こんな疑問を持っていませんか? 近年は観光地だけでなく街中に中国語が溢れていることからもわかるように、中国語を活かせる仕事は数多くあります。訪日客が訪れる店はもちろん、中国進出する日本企業、日本進出する中国企業など、中国語人材の需要は右肩上がりです。
この記事では、中国語を活かせる仕事をレベル別に紹介するほか、
・中国語を活かせる仕事の探し方
・中国語を仕事に活かすためのポイント
などを解説していきます。将来、中国語を活かして働きたいという皆さんの参考になれば幸いです。
1.レベル別 中国語を活かせる仕事の例
中国語を活かせる仕事の例をレベル別にまとめました。早速紹介していきます。
以下でそれぞれの仕事内容や給料を簡単に紹介していきます。
※仕事で役立てられる最低水準は中国語検定3級程度です。就職活動前に少なくとも3級以上を取得しておきましょう。
就職における中国語検定の目安については、以下の記事もあわせてご覧ください。
※給料については、新卒または就任直後(1年目)の年収の推定値を記載しています。
1-1.初級レベルでできる仕事
初級(中国語検定3級〜2級程度)レベルの場合、主に旅行・観光や小売などの接客業が想定されます。
これらの業種の接客は、きっぷの販売やホテルのチェックインなど、会話がある程度決まっているやりとりが多く、語彙が少なくても対応できるからです。
グランドスタッフ
空港のチェックインカウンターで搭乗手続きをしたり、ゲートで搭乗案内をしたりする仕事です。手荷物の対応や乗り継ぎ案内などで、訪日客を相手に中国語を使う機会があります。
推定年収:300万円〜400万円
※グランドスタッフの仕事は以下の記事で詳しく解説しています。
キャビンアテンダント
グランドスタッフと比べると旅客と会話するタイミングは多くはありませんが、機内の免税品販売などで中国語を使う機会があります。入国書類の書き方を聞かれることもあります。
推定年収:400万円〜
※キャビンアテンダントの仕事・給料は以下の記事で詳しく解説しています。
車掌・駅係員
車掌の仕事は電車内での案内など、駅係員の仕事は改札・出札(きっぷを売ること)などです。中国語を使うシーンは、きっぷや乗り換えの案内などが考えられます。
推定年収:300〜400万円
旅行会社スタッフ(手配業務など)
旅行会社には、日本人向けに海外のホテル、訪日客向けに日本のホテルなどを代理手配する仕事があります。メールでのやりとりがメインですが、電話での問い合わせも考えられます。ただし、やりとりはある程度決まっているので高度な中国語スキルがなくても対応できるでしょう。
推定年収:350〜450万円
ホテル・旅館スタッフ
ホテルや旅館の仕事は様々な種類がありますが、中国語を活かす機会が多いのは宿泊部門(レセプション等)や料飲部門(レストラン等)、コンシェルジュ等です。チェックインのやりとりや料理の注文・説明などで中国語を使うことがあるでしょう。都心だけでなく、地方の観光地でも中国語の需要はあります。
推定年収:300万円〜400万円
飲食店・免税店店員
飲食店や免税店など、中華圏からの訪日客が訪れる店には常に中国語人材の需要があります。メニューや商品の説明、注文・免税処理など、あらゆる場面で中国語を活かせますが、いずれも定型的な会話なので求められる語学レベルはそれほど高くありません。
推定年収:300〜350万円
1-2.中級者ができる仕事
中級(中国語検定準1級程度)レベルでは、貿易事務などに従事できます。いわゆる「ビジネスレベル」にあたります。
中級レベルの仕事は主に企業同士のやり取り(BtoB)になるため、初級レベルで紹介したような一般客を相手にする仕事(BtoC)に比べると一気に高いレベルが求められますが、語彙や表現力は仕事の経験を積むうちに向上するでしょう。
海外営業
海外向けに商品を売り込む仕事です。一般的な製品だけでなく、不動産や投資商品を売ることもあります。セールスのための語彙力や会話力が必要です。
推定年収:450万円〜
ブリッジシステムエンジニア
システムエンジニア(SE)とは、システムの設計や開発をする仕事です。近年は開発を中国に外注することもあり、ブリッジSEは中国側にシステムの仕様を伝えたりする調整役を担います。中国語力は中級程度でも問題ありませんが、SEとしてのスキルが必要です。
推定年収:450万円〜
バイヤー
