【第1部:バダヴァモヴァ ザリナ】チャンスを逃さず来日

私の母国カザフスタンでは、日本のアニメが時々放送されていて、小さい頃に見たセーラームーンが日本への入口でした。その後も日本に興味を持ち、大学では日本語学科を専攻。日本での生活に憧れがあり、留学を実現させました。
大学4年生のとき、カザフスタンに初出店するために市場調査をしていたイオングループのミニストップ株式会社で通訳として、オファーをもらいました。日本の大学院進学と迷っていましたが、しばらくカザフスタン支店で働けば、日本の本社で働けると言われ、このチャンスを逃したくないと思い就職を決めました。日本に来てから秘書や広報部を経験し、2019年よりイオン環境財団に出向しています。メイン業務は植樹事業と広報活動。もともとミニストップで広報を担当していたので、その経験を活かし、記者会見対応や概要書・リーフレット作成、リリース配信などを行っています。また、今年の4月からは植樹事業も担当することになりました。各地のボランティアの皆さまとともに行う植樹イベントの他、苗木をステークホルダーの皆さまに配布し、約1年間育てて頂いた後、イオンの森に植えるというコロナ下でも実施可能な「苗木里親プロジェクト」、当財団設立30周年記念事業の一環として、さくらの名所づくりとともに緑を増やしていくことを目的に開始した「植樹30万本プロジェクト」などを行っています。この植樹活動をもっと広めていき、世界共通の課題である環境問題の解決に貢献したいと考えています。

「わかったふり」は禁物

日本で働き始めた頃は、考え方の違いに大きな差を感じました。日本語の便利なところでもあるのですが、曖昧な表現がたくさんありますよね。“YES”か“NO”ではない曖昧な表現が度々あり、何をすればいいのかわからない時がありました。暗黙のルールのようなものが多くて、雰囲気を汲み取ることができなかったのです。しばらく苦労しましたが、そういった雰囲気に対してわかったふりをせず、なんでも聞くことを徹底し、理解を深めていきました。だんだんと日本の考え方や意志を理解できるようになり、話をきいて「なるほど」と思う機会が増えていきました。

物事を俯瞰する力とスピード

当財団は限られた人数で業務を遂行しているため、特定の業務に取り組むだけではなく、一人ひとりが俯瞰して業務を進める必要があります。また、環境の変化に対応するスピードや常に新しいことを考えていくことも求められます。未経験の業務を進めていくことは不安に感じることもありますが、積極的に挑戦すれば、思ったよりできることが多いです。グループ内外のネットワークを広く活用しながら、さまざまな経験を自分のものにすること、考え方や視点を広げていけるところは当財団の大きな魅力です。

やった後悔よりやらなかった後悔

私は学生時代から話すことが苦手で、このようなコンテストに参加していなかったので、プレコンにチャレンジする皆さんを見ていると、私もチャレンジすれば良かったと感じます。とにかく経験が大事ですので、飛び込んでみてください。結果が伴わなくても、自分の強みと弱点が見えてくると思います。
何に対しても言えますが、少しでも興味があるものには挑戦したほうがいいと思います。留学は私にとって大きなターニングポイントでした。日本でさまざまな人とコミュニケーションをとって、自分の成長を感じる日々でした。やった後悔よりやらなかった後悔の方が大きいです。とにかくチャレンジしてみることが大事です。

【第2部:吉永 園】憧れの国「日本」

私は中国・上海の出身です。上海には日系企業の支社が多くあり、上海に住む日本人は私が小さい頃からとても多かったです。ただ、日本人が多いにもかかわらず、日本語を上手に話せる人が少なかったので、高校では第一外国語を英語ではなく日本語にしました。日本の情報源は日本人と結婚した叔母。叔母が日本から持ってきてくれたレーザーディスクで見たSMAPが大好きになり彼らが出ている番組やドラマをよく見ていましたが、話している日本語がどんな意味なのかを知りたくて、高校卒業後に日本へ留学することを決意。東京にある語学学校で勉強して、神田外語大学外国語学部国際コミュニケーション学科に入学しました。
私は当時留学生の二期生で、先輩は3人で留学生が少なかったため、手厚いサポートを受けられると思ったことが入学の決め手でした。
大学卒業後に帰国するつもりでしたが「留学経験に加え日本の企業文化を学ぶことが将来に役立つ」という父の助言を受け、日本で2~3年就職し、その後帰国するつもりでしたが、そのまま今まで仕事をしてきました。就職当時は観光業を目指していましたが、イオングループに旅行会社があることを知り、イオンであれば自分の可能性をさらに広げられると思い、入社を決めました。

社内外を巻き込む調整力とチャレンジ精神が試される

入社後、店舗勤務や新店の開設などを経験し、2015年よりイオン環境財団に出向しています。現在のメイン業務は、SDGsの推進と環境教育事業です。次世代を担う子どもたちや若者をはじめ、多様なステークホルダー向けに環境意識を高める推進活動に取り組んでいます。
当財団は事業特性上、多くのステークホルダーとともに、事業を展開しています。さまざまな思いを持った関係先と、どのように同じ方向に走っていくかが難しくもあり、やりがいも感じます。関係先が多いことでノウハウを出し合うことによりシナジー効果が生み出され、一番魅力的なところだと思います。環境問題は自分たちだけではなく、日本、アジア、世界共通の課題ですので、日々世の中に役に立つ仕事をやっているという誇りを持っていますね。

日本で経験した苦労 ~外国語+アルファの知識を身につける~

来日前に必死に日本語の勉強をしていたので、留学当初から言葉や日常生活における苦労はほとんどなかったです。神田外語大学入学後も、講義の内容は理解できましたし、イオンの店舗勤務時代の接客も問題なくできました。しかし、本社に異動になったとき、来日9年目だったにも関わらず初めて日本語が分からないと感じ、自信を無くしました。
電話応対だけでも、店舗勤務では、電話の相手は常にお客さまだったため、こちらに対する要望などが中心で、それに対応していました。本社勤務では、どんな関係性かまだ分からない様々な関係先から電話が掛かってくると、焦ってしまい聞き取れなくなりがちでした。部署の打合せでも、過去の背景や業務における知識などを知らないため、言葉自体は理解していましたが、会話で自分の意見を述べることができませんでした。
これらの経験から、どんなに言葉を勉強したとしても、一歩さらに踏み込んでプラスアルファを知ることが大切だと学びました。一つでも得意な分野を作れると強みになると思います。今後は環境分野をより一層勉強していきたいと思っています。また、私には小学3年生の子どもがいますが、母親として、子どもが生活する環境や環境に対する意識をとても気にしています。そこで、まず自分ができることは、イオン環境財団で勤務している機会を活かし、より環境知識を自ら勉強して、次世代を担う子どもたちに環境に対する意識を高めてもらうため、環境教育プログラムを作りたいと考えています。

プレコンで得た気づきや学びをトロフィーにしよう

外国語でコミュニケーションを取ることは非常に難しいことです。単に言語を知っているだけでは深い会話になりません。あらゆることに興味を持ち、たくさんの経験や知識を積み重ねていくことが重要です。
このプレコンもまったく同じです。単に英語を話せるだけでは、審査員や視聴者が納得のいく課題解決のプレゼンテーションにはなりません。提案する中身で勝負するものです。
また、プレコンは英語が母国語ではない留学生も参加できますので、さまざまな方と交流でき、学べるチャンスだと思っています。その中で、他の参加者がどのようにプレゼンを行っているのか、そして、そこから自分の良いところ、足りないところを見つけてください。
プレコンで得た気づきや学びはあなたのトロフィーです。勇気をもって参加してみてください。