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昭和62(1987)年4月、神田外語大学が開学しました。当時は、英米語、スペイン語、中国語、韓国語の4学科しかありませんでした。でも、1期生たちは 「自分たちがこの大学を創るんだ」という意気込みもあって、さまざまな部活動などを始めました。私もESSの顧問を引き受けました。
開学後2年間のカリキュラムは、原岡先生とフランシス・ジョンソン先生が中心となって立案していました。ジョンソン先生は、コロンビア大学でTESOLを学び、オーストラリアで英語を母語としない人への英語教育を実践し、多くのテキストを執筆されてきた方です。
ジョンソン先生は「3つのi」の大切さを提唱されていました。"individualization"(学生が自らの特性に合った学習方法を発見し、責任を持って学習を遂行していく)、"interdependence"(学生同士助け合い、協働で学ぶ)、"interaction"(高密度のインタラクションを行う)です。授業では、学習者は互いに依存しながら学び、互いに影響を及ぼすことが大切であるとともに、一人ひとりに合った学習法を習得していくという考え方です。その考えは神田外語大学の英語教育の指針となりました。
ジョンソン先生の主導で、神田外語大学では開学3年目の平成元(1989)年に、ELI(English Language Institute)が設立されました。TESOL修士号を持つ外国人を教員として採用し、授業外でも英語を使用する機会を設けたELIは当時としては、とても先駆的な取り組みだったと思います。ELI教員は1、2年次を中心とした英語教育の担当としてカリキュラムの一端を担うようになっていきました。
4人でスタートしたELIは、その後、令和6(2024)年度には60人以上の規模にまで発展しました。発足当初、ELIの主な役割は授業内外で学生の英語学習をサポートすることでしたが、その役割は徐々に拡大していきました。現在では、神田外語大学全体の英語教育の改善を目的としたさまざまな共同研究も実施しており、英語教育のプロフェッショナル集団として認識される組織へと成長していると感じています。
※フランシス・C・ジョンソン神田外語大学名誉教授『ELI のカリキュラムは進化する』 https://www.kandagaigo.ac.jp/memorial/interview/03/interview_03_1.html