キャビンアテンダントを目指している皆さんの中には、こんな疑問を持っている人もいるでしょう。
結論から言えば、キャビンアテンダントになるために必ず取らなければいけない国家資格や免許はありません。航空会社に客室乗務職として入社し、訓練を終えれば乗務することができます。ただし、多国籍のお客様を相手にするキャビンアテンダントには英語力が欠かせないため、英語力の指標となるTOEIC®または英検を必ず受験しておくべきと言えるでしょう。
この記事では、日本航空(JAL)客室訓練部教官の経歴を持ち、現在は神田外語学院の国際エアライン科教員として多くの学生を航空業界に送り出している太田京子先生のお話を基にして、
- キャビンアテンダントを目指す人が取るべき資格
- キャビンアテンダントの仕事に役立つ資格
を解説していきます。この記事を読めば、キャビンアテンダントを目指すにあたって勉強すべきことがわかります。最後まで読んで、キャビンアテンダントへの一歩を踏み出してください!
目次
1.必要な国家資格・免許はない
キャビンアテンダントになるために必要な国家資格や免許などはありません。
ただし、キャビンアテンダントとして飛行機に乗務する際には、航空会社ごとの社内試験に合格する必要があります。試験内容は機種別の安全・サービスに関するものが主体です。
2.必ず受験しておくべき資格は「TOEIC®または英検」
必ず受験しておくべき資格は、「TOEIC®または英検」です。航空会社によっては、キャビンアテンダントの募集要項にTOEIC®や英検が応募資格として定められている場合があるからです。実際の応募条件の例を紹介します。
2-1.TOEIC®600点または英検2級程度が基準
一覧を見ると、概ね「TOEIC®600点または英検2級程度」が基準になっています。2022年度の学生の平均スコアは581点*なので、応募時点で求められる英語力は極端に高いものではなく、一般的なレベルだと言えます。
*(出典)TOEIC® Program DATA & ANALYSIS 2023
GTECなど他の試験でもOKな航空会社もある
上の表でも紹介したように、航空会社によってはGTECやIELTSなど他の英語試験も利用可能な場合があります。ただ、特に理由がない場合は一般的なTOEICや英検を受けておくのがよいでしょう。
TOEIC®スコアを提出すると採用選考の英語試験が免除になるケースがある
航空会社によっては、一定以上のTOEIC®のスコアを掲出すると採用選考で英語試験が免除になる場合があります。
TOEIC®600点もしくはGTEC®260点以上の英語証票を1次選考会場にお持ちいただける方は英語試験を免除
※TOEIC®の基準点が不安な方はこちらの記事を参考に学習に取り組んでみてください。 過去98回TOEICで満点を取得した教師直伝!レベル別勉強法 |
2-2. TOEIC®700点(英検2級A程度)以上を取っておけば有利
TOEIC®700点または英検2級A程度を取っておけば、就職活動では有利に働くでしょう。
キャビンアテンダント採用試験は、大手一社あたり毎年500~600名の募集に対し、7,000~8,000人の応募があると言われます。競争率が高い中でも、700点以上のスコアを取っていれば採用試験の段階で英語力不足を指摘されることはないでしょう。
英検2級Aとは
英検の成績は準2級や2級といった通常の階級のほか、「英検CSEスコア(合格基準点)」という尺度でも示されます。このうち「2級A」とは、「2級に合格し、かつ4技能合計CSEスコアが2,150点以上」という基準になっています。
3.必須ではないが、キャビンアテンダントの仕事に役立つ資格や講習
冒頭でも説明しましたが、キャビンアテンダントに特別な資格は必要ありません。
そんな人のために、キャビンアテンダントの仕事に役立つ資格や講習を紹介します。必須のものではないので、余裕があればチャレンジしてみましょう。
- 全国手話検定試験
- 中国語検定
- サービス介助士
- 救命講習
