
「大学への編入学に興味があるけど、お金はいくらかかるの?」
「浪人するより高くつくの?安くつくの?」
4年制大学への編入学を知り、興味を持ち始めたけど、経済的な面が不安・・・と思っている方も多いかも知れません。大学進学にかかる費用や、浪人生活・予備校にかかる費用は決して安くないため、気になるのも当然だと思います。
結論から言ってしまうと以下の図の通り、大学編入学の総額(最低金額)は、通常の大学進学に比べて31万円高く、浪人するより69万円ほど安くなる傾向にあります。
※専門学校を経て4年制大学に3年次編入学した場合。
■専門学校を経て4年制大学に3年次編入学した場合の費用イメージ
※図の平均的な金額は以下を参考にしています。
≫文部科学省「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
≫東京都専修学校各種学校協会「平成 30 年度 学生・生徒納付金調査」
尚、大学への編入学は専門学校以外、短期大学や別の4年制大学からの編入学も可能です。それぞれのパターンごとの費用を1章で詳しく解説しています。
またあくまで最低金額ですので、これとはまた別に参考書の代金やTOEIC®の受験料など、オプションで発生してきます。オプションで発生する費用や、編入学にかかるお金を軽減する方法も2章で解説していますので、ぜひ読んでみてください。
4年制大学へ編入学するとは
専門学校や短期大学から4年制大学の2年次もしくは3年次に編入学することが可能です。専門学校や短期大学の在学中(主に2年生の夏~冬にかけて)に、4年制大学の編入学試験を受験し、合格すると翌春から大学2年生や3年生として4年制大学に編入学できます。
日本にある700校以上の大学の内、約7割程度(国公立含む)が専門学校からの編入学を受け入れており、東北大学、名古屋大学、埼玉大学などの国立大学や法政大学、駒澤大学、日本大学のような私立大学に編入学することが可能です。また9割以上の大学が、短期大学からの編入学を受け入れています。
専門学校から4年制大学の3年次に編入学する流れについては、以下のイメージ図や記事を参考にしてみてください。
目次
1.[3つのパターン別] 編入学に絶対にかかる費用総額(最低金額)とは
冒頭で述べた通り、編入学には以下の3パターンがあります。
(1)専門学校から大学に3年次編入学する場合
(2)短期大学から大学に3年次編入学する場合
(3)4年制大学の2年次から他大学の3年次に編入学する場合
あくまでイメージ図ですが、いずれのケースでもベースは以下のような形になります。
※編入予備校の費用は含んでおりません。編入予備校に通う場合は大きく費用構成が変わります。詳しくは2章をご参照ください。
ケースごとに細かな金額は変わってきますので、以下で詳細を説していきます。
1-1.専門学校から4年制大学に3年次編入学する場合
まずは専門学校から4年制大学に3年次編入学する場合の費用です。以下をご覧ください。
※図の平均的な金額は以下を参考にしています。
≫文部科学省「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
≫東京都専修学校各種学校協会「平成 30 年度 学生・生徒納付金調査」
専門学校から4年制大学の3年次に編入学した場合、大学に1年生から普通入学した人と比べて、最低でも31万円ほど費用がかかります。
専門入学1年目の金額は大学より安いですが、大学編入学試験の受験料(約17万円程度)や大学3年次に編入学した際に支払う入学金(約25万円で想定)が発生してきます。ただそれでも浪人と比べれば、費用は少なく済む傾向にあるでしょう。
※浪人~大卒の費用は1年間予備校に通う想定で算出しています。
専門学校~大学編入学する場合の費用はケースバイケース
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上記でご紹介した費用は、あくまで「最低金額」になるため、オプションで費用が発生してくることがあります。そのオプションの費用は
(1)大学編入学のサポートがしっかりしている専門学校か
(2)サポートは主に就職サポートに限る専門学校か
によって変わってくることが多く、(1)のタイプの専門学校の方が、学内で対策がとれる分安く済む傾向にあります。詳しくは2章でご紹介しますので、そちらもあわせてご覧ください。
