違う世界で共存する挑戦

高校時代はイギリス、大学時代にはアメリカに短期留学をしました。その際に感じたのは“違う世界を知る大切さ”でした。その時から機会があれば、海外で仕事や、長期滞在をしたいという気持ちが芽生えました。
イオン株式会社に出向し、人材育成部では海外を含めたグループの経営幹部候補の研修を担っていました。学生時代から英語能力を向上する努力をしていたものの、海外とのやりとりに苦労し、ベルリッツの英語集中講座を受けたこともありました。その後、希望していた海外赴任の機会があり、教育や人事総務の担当として6年間マレーシアで仕事をしていました。地域密着を大事にするイオンは、マレーシアの人々との共存を目指し、その地域の生活に即した品揃えを行っていました。敬虔なイスラム教徒であるマレー人が国民の70%であることから、ハラール認証を取得した寿司や弁当を販売していました。マレーシアにおけるイオンは、進出してからすでに35年以上の歴史がありますが、創業時は小売業が定着していませんでした。そのため、現地の従業員が日本のイオンの店舗で研修を受け、そのノウハウをマレーシアに持ち帰るトレーニングプログラムを導入し、最近まで継続して実施していました。私もそのプログラムの運営に関わりましたが、日本で学んだ技術を自国に持ち帰るために努力するするスタッフを支援するのは有意義な経験でした。

「理解する努力」が異文化をもつ人と通じ合うカギ

マレーシアでは信頼関係を築くため、理解しようとしている態度を示すことを最も大切にしていました。コミュニケーションをとる際には、相手や文化を尊重し、あいまいな表現は避けるように努めました。また、文化を理解する意味で、招待された食事や結婚式、それぞれの宗教でのお祝いのイベントには積極的に参加し、一緒に楽しみました。
マレーシアでは、マレー語が第一言語、英語は第二言語になります。本社の公用語は英語でしたが、店舗のスタッフは英語のレベルに格差がありました。そのため、“伝える”ためにはどうするのが効果的かを考え、店舗のスタッフに話をする時にはマレー語で原稿を作って話すこともありました。

熱意をもって伝えることで道は拓ける

日本語でも外国語でも、言いたいことを言うのではなく、相手に伝わるかどうかを意識することが、話をするときに最も重要なことだと思います。話すという事は、相手に理解してもらうことが目的であり、加えて、意思や熱意を持って伝えることで、相手との繋がりもできると思います。ただ、外国語で意味合いや言葉の本質を伝えることは容易なことではありません。言語能力と表現力の二つを磨く必要があると考えます。言葉使い、抑揚、姿勢、ジェスチャーなどを駆使しなければいけません。そのため、入念に準備をすればするほど、熱意となって相手に伝わります。このコンテストは、英語力・表現力を含め、多くのものを学べる機会で、参加することが大きな意味をもつと考えますし、伝えるために努力したことは必ず報われます。

参加する学生の皆さん、準備は万端ですか?

このようなコンテストに応募して参加する決断は素晴らしいです。学生の皆様に拍手を送りたいです。
コロナ禍という時代で、オンラインでの学習が進み、学習のしかたはより一層多様化しましたが、残念ながら留学や旅行は大きく制限され、直接学ぶ実体験をすることが難しくなりました。そんな中でもオンラインで体験を積み重ねることで学びは広がると考えています。
プレゼンテーションは準備が一番大事です。150%の準備をすることで、自分が想定した通りのプレゼンができると思います。確実に準備すれば報われます。精一杯頑張ってください。