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元国連大使・吉川元偉(よしかわもとひで)先生による講演会「日本のかかえる領土問題」

2023.02.08
▲1月末日、国連の元特命全権大使である吉川元偉先生の特別講演会を実施しました。

(講師紹介)
吉川元偉先生:1974年外務省入省。国際連合全日本政府代表部特命全権大使・常駐代表、在スペイン日本国大使館特命全権大使、初代アフガニスタン・パキスタン支援担当大使、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部特命全権大使などを歴任。

今回のテーマは「日本のかかえる領土問題」です。昨今、ウクライナ情勢で世間を賑わせている領土問題。日本では、いくつもの領土問題を抱えています。今回は、歴史的背景から現状まで分かりやすく解説していただきました。

▲「世界地図を逆さにすると違う世界が見える」と吉川先生。いつも見慣れている世界地図が、まるで別の地図に見えます。学生たちの新たな発見になりました。

領土問題を語るうえで欠かせないのは日本のおかれた位置を知ること。日本は島国のため、領土は大きくないですが排他的経済水域EEZが広大です。「中国、南北朝鮮、ロシアと太平洋(米国)の間に位置しており、世界地図を逆さにすると分かるように日本は核兵器国に囲まれていて安全保障上の課題があります。」と吉川先生。42年間に渡る外交官生活において世界中で活躍されてきたからこその広い視点でのお話に、学生たちは真剣に耳を傾けていました。
※排他的経済水域とは、沿岸国がその範囲内において、天然資源の探査・開発などを含めた経済的活動についての主権的権利と、海洋の科学的調査、海洋環境の保護・保全等についての管轄権を有する水域のこと。

学生からの「領土問題を解決するには?」という鋭い質問に対して、「解決する手段はお互いに一定の理解がないと難しい」と答える吉川先生。
「ここでいう一定の理解とは領土問題だけでなく、例えば韓国については徴用工などの歴史的な問題を一つひとつ解決するために日韓両国が冷静な議論をすることが大切。対策としては、記録を残していくことも有効だと考えている。国同士で衝突が起こった場合に客観的な事実があれば領土問題を防ぐことができるのでは」と丁寧にお話をしていただきました。

日本のかかえる領土問題について理解を深められた講演会。物事を客観的に捉え、冷静に分析する大切さを身につけることができました。

学生たちは、世界中で起きている領土問題に対して他人事ではなく自分事として真剣に向き合うべく、今回の学びを活かしてくれることでしょう。