小売店で販売する商品を海外から買い付ける仕事です。買い付け先と対面やメールで価格交渉などもするため、ビジネスレベルの語学力が必要になります。入社後すぐにバイヤーになれるわけではなく、一般的には販売などの経験がある程度必要です。
推定年収:400万円〜
貿易事務
貿易の輸送手配や通関(輸出入の許可を取ること)代行の仕事です。主に書類など文面での仕事になるので、読み書きの力が特に重要です。基本的には定型的な仕事なので、中級程度の語学力でも問題ありません。
推定年収:400万円〜
1-3.上級者ができる仕事
上級(中国語検定1級程度)は、プロフェッショナル人材と言えるレベルです。
語学を活かした仕事と言えば通訳者・翻訳者などが真っ先に浮かぶと思いますが、これらの仕事は非常に高い語学力が必要です。
通訳者
会社に雇用される(社内通訳者)か、自分で仕事を探す(フリーランス通訳者)かによって仕事の内容や給料は異なります。社内通訳者は会社の商談や会議などの通訳を担当します。フリーランス通訳者の場合は様々な仕事がありますが、訪日客の案内をしたり、芸能人やスポーツ選手の通訳をしたりすることもあります。
推定年収:400万円〜(社内通訳者の場合)
翻訳者
中国語の書籍などを日本語に翻訳する仕事です。最近は中国のソーシャルゲームなどの翻訳もあります。通訳者と同様に、会社に雇用される(社内翻訳者)か、自分で仕事を探す(フリーランス翻訳者)かによって仕事の内容や給料は異なります。
推定年収:400万円〜(社内翻訳者の場合)
中国語講師
中国語会話教室や高校・大学の講師などです。人に教える仕事なので、他の仕事に比べて発音が特に重視される傾向があります。「話す・聞く・読む・書く」の4技能が全体的に求められます。
推定年収:400万円〜(常勤の場合)
日本語教師
中華圏の大学などで学生に日本語を教える仕事です。中国語力はもちろんですが、正しい日本語を教える仕事なので国語教師並みの日本語力が必要です。
推定年収:10万元(約160万円)〜(中国の大学の場合)
※別途、寮や光熱費等を負担してもらえる場合があります。
2.タイプ別 おすすめの中国語を活かせる仕事
1章で紹介した仕事の中から、以下の3タイプ別のおすすめの仕事を紹介していきます。
タイプ1.会話力を特に活かしたい
タイプ2.読み書きの力を特に活かしたい
タイプ3.全体的に活かしたい
2-1.会話力を特に活かしたい人におすすめの仕事
会話力を特に活かしたい人には以下のような仕事が適しているでしょう。
・グランドスタッフ(初級)
・キャビンアテンダント(初級)
・車掌・駅係員(初級)
・ホテル・旅館スタッフ(初級)
・飲食店・免税店スタッフ(初級)
・海外営業(中級)
・通訳者(上級)
このような仕事は対面でのやりとりがメインとなるからです。初級者向けの仕事の中では、特にグランドスタッフやホテルスタッフは中国語を使う機会が多い傾向にあります。
2-2.読み書きの力を特に活かしたい人におすすめの仕事
読み書きの力を特に活かしたい人には以下のような仕事が適しているでしょう。
・旅行会社スタッフ(初級)
・貿易事務(中級)
・翻訳者(上級)
旅行会社スタッフや貿易事務は、メールや書類でのやりとりが主体となるからです。翻訳者も読み書きの力が重要となるのはイメージできると思います。
2-3.全体的に活かしたい人におすすめの仕事
「読む・書く・聞く・話す」を全体的に活かしたい人には以下のような仕事が適しているでしょう。
・バイヤー(中級)
・ブリッジSE(中級)
・中国語講師(上級)
・日本語教師(上級)
これらの仕事は文面でも対面・電話でも相手と接する機会が多く、総合的な語学力が必要となるからです。
3.中国語を活かせる仕事の探し方
続いて、中国語を活かせる仕事の見つけ方を紹介していきます。日本での仕事か、現地(海外)での仕事かによって探し方は異なります。
3-1.日本採用の場合
日本での仕事を探す場合は、求人情報サイトを使うのが最も効率がよいでしょう。検索キーワードを設定して、希望業種・職種や条件、給料等を比較検討しながら探すことができます。
※日本国内で専門的に中国語を活用する仕事は、基本的にはある程度社会経験を積んだ人が対象です。新卒の場合は、まずは社会経験を積むために中国語に固執せずに就職活動をした方がよいケースもあります。
中国語を活かした仕事を探せる求人情報サイトは、以下のようなものがあります。
・indeed
https://jp.indeed.com/
