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入国審査官になるには?なるまでの流れと国家公務員試験の概要を解説

入国審査官 に なるには
男性

入国審査官になるにはどうすればいいの?

女性

入国審査官にはどんな資格が必要なの?

このような疑問をお持ちの方も多いのはないでしょうか。そもそも入国審査官とは、日本を訪れる外国人の出入国審査、日本に在留する外国人の在留資格審査、出入国管理等を行い、日本の安全と国民生活を守りつつ国際交流の円滑な発展に貢献する仕事です。

海外旅行などで入国審査官の仕事を目にした方もいると思いますが、どういう過程を経て就職しているのか知っている方は少ないのではないでしょうか。

実は、入国審査官は国家公務員で、法務省の組織のひとつである出入国在留管理庁に属します。つまり、入国審査官になるには国家公務員試験(一般試験)に合格することが必要です。難易度の高い試験であるため、試験の概要について理解し、早くから対策を行うことが入国審査官になる近道といえます。

そこで今回は、皆さんが目標に向かって準備できるよう、

  • ■入国審査官になるためのルート
  • ■国家公務員採用試験の概要とその難易度
  • ■入国審査官に求められる資質・スキル

について詳しく解説していきます。
ぜひ、この記事を読んで入国審査官になる道のりを明確にしてください!

入国審査官の仕事内容とは

入国審査官は空港で働いているイメージが強いですが、実際には空港だけでなく、全国各地の出張所で在留資格の審査業務なども行っています。仕事内容は大きく3つあります。

(1)入国審査
日本に入国する外国人に対して、パスポートやビザが有効かどうかや、正しい在留資格を持ち、日本で行う活動が虚偽でないかどうかを審査します。

(2)在留資格審査
外国人が当初の在留期間を超えて日本に在留したり在留の目的を変更したりする時に、入管法に定められた在留資格による活動に該当するかどうかを審査します。

(3)違反審査
日本に不法入国したり、在留許可の範囲を超えて滞在したりする人たちを退去させる際に、退去強制事由に該当するかどうかを審査します。

1.入国審査官になるためのルートとは

入国審査官 に なるには

まずは、高校生から入国審査官になるまでの一般的な流れを説明します。

入国審査官になるには ルート図

基本的な流れは以下の通りです。

<STEP1>国家公務員採用試験を受ける
<STEP2>各地の出入国在留管理庁
(局)の面接を受ける
<STEP3>就職後、まずは法務事務官として働き、キャリアを積んで入国審査官になる

国家公務員採用試験は高校卒業後から受験することが可能です。基本的には年齢によって試験区分が決まります。各試験区分の年齢条件さえ満たしていれば誰でも受験することができます。全てスムーズに進めば、卒業した年の4月から法務事務官として働き始められます。

入国審査官になるまでの流れを紹介します。

1-1.<STEP1>国家公務員採用試験を受ける

まず、入国審査官になるには、人事院が実施する「国家公務員採用試験」を受験する必要があります。前述の通り、国家公務員採用試験は、一部試験を除き、学歴関係なく受験できます。

※人事院とは、
国家公務員法に基づき、人事行政に関する公正の確保及び国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどる中立・第三者機関。

受験資格の年齢条件さえ満たしていれば、最終学歴が中学卒の方でも入国審査官になれます。

国家公務員は、職種が3種類あり、それぞれ試験が違いますが、国審査官になりたい場合は以下の2ルートがお勧めです。

(1)大学卒・短大卒・専修学校卒の方にお勧め:国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)
(2)高校卒の方にお勧め:
国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)
※専修学校の修業年限・授業時数によっては受験資格を満たさない場合があります。

では、それぞれ解説していきます。

1-1-1.国家公務員試験受験の流れ

国家公務員試験の流れは、以下の通りです。

国家公務員採用試験 流れ

受験の時期は違いますが、大卒程度試験も高卒者試験も流れは同じです。

第1次試験は、筆記試験を行い、公務員として基礎的に必要な能力や事務処理能力、専門的な知識を問う試験などが行われます。

第2次試験は、面接試験と行い、人柄、対人的能力などについてを個別に審査します。

1-1-2.一般職試験の「大卒程度試験」と「高卒者試験」の違い

一般職試験の「大卒程度試験」と「高卒者試験」の違いは、以下の4つです。

(1)受験資格
(2)試験科目

(3)採用予定機関の数
(4)採用後の給料

2つ試験の異なる点は上記の4つで、職後の仕事内容などはほとんど変わりません。
高卒者試験の特徴は、大卒程度試験に比べ、主に試験内容が違うことと、就職後の給料が低いことが挙げられます。
就職できる官庁の幅が狭くなってしまうデメリットもありますが、入国審査官であれば、高卒者試験合格者の採用も行っているため、特に問題はありません。