3-1.全国手話検定試験
手話によるコミュニケーション力を7級から1級までの9段階で認定する資格です。飛行機を利用する人の中には耳が不自由な人もいます。ある程度の意思疎通ができる手話スキルがあれば、現場で非常に役立つでしょう。ANAでは、4級以上を取得しているキャビンアテンダントは「手話バッジ」を着用しています。JALでも同様の制度があります。
5級と4級のレベルの目安は以下の通りです。
4級 | お店や窓口で簡単な接客の会話や日付や時刻、金額など数字の入った表現ができる。学習80時間程度 |
5級 | あいさつ、自己紹介、趣味について相手に尋ねたり答えたりすることができる。学習40時間程度 |
(参考)手話技能検定
3-2.中国語検定
中国語の読解力やリスニング能力、翻訳能力を測る検定試験です。航空業界において、英語以外の言語で特に役立つ言語の一つは中国語です。コロナ禍前の2018年の訪日外国人のうち4割以上は中国語圏(中国や台湾)から来ていたため、中国と日本を結ぶ路線だけでなく国内線でも役立つ機会は多々あります。
(参考)日本政府観光局(JNTO) – 2018年訪日外客数(総数)
試験は準4級から1級まで6段階に分かれており、4級程度の知識があれば機内での簡単な意思伝達は可能でしょう。
準4級と4級のレベルの目安は以下の通りです。
4級 | 平易な中国語を聞き、話すことができる。学習時間120~200時間 |
準4級 | 学習を進めていく上での基礎的知識を身につけている。学習時間60~120時間 |
(参考)中国語検定試験
3-3.サービス介助士
高齢者や身体の不自由な人が安心して生活できるよう、「おもてなしの心」と「安全な介助技術」を学ぶ資格です。飛行機の利用者の中には、体が不自由でサポートを必要とする人もいます。サービス介助士資格があれば、サポートが必要な人に対しても自信を持って接客できるようになるでしょう。JALグループ日本のトランスオーシャン航空では、全てのキャビンアテンダントがサービス介助士資格を取得できるよう、社内で研修を行っているそうです。
取得までの流れは以下のようになっています。
社会人でも仕事と並行して平均2か月で取得できます。ただし、受講・受験料は41,800円とやや高額です。学生の場合は、基礎的な技術を2時間で学べる「サービス介助基礎研修」(5,500円)を受講するだけでも得られるものがあるでしょう。
(参考) サービス介助士 – 公益財団法人日本ケアフィット共育機構
3-4.救命講習
急病人の対応方法などを学べる救命講習は役に立ちます。機内で急病人が発生した場合、キャビンアテンダントが対応にあたる必要があるからです。
上級救命講習
民間組織が実施する救命講習もありますが、ここでは消防本部が行っている救命講習を紹介します。
消防本部が実施する救命講習には「普通」と「上級」があり、どちらも1日で受講できます。上級救命講習では、AEDの使用方法や、心肺蘇生、応急手当、搬送の方法について学びます。各地の消防署などで実技を含む8時間の講習を受けると、技能認定証が交付されます。
(参考)公益財団法人 東京防災救急協会 – 応急手当講習会のご案内
繰り返しになりますが、キャビンアテンダントに特別な資格は必要ありません。この章で紹介した資格や講習はあくまでも、時間に余裕がある場合に取り組むといい資格です。他にやるべきことがある場合はそちらを優先しましょう。
4.キャビンアテンダントになるために 資格よりも必要な「人間力」
もちろん、資格を保有していれば就職活動の際のアピールポイントにはなります。しかし、キャビンアテンダントを目指すうえで最も必要なものは「人間力」です。
例えば、ANAウイングスの採用ページにはこのような一文があります。
私たちの仲間として一緒に働いて頂く方の人物重視の選考を行なっているため、英語力だけで合否を判断しておりません。
(引用)FAQ | ANAウイングス株式会社 採用サイト
資格取得だけに固執するのではなく、様々なことにチャレンジして自分の興味の幅を広げ、人間力を磨きましょう。