1-2.短大から4年制大学に3年次編入学する場合
次に短期大学から4年制大学に3年次編入学する場合ですが、以下の通りになります。
※図の平均的な金額は以下を参考にしています。
≫文部科学省「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
短大から4年制大学に編入学する場合、一般的な大卒とほとんど変わらない金額になります。特に「●●女子短期大学から●●大学へ編入学」のように、内部進学のような形で系列の大学に編入学する場合は、オプションの費用もそこまでかからず、上記に近しい金額になってくるケースが多いと思います(受験料は1校分なのでもっと安くなると思います)。
ただ系列ではなく外部の大学を受験する場合、編入予備校に通うか通わないかなどで費用が変わってくる部分があります。オプションの費用の詳細に関しては、2章もあわせてご覧ください。
※編入予備校とは、ご自身が通う大学・短大・専門学校など以外に編入学の対策授業を受講する予備校のことです。編入学試験に向けて独学だけでは不安がある人や、編入学試験に対してより万全の準備をしたい人が通うことが多いです。
1-3.4年制大学の2年次から他大学の3年次に編入学する場合
最後に4年制大学の2年次から、他大学の3年次に編入学する場合の費用は以下のようなイメージになります。
※図の平均的な金額は以下を参考にしています。
≫文部科学省「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
実は4年制大学の2年次まで修了していると(単位を取得していると)、他大学の3年次編入学試験を受験する資格を満たせるようになります※。
※編入学先の大学により異なるので、必ず志望する大学の募集要項をご確認ください。
2つの異なる大学に通うことになるため、入学金が2回、編入学試験の受験料が1回発生してきますが、こちらも浪人よりは安く済む傾向にあります。
ただこの場合、通っている大学にとっては他の大学に編入学してしまう学生をサポートする意味合いがないため、編入学試験の準備は全て自分で行うことになります。
一応最低限の金額ということで503万円という金額を表示していますが、実質は大学以外に通う編入予備校等の金額が必要になってくると思います。
オプションの詳しい費用は2章でご紹介していきますので以下をご覧ください。
2.必須ではないけどオプションで発生する費用
オプションで発生してくる費用としては主に以下が挙げられます。
一番大きく金額が動くのは1の編入予備校の費用になり、コースを複数選択した場合などは最大100万円弱程発生してくる可能性があります。それ以外の費用はかかるといっても、10万円弱になるケースが多いと思いますので、オプションの費用を考える上で一番重要なポイントは、編入予備校に通うか否かという点になってきます。
以下で詳細について解説します。
2-1.編入予備校の費用
前述の通り、編入予備校とは、ご自身が通う大学・短大・専門学校など以外に編入学の対策授業を受講する予備校のことです。
編入予備校に通わなくても独学で合格する人もいますが、独学だけでは不安な人、編入学試験に対してより万全の準備をしたい人が通うことが多いです。
金額は4月~10月くらいまでのコースが50万円台~70万円台程度で設定されていることが多く、それ以外は夏季講習などが単発授業で数万円~、短期の授業セットが10万円~20万円程度で組めるようになっています。※税込み
■編入学のサポートがない専門学校や短期大学に進学した方
■4年制大学から編入学を目指す方(学校で編入学のサポートがない方)
■しっかり対策して国公立・難関私立大学など、よりレベルの高い大学に編入学したい方
は編入予備校に通うことも視野に入れても良いと思います。以下に編入予備校の費用例のリンクを用意してありますので、確認してみてください。
≫中央ゼミナール コース別学費一覧
≫ECC編入学院
≫日本編入学院
2-2.学内の対策講座受講料
上記とは逆に編入学のサポートが充実している専門学校や短期大学もあります。そういった学校では学内で通常のカリキュラムとは別に、対策講座を展開していることがあり、必修ではないことが多いですが、その受講料が発生してきます。
