出すより、一冊に絞って繰り返しましょう。
目安として、公式問題集のPart3・4の英文を、テキストを見ながら、音声に合わせて同時読みできるようになれば600点レベルです。その際、できるだけ音声の発音やリズムを真似てください。自己流の音読では学習効果が薄くなります。
TOEIC®のテストプログラムを開発しているETS(Education Testing Service)が制作している公式問題集。本番のテストと全く同じプロセスで制作されており、テスト2回分(計400問)が収録されています。
100点アップに約200時間かかる
TOEIC®600点未満の場合、目安として100点UPに200時間程度が必要と言われています。現在400点であれば、400時間くらいで達成できる見込みがあります。1日にTOEIC®の勉強を2時間した場合でも、約200日(およそ6~7か月)かかるでしょう。早めの対策を心がけてください。
※TOEICの勉強法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 |
4.グランドスタッフ内定者に聞いた「英語力の磨き方」
グランドスタッフ内定者はどのように英語力を磨いたのか、当ブログを運営する神田外語学院の学生に聞いてみました。
東京都立板橋有徳高校出身
Q.英語は得意でしたか。
Q.TOEIC®スコアアップのためにどのような取り組みをしましたか。
Q.普段はどうやって勉強していますか。
Q.応募基準点は意識していましたか。
来年度から羽田空港で働く予定の瀧本さん。就職に向けてさらに実践的な英語力を磨くため、外国人の友達を作って電話で英会話の特訓をしているそうです。
5.グランドスタッフには英語力の他に人間力や問題解決力も必要
もちろん英語力は高い方がよいのは間違いありませんが、企業が最も重視しているのは「人間力」です。人間力とは、英語力やウィット(機転)、想像力、リーダーシップ、傾聴力などいろいろなものを総合した能力のことです。
企業の採用情報ページでも、選考は語学力だけでなく「人物重視」で行っていることが明記されています。
ANAエアポートサービスでは人物重視で選考を行っているため、語学の点数・資格だけで合否は決まりません。
引用元: Q&A|ANAエアポートサービス株式会社
英語力だけにこだわらず、総合的に洗練された人間力で仕事に取り組める人物になることを目指しましょう。
6.英語力と人間力を磨くなら神田外語学院
神田外語学院では、TOEIC®対策をはじめとした英語力はもちろん、エアライン経験講師による航空業界に関する専門知識や、航空業界のみならず社会で幅広く活躍できるようになるための考え方や人間力を2年間で磨いてグランドスタッフを目指すことができます。
6-1.共通英語科目で業務に必要な英語力を強化
1年次から毎週1コマ90分×9コマ(=13.5時間)の英語共通科目で総合的な英語力の強化を図ります。
◆生きた英語を学ぶ国際コミュニケーション英語(EIC)
必修共通科目の国際コミュニケーション英語(EIC)では週5回、外国人教員から英語で英語を教わることで、「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語4技能を強化します。
授業は20名以下の少人数の習熟度別クラスで、日本語禁止という環境で行われています。授業以外の時間でも留学生と英語で会話ができるECL(English Conversation Lounge)などを活用することで、生きた英語を自分のものにすることができます。
※EICについては以下のページで詳しく紹介しています。 |
◆グランドスタッフ応募条件「550点」をクリアするTOEIC®対策講座
TOEIC ®対策の授業が週2コマあり、習熟度に合わせたクラス編成で着実なスコアアップを目指すことができます。神田外語学院2年生のTOEIC ®平均点は611点(2023年3月卒業生実績)。グランドスタッフの応募条件の「550点」よりも60点以上高い点数です。
6-2.国際エアライン科の専門科目で人間力を磨く
教員の多くはJALやANAなど航空業界出身で、学生一人ひとりを手厚くサポート。授業も、就職活動の土台となる人間力を向上させるためのカリキュラム構成です。その一部を紹介します。
◆国際エアライン科専門科目の一例
◆就職活動における手厚いサポート
学生・教員・キャリア教育センターが一つのチームとなり、全員で内定獲得という夢の実現に取り組んでいます。航空業界に内定した先輩が後輩に向けて企画・開催する内定者報告会や、航空業界の現役社員による特別セミナーなど、イベントや研修も豊富です。
国際エアライン科を卒業したグランドスタッフのインタビュー記事や動画をご覧いただけます。 |
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≫神田外語学院の教育の特長について以下の記事もご覧ください!
7.まとめ
本稿で解説した内容をまとめます。
◆グランドスタッフには「TOEIC®550点程度」の応募条件がある
◆仕事の現場ではキャビンアテンダントよりも実践的な英語力が求められる
◆TOEIC®基準点クリアには計画的な学習が必要
◆ グランドスタッフになるには英語だけでなく総合的な「人間力」や「問題解決力」が必要
今は英語が苦手という方でも、要点をおさえて対策すればグランドスタッフを目指すことは十分に可能です。まだTOEIC®を受けたことがない場合は早めに受験して自分のレベルを把握し、計画的に対策を行いましょう。
↓グランドスタッフをめざす方はこちらの記事もご覧ください。
キャビンアテンダントにも興味がある方はこちらの記事もご覧ください TOEIC600点?キャビンアテンダント就職に必須の英語力を解説 |