※詳しくはこちらの記事をご覧ください。 |
5.英語資格対策をしながら人間力を磨くなら神田外語学院
TOEIC®などの英語資格対策をしながら人間力を磨いてキャビンアテンダントを目指すなら、神田外語学院の国際エアライン科がおすすめです。
5-1.共通英語科目でキャビンアテンダントに必要な英語力を磨ける
神田外語学院は語学専門学校として創立60余年。長年の英語教育の知見を活かしたTOEIC®対策はもちろん、毎週1コマ90分×9コマ(=13.5時間)の英語共通科目で総合的な英語力の強化を図ります。
生きた英語を学ぶ「国際コミュニケーション英語(EIC)」
必修共通科目の国際コミュニケーション英語(EIC)では週5回、外国人教員から英語で英語を教わることで、「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語4技能を強化します。
授業は20名以下の少人数の習熟度別クラスで、日本語禁止という環境で行われています。授業以外の時間でも留学生と英語で会話ができるECL(English Conversation Lounge)などを活用することで、生きた英語を習得できます。
※EICについては以下のページで詳しく紹介しています。 共通科目 EIC(English for International Communication) |
キャビンアテンダント応募条件「600点」をクリアする「TOEIC®対策講座」
TOEIC ®対策の授業が週2コマあり、習熟度に合わせたクラス編成で着実なスコアアップを目指すことができます。
神田外語学院2年生のTOEIC ®平均点は611点(2023年3月卒業生実績)。先述したキャビンアテンダントの応募条件「600点」をもちろん上回っています。
5-2.国際エアライン科の専門科目で人間力を磨ける
国際エアライン科には、JAL客室訓練部教官の経歴を持つ太田先生をはじめ、客室乗務員を経験した多くの教員が在籍。業界での経験を活かし、人間力向上に直結する授業を展開しています。その一例を紹介します。
イメージコンサルティング
入学当初から言葉遣いや礼節、周囲に好印象を与える表情、所作、身だしなみなど、ホスピタリティ業界で必ず必要とされるスキルを学んでいきます。最初は窮屈に感じるかもしれませんが、習慣化されてくると、次第に心も「襟を正した」状態になり、自然に人間力が磨かれていきます。
美しい日本語講座
接客の最前線に立つキャビンアテンダントには、英語力以上に日本語力が重要です。高い人間力を表現するための日本語は、一朝一夕に身につけられるものではありません。仕事現場では「お客様に信頼される美しい日本語」も求められているため、授業では日本語検定の取得を目指すほか、合格するエントリーシートの作成トレーニングも行っています。
5-3.豊富な内定実績がある
大手航空会社を含め毎年10名前後、2016年~2020年の5年間で57名のキャビンアテンダント内定者を輩出しています。
なお、2020年3月卒業生の就職先企業は以下の通りです。
\神田外語学院の“リアル”を体験!/
\2分で簡単!/
≫神田外語学院の教育の特長について以下の記事もご覧ください!
6.まとめ
この記事の内容をまとめます。
◆キャビンアテンダントに必要な国家資格はない
◆ TOEIC®や英検を必ず受験しておくべき
◆取得必須ではないが、キャビンアテンダントの仕事に役立つ資格や講習
・全国手話検定資格
・中国語検定
・サービス介助士資格
・上級救命講習
◆資格よりも人間力が重要
キャビンアテンダントになるには、資格だけにとらわれてはいけません。しっかりと優先順位をつけて準備を進めましょう。
キャビンアテンダント就職に専門学校は有利? 大学や短大と比較解説 キャビンアテンダントを目指すなら知っておきたい大学選び3つの秘訣 【150cm台前半でも内定!】日系CAに身長160cmの壁はない TOEIC600点?キャビンアテンダント就職に必須の英語力を解説 |