例えば当ブログを運営する専門学校 神田外語学院の場合、以下のような形で対策授業を行っています。
■編入学対策授業
項目 | 概要 |
実施時間 | 90分8コマ実施(720分)= 1単位認定あり |
受講料 | 1講座 4,000円(1コマ500円×8週実施) |
実施日程 | 各学期放課後等、長期休暇にも集中講座を実施 |
科目 | 経済学概論、経営学概論、国際関係学概論、法学/政治学概論、社会学概論、言語学/英語学概論、英米文学概論、コミュニケーション学概論 |
神田外語学院の学生の場合、平均して4講座くらいをとる人が多いので、計16,000円くらいになると想定されます。
あくまで神田外語学院の例になりますので、他の学校の場合は異なる可能性があります。ご注意ください。
神田外語学院の対策講座は、通常の学費を納めていただいている分、価格をかなり抑えて提供しています。(通常の編入予備校での相場は授業にもよりますが、1講座4~5万円以上になります。※入学金等は別途)
気になる専門学校などがある場合、対策講座の費用を必ず確認するようにしてください。
2-3.TOEIC®受験料
編入学試験ではTOEIC®のスコアが必要になるケースが多いです。受験の条件にTOEIC®の点数が課されていたり、一定の点数をとっていると英語試験が免除される大学などがあるからです。例えば東北大学や埼玉大学の経済学部ではTOEIC®の点数を英語点として換算していますし、群馬大学の社会情報学部や獨協大学の外国語学部ではTOEIC®の点数が出願条件で課されています。※2020年2月時点
TOEIC®の受験料は「6,490円(税込)」となっていますが、一定のスコアに達成するために、最低4~5回程度の受験は見込んでおいた方が良く、必須ではありませんが最低3万円前後は予定しておくことをお勧めします。
2-4.参考書の費用
上記のTOEIC®に関する参考書や、専門科目の参考書の費用も発生します。人により金額は変わりますが、こちらも2~3万円程度見込んでおいた方が良いでしょう。
編入学の参考書は以下を参照してみてください。
≫大学編入学 学問別 お勧めの参考書
2-5.受験の際の交通費や宿泊費
こちらはお住まいの地域などによって大きく異なるとは思いますが、関東から九州の大学など遠方の大学を受験する場合、交通費と宿泊費で1校3万円~5万円程度は見積もっておいた方が無難でしょう。
ここまでは編入学試験に絶対にかかる費用と、オプションでかかる費用をご紹介してきましたが、そのかかる費用は膨大になるため、軽減する方法がもしあれば、出来るだけ活用したいですよね。続く3章では、その金額を軽減する方法をご紹介していきます。
3.編入学試験にかかるお金を軽減する方法
大学編入学には多くの金額が発生しますが、その金額を軽減する方法は以下のように4つ存在します。
(1)奨学金をもらう(10~100万円程度 ※学校により異なる)
(2)奨学金を借りる(2~12万円/月 ※JASSO)
(3)教育ローンを借りる(上限350万円 ※日本政策金融公庫)
(4)アルバイトをする(月5万円程度)
それぞれ解説していきます。
3-1.奨学金をもらう
奨学金というと「お金を借りる」というイメージがあるかも知れませんが、実は返さなくても良い「給付型」や支払う額自体を下げてくれる「免除・減免型」の奨学金も存在します。以下の一覧をご覧ください。
上記の赤枠で囲っている部分が返す必要のない奨学金のタイプになります。給付型や免除・減免型の奨学金を受けることができれば、それだけかかる費用の総額を減らすことができます。
■給付型奨学金
給付型は採用基準が高めですが、返済不要の奨学金ですので、機会があればぜひとも獲得したい奨学金です。
大学・短大・専門学校などの入学時のテストで優秀だった人、入学後の学業で優秀な成績を修めた人にそれぞれの学校から給付されるのが一般的です。例を挙げると、「入学時の成績が優秀だった人には学費の半額や全額を給付」、「在学時の成績が優秀だった人には30万円を給付」などといった形です。
もちろん優秀である必要があるため、給付型奨学金獲得には一定以上の努力が欠かせません。ただし、ものすごく高いレベルを求められるかというと、そうではないケースもあります。