中国語専門ではありませんが、検索キーワードに「中国語」と入れると様々な仕事が出てきます。通訳・翻訳から講師、事務職まで、多方面の仕事を探せます。
・中国語人材求人センター
https://tenjee.com/
「中国語を活かせる求人」と「日本語を活かしたい中国籍の求人」に特化した求人サイトです。中国に進出している日系・外資系企業だけでなく、日本でビジネスを展開している中華系企業の求人を探せます。
このほか、各企業のサイト内で独自に求人情報を出している場合があります。希望の業種がある程度決まっている場合はその業界の企業サイトも合わせて確認してみましょう。
3-2.現地(海外)採用の場合
海外での仕事を探す場合は、海外求人専門の求人情報サイトを参考にしましょう。知人の紹介などで仕事を探すことも可能ですが、初めて現地採用に挑戦する場合は、雇用契約や移住などの相談もできるエージェント(仲介)サービスを使う方が安心です。例として以下のようなサイトがあります。
・カモメ中国転職+アジア
https://kamome.cn/
日本で総合人材サービスを展開するリクルートグループの求人情報サイトです。中国を中心としたアジア圏での仕事を探せます。飲食店スタッフから通訳・翻訳まで、様々な種類の求人があります。
・RGF HR Agent
https://www.rgf-hragent.asia/
こちらもリクルートグループのサイトです。コンサルタントに相談しながら、多くの求人情報から仕事を探すことができます。
4.中国語を仕事に活かすためのポイント
中国語を活かせる仕事に就くために心がけるべきことや、勉強しておくべきポイントはこの5つです。
4-1.仕事の方向性を絞る
まずは仕事の方向性を絞りましょう。仕事によって必要な語学レベルや技能が異なるからです。
例えば、接客業をしたいなら会話力、翻訳の仕事がしたいなら読み書きの力が特に重要になってきます。
もちろん、どんな仕事にも対応できるマルチな中国語力があればベストですが、まずは重点的に強化すべきスキルを把握しておきましょう。
4-2.中国語検定やHSKなどの資格を取る
中国語検定(中検)や漢語水平考試(HSK)など、自分の中国語レベルを証明できる資格を取っておきましょう。
1章で紹介したような中国語を活かせる仕事の募集では、こうした資格を持っていることが応募条件や目安になっていたり、有利になったりすることがあります。
例として、中国拠点の家電メーカー「ハイアール(海尔)」日本法人の求人情報を紹介します。
ハイアールジャパンセールス株式会社 品質管理部 一般職 求人詳細 (※一部抜粋)
【業務内容】
・返品検品/地検品データ入力管理
・各種品質データ入力/集計
・返品検品作業のサポート(検品補助員)
・渉外チームメンバーのサポート(資料、メール作成)<MUST>
・中国語能力(中国語検定3級以上)<WANT>
・中国語検定2級以上(引用元)ランスタッドの【転職エージェント】
応募条件に資格に関する記載がない場合でも、有資格者の方が資格が何もない人よりも有利になることは明白です。
中検もHSKも年に複数回実施されているので、まだ受けたことがない場合は一度挑戦してみましょう。
※就職における中国語検定のレベル目安については、こちらの記事もご覧ください。
中国語検定を就職に活かすなら何級?有利になる業界と目標級を解説
4-3.中華圏の文化・習慣を理解する
中国語を活かせる仕事をするということは、中華圏の人を相手に仕事をするということです。日本人と中華圏の人との間にある文化・習慣的な違いを理解しておかないと、不要なトラブルを招いてしまうかもしれません。
例えば、日本人は言いにくいことを言うとき、婉曲的(遠回し)な表現をしがちです。しかし、中華圏の人たちははっきりと直接的に意見を言う傾向があります。自分の意志を伝えたいときは、臆せずはっきりと意見を言いましょう。
また、お礼の習慣にも違いがあります。仕事相手に何かお世話になったとき、日本社会ではその場でのお礼に加えて、後日またその人に会った際に「先日はありがとうございました」と再びお礼を言います。しかし、中華圏では、後日再度お礼を言うことはほとんどありません。何度もお礼を繰り返すと、「人間関係に距離がある」と捉えられてしまうのです。
「意見を察してくれない」、「不義理だ」と感じるかもしれませんが、それが文化・習慣の違いなのです。こうした違いを理解していれば、中華圏の人とより円滑に仕事ができるようになるはずです。
4-4.中国古典の知識を身につける