また、それぞれの試験の全体の合格者数から出入国在留管理局の採用人数の割合を算出しても、ほとんど同数のため、採用の難易度も変わらないといえます。

※国家公務員採用試験について、詳しくは2章で解説していきます。

1-2.<STEP2>各地の出入国在留管理庁(局)の面接を受ける

国家公務員採用試験に合格したら、入国審査官になれるわけではありません。希望する各府省官庁で面接などを受ける必要があります。

一般職試験の大卒程度試験と高卒者試験で採用までの流れに若干違いがあるので、それぞれ解説していきます。

就職後の勤務地について

国家公務員採用試験で選択した地域(全国9地域からひとつ)の出入国在留管理局、または、出入国在留管理庁(本府省)を選択できます。

例えば、一般職試験(大卒程度試験)で「東北地方」を選んだ場合は、仙台出入国管理局か、出入国在留管理庁(本府省)しか面接の申し込みができません。

基本的には、地域間の異動も少ないため、選択した地域で長年働くようになります。

1-2-1.一般職試験(大卒程度試験)の採用までの流れ

大卒程度試験の場合は、第1次試験合格発表後に官庁訪問を行い、第2次試験と同時進行で希望する各府省官庁の業務説明会や採用面接を受けます。
※官庁訪問:自分が行きたい官庁を訪問し、業務説明や面接などを受けること。

以下で詳しく解説していきます。

■官庁訪問の内容

官庁訪問で行う内容は、官庁ごとに異なります。どの官庁でも面接を行うことは同様ですが、どのような形式で行われるかはその官庁によります。

例えば、職場見学や業務説明と面接を複数回行う場合もあれば、面接とグループディスカッションなどを行う場合もあります。

このようにさまざまな形式で行われていますが、重要なのは「情報収集を上手に行いながら、自分をPRすること」です。

■官庁訪問のポイント

官庁訪問のポイントは、以下の2つです。

(1)出入国在留管理庁(局)が直接発信する情報を収集する
(2)政策・業務内容の把握など事前の面接対策をする

官庁訪問は情報戦です。自ら積極的に情報収集を行い、確かな情報に基づいて、効率よく行動する必要があります。まずは、出入国在留管理庁(局)のホームページで業務説明会の概要や日程、採用方針などを確認するようにしましょう。

次に面接対策を行いましょう。面接は、自分と面接官との対話だということを意識してください。事前に考えた内容を丸暗記して臨むのではなく、面接官と「話す」ことを心がけましょう。

また、政策や志望動機を語る際は、「あなたがなぜそれを大事だと思ったのか」を伝えるようにすると良いでしょう。その情報を含めることで、どんな人物でどんな考えを持っているか、が分かります。

政策や志望動機が自分の原体験に結びついていると、より説得力が増すでしょう。

入国審査官になるのにお勧めの大学・学部とは

総合大学の法学系や語学系の学部・学科、または外語大学などがお勧めです。

なぜなら、入国審査官は法律に基づいて外国人の入国審査を行うため、法律の知識が活きてくること、外国人と接する際に英語をはじめとして、中国語、スペイン語などを使うことがあるからです。

学生時代学んできたことをしっかりとアピールできれば、面接試験での印象アップに繋がるでしょう。

■注意点

注意しなければならないのは、「合格=採用」ではないことです。

国家公務員採用試験に合格した場合も官庁訪問で採用されなければ、入国管理官として働くことができません。

過去3年間で入国審査官として採用された人数は以下の通りです。

平成29年度 平成30年度 令和元年度
一般職採用試験(大卒程度) 212名 234名 224名

※国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)全体の2019年の合格者数は7,605人でした。採用予定者数は4,304人のため、採用倍率は3.9倍でした。

このように、国家公務員採用試験合格後もしっかりと採用に向けて活動することが必要です。

合格したが、採用されなかった場合はどうする?

