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【ワークショップ開催】ワークライフバランスについて考えてみよう

2021.07.28
今回のワークショップの特別講師である、原 わか奈さん(株式会社ワーク・ライフバランス所属)。原講師自身も、前職の営業時代には残業が常態化していた過去が。しかし、出産をきっかけに「無駄を排除し、短時間で成果を出す働き方」を追求した結果、唯一のワーキングマザーの管理職として表彰された経歴があります。

まず、原講師は学生たちに「日本が置かれている状況を全員で考えてみよう」と投げかけます。すると早速、チャット上には学生からさまざまな意見が。

「より豊かに暮らすために、ワークライフバランスは大切だけど、実際は上司の目が気になる人が多いのかも」

「働き方改革は、少子高齢化や過労死の問題改善に必須だと思う。でも、その前に労働人口不足を解消しないといけないのでは」

今回はオンラインのワークショップでしたが、事前学習をしっかり行い、積極的に意見交換をする学生たち。その姿に、原講師も頷く様子が伺えました。

今回はチャット機能を利用し、意見交換の場を多く設定。具体的な事例を出して、「皆さんならどうしますか?」と原講師が意見を求めると、多くの学生から返答がありました。

また、原講師は日本が置かれている状況をさまざまなデータで提示。産後うつによる女性の自殺の増加や過労死の問題など、日本が直面している深刻な社会問題がいくつも浮かび上がります。これらの社会問題は、メディアでも連日報道されているもの。さまざまな角度からデータを分析することによって、学生たちも「なぜ日本がこのような状況に陥っているのか」、その理由が明確になったようでした。

日本の平均労働時間は他国の2倍以上という驚きのデータも。先進国の中で、最も労働時間が長いにも関わらず、生産性は最も低いというのが日本の現状。ショッキングな事実に学生たちも驚いているようでした。

とある有名寿司チェーン店が魚の買付をオンラインにしたことにより、業務効率が上がったというユニークな事例も。現場主義のイメージがある業界でも、オンライン化の導入が進んでいる現状が伺えました。

短期間での改革が難航しそうな学校法人でのコンサルティング事例も。校内の見回りや清掃活動をPTAや地域住民と協力して行うことで、教員の残業時間を3割以上削減できたという素晴らしい実積が。今や、組織内だけではなく、地域全体で分業する時代が到来していることを感じさせる事例でした。

―原講師より―

「学生の皆さんには、多様性を大切にしてほしいです。社会に出ると、今までの慣習を押し付けられたり、企業内のルールを強いられることもあるかと思います。しかし、それを鵜呑みにするだけではなく、新しい意見を積極的に提案できる人になってください。インプットをどんどんして、アウトプットをどんどんしてほしい。臆することなく、組織に意見できる力を身につけてほしいと思います。」

▲分散登校によりプレゼンテーションは全てオンラインで実施。教室から参加する学生もいれば、自宅からリモートで参加する学生の姿も。
▲例えば、上司と部下がともにランチを楽しむ日を定期的に設定することを提案。部下が上司に自分の意見を伝えやすい雰囲気をつくることの大切さを唱えました。

最初のグループは東京都の中小企業で働くサラリーマンの現状をまず紹介。長時間化する労働時間、少ない休日、近年の過労死の問題を指摘しました。学生たちが目をつけたのが、上司と部下の関係性。ワークライフバランスを実現するためには、従業員同士が日頃からコミュニケーションをはかることが何よりの近道だと言及しました。

▲スウェーデンに留学経験のある学生から、海外と日本の終業後の過ごし方についても言及が。スウェーデンでは夕方16時には家族や親戚と食卓を囲うのが一般的とのこと。諸外国と日本のワークライフバランスの差が伺えます。

続いてのグループが注目したのは、「残業の多い職業」というイメージが定着している学校教員の実態。学生たちは、東京都の公立学校教員の1日のスケジュール例を提示し、問題点を指摘します。これに対して、テスト採点を自動的に行うシステムの導入や部活専任コーチの雇用、そして板書の時間を軽減できる教材の電子化など、学校教員の負担を減らすための具体的な策が挙げられました。

▲「ワークライフバランスは会社が提供してくれるものではなく、自分自身で推進していくものである。」著名なビジネスコンサルタントの言葉を引用し、一人ひとりの意識改革の必要性を述べました。

このグループが強調したのは、子育てにおける男性と女性の役割を均一化することの大切さ。例えば、ヨーロッパでは一般的であるデイケアセンター(日中の乳幼児のケアを提供する施設)を日本でも普及させることを提案しました。時と場合によっては第三者の助けを借り、男女が家事や子育てを対等に分かちあうこと。これはやがて、深刻な社会問題である日本の少子高齢化の対策にもつながることを主張しました。

▲子どもを自分のそばで遊ばせながら、オフィスで仕事ができる制度がある企業も。男性も働きながら子育てができる制度が、日本の企業にも少しずつ導入されつつあります。

「SDGs」という言葉をよく耳にするようになった昨今、このグループが注目したのは「ESG」。「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉であり、環境や従業員に配慮した経営をするという考え方を示します。例えば、従業員への定期的なストレスチェックの実施やドリンクが充実している休憩スペースの拡充など、企業が実際に行っているESG活動の事例を取り上げました。

▲従業員側の仕事の取り組み方についても言及。日々の仕事の中で自分にとってやりがいとなるものを見つけることや、優先順位をつけて業務にあたる大切さを唱えました。

最後のグループは、働き方改革における雇用主と従業員の現状や改善点をさまざまな側面から比較。ワークライフバランスの実現のために、上司と部下がお互いに意識するべきことを明らかにしました。その中には明日からでも取り組むことのできる項目も多く、こうした小さなことの積み重ねが大きな変革につながることを感じさせました。