中華圏の人と話していると、中国古典を引用した表現がごく自然に出てくることがあります。古典の知識があれば、会話の理解度が一気に上がります。
わかりやすいように、日本人同士の会話の例を挙げます。
「沙羅双樹の花の色」は平家物語の冒頭部分に出てくる言葉で、「盛者必衰の理をあらわす」と続きます。知識がある人なら、「勢いがある人もいつかは衰える」ということを言っているのだとすぐに理解できるでしょう。
中国語では、このような古典を引用した表現が日本よりも一般的に使われます。
中国古典を引用した表現を自然に使えるようになると、「この人は教養があるな」と信頼感を与えられます。まずは、非常に有名な孔子の「論語」や、「韓非子」などから読み始めるとよいでしょう。
4-5.中国語力だけでなく人間力を身につける
中国語力だけでなく、人間力を身につけることも必要です。
いくら流暢に中国語を話せたとしても、ビジネスでは肝心の「仕事をする力(=仕事力)」がなければ戦力にはなりません。その仕事力に直結するのが人間力です。
人間力とは、主体性や積極性、発信力、傾聴力、協調性など、様々な要素が組み合わさったものです。仕事力は仕事を繰り返すなかで磨かれるものですが、人間力は学生のうちから意識して高めることができます。
語学力は仕事の幅を広げるための補助能力にすぎません。語学力があれば仕事ができるというわけではないことを頭に入れておきましょう。
5.中国語を学ぶなら神田外語学院
本格的に中国語を勉強するなら、神田外語学院がおすすめです。アジア/ヨーロッパ言語科中国語コースは中国語を学んだことがない初心者が対象で、ピンインや声調、母音・子音の発音など、中国語を基礎から学べます。
5-1.2年間で中国語検定2級の取得を目指す
必修の中国語検定対策講座では、1年次は中国語検定3級、2年次は3級~2級の合格を目標に、問題の傾向を学び対策していきます。
入学時は中国語を全く話せない状態でも、卒業までに2級に合格する学生が定期的に出ています。
5-2.声調・ピンインを一から学び、正しい発音を身につける
中国語は日本語や英語と違い、声調を間違えると通じにくい言語なので、発音は最重要です。神田外語学院の授業では、中国語の発音の基礎である声調とピンインを一からしっかり学び、確実に通じる正確な発音を身につけます。
MOVE多言語センター
学内には、先生や他の学生と交流できる「MOVE多言語センター」を設置しています。授業以外の時間でも会話の練習や、検定対策・学習計画の相談などが気軽にできます。
5-3.文化や伝統、最新事情に触れて中国語圏への理解を深められる
横浜中華街へのフィールドトリップ
授業の一環で横浜市の横浜中華街を訪れます。
横浜中華街発展会協同組合から、横浜関帝廟や横浜媽祖廟などの代表的施設について説明を受け、中国の思想や宗教、歴史への理解を深めます。さらに、店員の方々と中国語で話すことで、授業で身につけた会話力を試すとともに、今後の課題を発見します。
中国・青島濱海学院 春季短期研修
※新型コロナウイルスの影響により休止中です。
一年次の春休みには、中国・山東省青島市の青島濱海学院での2週間の短期研修を毎年実施しています。
大学のキャンパス内で学ぶため、大学内の施設を利用でき、現地の学生や他の国からの留学生と中国語で異文化交流できるチャンスもあります。また、太極拳や切り紙、書道、舞踊などの中国文化体験や青島市内の観光なども含まれます。
青島濱海学院は神田外語学院と教育交流の提携を結んでいるため、一定の条件を満たした学生は、神田外語学院卒業後に青島濱海学院の3年次に編入することもできます。
\神田外語学院の“リアル”を体験!/
\2分で簡単!/
※神田外語学院の教育の特長を以下の記事で詳しく解説しています。
6.まとめ
この記事の内容をまとめます。
■中国語を活かせる仕事はさまざまな業種・職種がある
■中国語を活かせる仕事を探すには求人情報サイトがベスト
■中国語を仕事に活かすためのポイントはこの5つ
・仕事の方向性を絞る(4技能どのスキルを活かすかなど)
・中国語検定やHSKなどの資格を取る
・中華圏の文化・習慣を理解する
・中国史や中国古典の知識を身につける
・中国語力だけでなく人間力を身につける
この記事を参考に、自分に合った仕事を探してみてください。中国語を活かしたいと考える皆さんの将来を応援しています!
※就職に向けて中国語検定受験を検討している方には、以下の2記事もおすすめです。