次年度に官庁訪問を行い、就職を目指せます。

国家公務員採用試験に合格したら、国家公務員試験合格後採用候補者として合格が保持されます。一般職試験(大卒程度試験)の場合、この採用候補者名簿は、最終合格発表日から3年間有効になります。

反省点を洗い出し面接対策をしっかりと行い、次年度の官庁訪問に臨むようにしましょう。

1-2-2.一般職試験(高卒者試験)の採用までの流れ

大卒程度試験との違いは、官庁訪問がなく、国家公務員採用試験の最終合格者を対象に各府省官庁で面接を受けることです。

■採用面接試験の内容

採用予定機関一覧表で採用を実施する期間を確認し、自身が希望する官庁の説明会や面接に申し込みます。実施内容は、実施形態は各官庁によって異なります。面接のみを行う場合もあれば、業務内容の説明会+面接が行われる場合もあります。

ホームページに掲載されている情報を確認するか、電話で問い合わせを行い、実施内容確認するようにしましょう。

面接の際に気を付けるポイントは、前述の「1-2-1.■官庁訪問のポイント」を参考にしてください。

■注意点

大卒程度試験の場合と同様に、「合格=採用」ではないことに注意してください。

過去3年間で入国審査官として採用された人数は以下の通りです。 

平成29年度 平成30年度 令和元年度
一般職採用試験(高卒者) 115名 135名 127名

※国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)全体の2019年の合格者数は3,037人でした。採用予定者数は1,496人のため、採用倍率は5.1倍でした。

また、高卒者試験は、採用候補者名簿の有効期間が最終合格発表日から1年間のため、再チャレンジはできません採用されないと再受験になってしまいます。せっかく合格したのが無駄になってしまうため、面接対策はしっかりと行いましょう。

1-3.<STEP3>就職後、入国審査官としてキャリアを積む

入国審査官になるタイミングは、配属先によって異なり、数年キャリアを積んでからの場合もあれば、配属されてすぐに、入国審査官として働く場合もあります。

就職後は、法務事務官として働きます。法務事務官とは、法務省に所属している職員のことを指します。その中のひとつの職種として、入国審査官があります。
働いていく中で、業務に必要な基礎的な法律知識と外国語などを身につけることが必要です。

入国審査官になる過程で、試験などはないので積極的に学習しアピールしていきましょう。

 

ここまで、入国審査官になるためのルートについて解説してきました。
入国審査官になるまでのステップは理解できましたでしょうか。その中でも、特に複雑で難易度が高いのが国家公務員採用試験です。国家公務員採用試験を理解して、学習を進めることは入国審査官になるための近道でもあります。
そこで2章では、国家公務員の種類と「大卒程度試験」と「高卒者試験」の概要について解説していきます。

2.国家公務員の概要と試験概要

国家公務員

2-1.国家公務員は3種類の職種がある

入国審査官になれる 国家公務員 種類

新規採用の国家公務員は、以下の3つに分かれます。

(1)総合職
(2)一般職
(3)専門職

それぞれの職種によって働き方に違いがあります。採用試験も職種別に行われます。

(1)総合職
総合職は、将来の幹部候補生として中央省庁やその出先機関で働きます。主に政策の企画及び立案または、調査及び研究に関する事務に携わります。

(2)一般職
一般職は、各府省官庁で主に定型的な事務に携わります。政策を現場で実際に運用していく役割になります。

(3)専門職
専門職は、特定の行政分野に関わる専門知識を必要とする業務に携わります。
例えば、「国税専門官」「労働基準監督官」「皇宮護衛官」などがこれにあたります。

前述の通り、入国審査官は一般職に該当します。入国審査官になりたいなら、一般職試験を受験するようにしましょう。

総合職で出入国在留管理庁(局)に入庁し、入国審査官として現場で働く場合も稀にありますが、試験の難しさや採用人数(毎年5名前後)を考えると現実的ではないでしょう。

また、一般職採用の中でも社会人試験は毎年20名前後と少なく、職務経験も必要とするため、入国審査官として採用されるケースも少なく、あまりお勧めしません。

2-2.一般職試験の「大卒程度試験」と「高卒者試験」の試験概要

それぞれの特徴を以下の表でまとまてみました。

国家公務員採用試験 試験概要

2-2-1.受験資格

国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)
大卒程度試験の受験資格は、21歳以上30歳未満の方となります。ですが、例外として、21歳未満でも大学・短大または高専や専修学校の卒業および卒業見込みの方は、受験可能です。
※専修学校の修業年限・授業時数によっては受験資格を満たさない場合があります。

その他、受験不可の条件もいくつかあります。詳しくは受験案内をご覧ください。
国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内

