元国連大使・吉川元偉先生による講演会「アフガニスタン情勢を読み解く」が実施されました

2021.10.25

日々ストイックにビジネスや国際開発について学ぶ、グローバルコミュニケーション科の学生たち。彼らに向けて、元・国連大使の吉川元偉先生による特別講演会が今回実施されました。講演会のテーマは、長年世界的な問題として取り上げられている「アフガニスタン情勢」。この問題を通して、昨今の国際情勢の読み解き方をレクチャーしていただきました。

「国際社会において武力による報復は許されることなのか?」

今回のテーマであるアフガニスタン問題の発端は、ニューヨークの世界貿易センタービルに航空機が突入した「アメリカ同時多発テロ事件」。20年前ニューヨークで外交官として勤務していた吉川先生は、当時の騒然とした様子を語ります。また、今回は学生たちにアフガニスタンに関する問いを事前にいくつか出題。学生たちは自身で調査し、あらかじめ自分の考えを明確にしたうえで講演会に臨みました。

「武力行使はお互いに犠牲者を増やすだけ。いかなる理由でも許されないことだと思う」
悩みながらも自分の考えを言葉にする学生。一筋縄ではいかない各国が抱える問題の大きさが浮き彫りになります。

早速、吉川先生は学生たちに問います。

「アメリカはテロ事件の報復としてアフガニスタンを攻撃しました。しかしこれは果たして許されることなのでしょうか」

入念な事前準備をし、吉川先生の問いに対して自分の考えをまとめたうえで講演会に臨んだはずの学生たち。しかしそこには「自分の考えは本当にこれでいいのだろうか?」と頭を悩ませる姿がありました。

「私たち日本がアフガニスタンにできることは何か」

「支援金を送るだけでは不十分。アフガニスタンの国民が自分たちで問題を解決できる体制づくりをサポートするべき」
「今まで日本はたくさんアフガニスタンに支援をしてきた。これからは世界各国にも支援の声がけをしていく必要があるのでは」
今後の日本とアフガニスタンとの関わり方に対し、さまざまな意見が飛び交います。

さらに学生たちが頭を抱えたのは「日本はアフガニスタンへどのような支援をしていくべきなのか」という問い。同じアジアの国として、私たちはアフガニスタンに何ができるのか。苦慮しながらも自身の答えを導きだす学生たち。

吉川先生から、「現在世界で起こっているできごとについて『よくわからないから』と敬遠するのはもったいない。まずは好奇心をもってみてください。さまざまなことに興味をもって、新聞やBBCなどのニュースを読んでみる。きっと自分の世界が変わりますよ」とアドバイスが。

世界を舞台に活躍するには、語学力だけではなく「+α」の能力が求められる時代。国際開発に携わるのであれば、歴史上その地域で何が起きたのかを学ぶだけではなく、宗教や文化、そして政治がどのように関わって今日の国際社会を形作ってきたのかを考えることが必要です。吉川先生の講演会は、それを学生たちに気づかせてくれたようでした。

「クリティカルシンキング」の重要性

瞬く間に終了の時間が近づいた今回の講演会。最後に、吉川先生から学生たちに向けて「クリティカルシンキングの大切さ」についてお言葉がありました。

―吉川先生より―

「どんな問題にも必ず『賛成と反対』の両方の見方があります。どちらかの立場に偏るのではなく、ぜひどちらの立場にも立ってみてください。そのうえで自分の意見や考えを作って、友達とたくさん議論をするのもいいでしょう。たとえ世間と考え方が異なっていても、ものごとの本質を見据えて自分の考えを貫くことができる力。ぜひ皆さんにはこの力を身につけてもらいたいですね」

クリティカルシンキングは直訳すると「批判的な考え方」。しかしこれは裏を返せば「多角的にものごとを見る力」と言い換えることもできます。人は、自分にとって都合のいいものや興味のあるものばかりに目を奪われがちです。「日本の身近なメディアだけに囚われるのではなく、積極的に世界のさまざまな情報ソースにふれてみること。そして、相手や第三者の視点でものごとを考えてみること」。これこそが、日本の若者たちが国際社会で活躍できる人材になるための小さな一歩なのかもしれません。