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すでに触れた通り、昭和62(1987)年に開校したコロンビア大学ティーチャーズカレッジ日本校では、修士課程でTESOLを学べました。私は非常勤講師を務めていましたが、残念ながら平成23(2011)年には閉校することが決まってしまいました。
神田外語グループでは夏期公開講座を通じて、現職の英語教員に教授法のノウハウを提供してきました。でも、単にノウハウやスキルを覚えるだけでなく、もっと理論に根差した英語教授法の実践を先生方に学んでほしいという想いが私には常にありました。
そこで、神田外語グループの佐野元泰理事長に「コロンビア大学のTESOL大学院が閉校します。プログラムを教員を含めて引き継いでみませんか」と相談してみたのです。私は非常勤講師をしていた関係でさまざまなリソースを引き継げる可能性を見いだしていました。佐野理事長は、「面白いですね。うちでやってみましょう」と快諾してくださいました。その英断は本当に素晴らしかったと思います。
しかし、新たな大学院のプログラムを立ち上げるのは容易なことではありません。まったく新しい大学院を設立するのではなく、神田外語大学に以前からある大学院言語科学研究科の「英語教育プログラム」をリニューアルする形でTESOL大学院を導入することが決まりました。
英米語学科の小林真記先生、伊藤泰子先生、朴シウォン先生(現・順天堂大学国際教養学部教授)が全面的に協力してくれて、事務局からも学事部長の長田厚樹さんや学長室長の二瓶清実さんをはじめ職員の方々が積極的に、自分ごととしてさまざまな案を出してくれました。
通常の業務に加えての作業だったので本当に大変でした。大詰めの作業で朴先生が私の暮らす横浜まで来て、ホテルに滞在しながら一緒に書類の校正をした思い出もあります。きっと、「よい英語教員を育てたい」という情熱を共有できていたからこそ、大変な仕事をやりきれたのだと思います。そして、仕事をしていくうえで、最も大切なのは人間関係であると改めて思いました。
平成25(2013)年9月、神田外語大学大学院言語科学研究科MA TESOLプログラムが開設され、私はプログラム・ディレクターに就任しました。