国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)
高卒者試験の受験資格は、高校卒業見込み、または卒業後2年以内の方となります。また、中学卒業後2年以上5年未満の方も受験可能です。 

高卒者試験も同様に受験不可の条件がありますので、詳しくは受験案内をご覧ください。
国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)受験案内

2-2-2.試験種目

国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)
入国審査官になるには「行政区分」で受験するようにしましょう。
試験種目は、第1次試験と第2次試験に分かれます。

◇第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験

・専門試験(多肢選択式)
各試験の区分に応じて必要な専門的知識などについての筆記試験

・一般論文試験
文章による表現力、課題に関する理解力などについての短い論文による筆記試験

◇第2次試験
・人物試験

人柄、対人能力などについての個別面談
(人物試験の参考とするため性格検査を行います)
※性格検査では、日ごろの行動や考え方に関する質問への回答から、性格特徴を測定します。

国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)
入国審査官になるには「事務区分」で受験するようにしましょう。
試験種目は、第1次試験と第2次試験に分かれます。

◇第1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)

公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験(出題数 合計40題)

・適性試験(多肢選択式)
速く正確に事務処理を行う能力についての筆記試験(出題数 120題)
置換、照合、計算、分類、などの比較的簡単な問題を限られた時間内に番号順にできるだけ多く回答するスピード検査

・作文試験
文章による表現力、課題に対する理解力などについての筆記試験

◇第2次試験
・人物試験

人柄、対人的能力などについての個別面接
(人物試験の参考とするため性格検査を行います)

2-2-3.試験日程・時間

国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)
◆試験日程
毎年、4月頃に受付開始され、8月頃まで続きます。

2020年度試験のスケジュールは以下の通りでした。
例:2020年度試験の日程(参考)
※新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年度の試験日程が延期になりました。

受付期間 4月3日(金) 9:00 ~ 4月15日(水)[受信有効]※1
第1次試験日 6月14日(日)  8月9日(日)
第一次試験合格者発表日 7月8日(水) 9:00  9月2(水) 9:00
第2次試験日 7月15日(水) ~ 8月3日(月)※2  9月9日(水)~9月25日(金)
最終合格者発表日 8月18日(火) 9:00  10月13日(火) 9:00

※1 インターネットで申し込みを行います
※2 日時は第1次試験合格通知書内に記載があります(日時の変更は原則として認められていません)

国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)
◆試験日程
例年、6月頃に受付開始され、11月頃まで続きます。

2020年度試験のスケジュールは以下の予定です。
例:2020年度試験の日程(参考)

受付期間 6月22日(月) 9:00 ~ 7月1日(水)[受信有効]※1
第1次試験日 9月6日(日) 
第一次試験合格者発表日 10月8日(木) 9:00
第2次試験日 10月14日(水) ~ 10月23日(金)※2
最終合格者発表日 11月17日(火) 9:00

※1 インターネットで申し込みを行います
※2 日時は第1次試験合格通知書内に記載があります(日時の変更は原則として認められていません)

2-2-4.受験料

どちらの試験も受験料は無料です。また、国家公務員試験のみならず、公務員試験全般の受験料は無料になります。

 

ここまで、国家公務員採用試験について解説してきました。
そこで皆さんが次に疑問に感じるのが、「国家公務員採用試験ってどのくらい難しいの?」ということかと思います。
実際に大卒程度試験は、勉強しなければいけない種目数も多く、大変そうですよね。
次章では、国家公務員採用一般職試験の難易度について解説していきます。

3.国家公務員採用一般職試験の難易度

国家公務員採用試験 難易度

3-1.国家公務員採用一般職試験は、中程度の難易度

国家公務員採用一般職試験と各種公務員試験を比較してみました。
以下の表をご覧ください。

国家公務員採用試験 難易度
※上記の表では、以下のようにレベル分けをしています。
 ・地方上級 ー 大卒程度レベル(自治体によっては大学卒業程度やⅠ種とも呼ぶ場合があります)
 ・地方中級 - 短大卒程度レベル(自治体によっては短大卒業程度やⅡ種とも呼ぶ場合があります)
 ・地方初級 - 高卒程度レベル(自治体によっては高校卒業程度やⅢ種とも呼ぶ場合があります)
※難易度はあくまでも目安であり、神田外語学院が保証するものではありません。予めご了承ください。

他の公務員試験と比べると国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)は普通程度の難易度です。国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)は、比較的易しめの難易度だといえます。やはり、総合職として働ける職種の難易度が高い傾向にあります。