しっかり授業に出て、真面目に学生生活を送る中で獲得できるレベルの奨学金もありますので、まずは進学を希望する大学・短大・専門学校やお住まいの自治体に挑戦できる給付型奨学金があるかどうか、確認してみるようにしましょう。
給付型奨学金のある学校等は、以下から検索することができます。
≫進路ナビ 「給付型奨学金を持つ学校一覧」
≫独立行政法人 日本学生支援機構「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」
※ご家庭の収入状況によっては給付が適用されないケースもありますので、必ず希望される給付金の適用詳細について確認をお願いします。
また世帯収入が少ないご家庭向けに新しい奨学金もスタートしますので、以下でご紹介しています。
日本学生支援機構の新しい奨学金制度がスタート
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経済的に困難な学生を支援するために、2020年4月に進学・進級する学生から、給付奨学金の対象者が広がっています。世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができます。
詳しくは以下のHPをチェックしてみてください。
≫独立行政法人 日本学生支援機構 「奨学金の制度(給付型)」
■免除・減免型奨学金
免除・減免型奨学金は、大学・短大・専門学校などの授業料や入学金などの費用を一部もしくは全額を、学校側が免除・減免してくれるタイプの奨学金です。こちらも入学時の試験や、在学中の成績により適用されるかどうか決まることが多いです。
免除・減免額は学校により異なり、数万円~数十万円の幅がありますので、志望する学校を以下からチェックするようにしてみてください。
≫進路ナビ 「免除型奨学金を持つ学校一覧」
≫進路ナビ 「減免型奨学金を持つ学校一覧」
3-2.奨学金を借りる
次に先ほどの一覧表では一番下にあたる、返済型の奨学金についてです。こちらの奨学金は残念ながら返済しなくてはいけないので一時的な軽減にはなりますが、採用基準が前述の2種よりは低めになるのがメリットになります。
貸与型では利率が無利息または低めに設定されているため、日本学生支援機構の奨学金を借りる方が多いです。一点注意が必要なのが、この奨学金はまとまった金額を借りる奨学金ではなく、毎月2万円~12万円の間※で月額貸与という形になる奨学金になるため、入学時の資金にすることはできません。
※第二種奨学金(有利子)の場合/2020年5月時点
詳細については以下のHPをチェックしてみてください。
≫独立行政法人 日本学生支援機構 「奨学金の制度(貸与型)」
3-3.教育ローンを借りる
上記以外の方法になると、こちらも一時的な軽減にはなりますが、政策金融機関から教育ローンを借り入れるという方法もあります。
尚、日本政策金融公庫の教育ローンの場合、金利が1.7%ですが(2020年5月時点)、銀行等の教育ローンは3%以上の場合が多く、金利が多く発生してしまう可能性があります。少しでも金利を低く抑えたい方は、利率の低い奨学金や日本政策金融公庫の教育ローンを検討してみた方が良いでしょう。
3-4.アルバイトをする
こちらは説明不要かも知れませんが、アルバイト等で学費の一部を稼ぐことも可能です。ただアルバイトをする時間を捻出するのは難しいと思います。編入学を目指す場合、大学・短大・専門学校の1年生から受験準備に取り組む必要があり、3年次に編入学した後はすぐに就職活動が待っているため、基本的にアルバイトをしている時間はほとんどありません。
短期のアルバイトなどであればできる可能性もありますが、基本的には奨学金やローンを中心に考える方が良いでしょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事では以下3点についてお話してきました。
◆編入学にかかる費用は、浪人するよりは安くすむ
◆オプションでかかる費用があり、大きくは編入予備校の有無が金額を左右する
◆編入学にかかる費用を軽減するなら、奨学金やローンを中心に検討するのがお勧め
皆さんが費用面のハードルをクリアして、ベストな進路を選択できることを祈っています!
大学編入学に興味をお持ちの方は、ぜひ以下の記事も併せて読んでみてください。