多くの方は、試験対策をきちんと行えば一発合格が現実的に見えてくるレベルだと言えます。
ただし、あくまでも公務員試験の中では、標準レベルであることに過ぎず、他の資格試験などに比べると難易度は高いので油断は禁物です。

3-2.国家公務員採用一般職試験の合格率

過去5年分の合格率は、以下の通りです。

国家公務員採用試験 合格率

大卒程度試験は、例年2万人前後が受験し、5千人前後が合格しています。過去5年間で受験者は、減少傾向にあるため、近年合格率が上昇しており、2019年は約3割の合格率となりました。
今後もこの状況が続くようであれば、いまが入国審査官になるチャンスといえるでしょう。

高卒者試験は、例年1万2千人前後が受験し、2千人強が合格しています。合格率はほぼ、横ばいです。過去5年間で申込者は増加傾向にあるため、最終合格者の枠が増えない限りは今までより難化すると予想できます。

 

ここまでで国家公務員採用試験について、理解いただけたかと思います。
では、実際に入国審査官になったあとにはどのような資質・スキルが求められるでしょうか。
次章では、入国審査官に求められる資質・スキルについて解説していきます。

4.入国審査官に求められる資質・スキルとは

入国審査官 資質 スキル

入国審査官は国の安全を守る重要な役割を担います。
入国審査官として仕事をしていくには、以下の3つの資質・スキルが必要です。

(1)語学力と海外の文化・習慣などの知識
(2)コミュニケーション能力と観察力
(3)責任感と判断力

それぞれ、解説していきます。

4-1.語学力と海外の文化・習慣などの知識

入国審査官は、業務の中で多くの外国人と接することになります。

日本に来る外国人全員が日本語を話せるわけではないため、英語や中国語、スペイン語などの外国語でコミュニケーションを行う必要があります。

相手の意見を適切にヒアリングし、犯罪や不法滞在を未然に防ぐために、客観的に審査するには、語学力が欠かせません。加えて、言葉だけでは判断しきれないニュアンスを正しく理解するために海外の文化や宗教、習慣などの知識が必要です。

しかし、採用時に必ず語学力を求められているわけではなく、語学力がなくても採用されるケースも多いです。また、採用後は各種研修制度もあるため、語学力をアップされる環境は整っていると言えるでしょう。

採用試験で語学力をアピールしたい方は、事前に勉強しておくことをオススメします。

4-2.コミュニケーション能力と観察力

入国審査では、滞在理由や不審な点を相手に質問することが欠かせません。

スムーズに入国審査を進められるかどうかは、円滑なコミュニケーションができる能力が求められます。

また、コミュニケーションを取る中で不審な点がないか、受け答えに違和感を感じないか、相手を見定める観察力も必要になります。

必要な情報を引き出し、時には相手が不快にならないように説得するためには、相手を思いやる高いコミュニケーション能力が必要です。

4-3.責任感と判断力

入国審査官は、テロや犯罪者の入国を未然に防ぎ、国の安全を守る重要な役割を担います。

時には、毅然とした態度で外国人と接しなければなりません。そのため、自身の役割を認識し、責任感を持って仕事に取り組む必要があります。

審査の対象となる人の中には、不満を持ち非協力的な態度を取る方もいるでしょう。そのような場合でも、法律に定められていることに基づき、的確に判断するために、冷静な判断力が必要になります。

しかし、そのような場合でも法律に定められていることをベースにして、的確な判断をする必要があるため、責任感と冷静な判断力が必要となってきます。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。
入国審査官へのなり方について、十分お分かりいただけたかと思います。
最後に本記事で解説した内容をまとめるとポイントは以下の4つです。

(1)入国審査官になるには以下の2つのステップを経る
  ■国家公務員採用試験に合格する
  ■各地方の出入国在留管理庁(局)の面接を受ける

  ■就職後、入国審査官としてキャリアを積む
(2)国家公務員採用試験の概要と難易度について理解する
  ■入国審査官になるには以下の2つのどちらかの試験を受ける
   ・国家公務員採用試験(大卒程度)
   ・国家公務員採用試験(高卒者)

  ■難易度は、他の公務員試験と比較すると中程度
(3)入国審査官に求められる資質・スキルは以下の3つ
  ■語学力と海外の文化・習慣などの知識
  ■コミュニケーション能力と観察力
  ■責任感と判断力

この記事を読んで入国審査官になるための道筋を描き、夢を実現していただければと思います。

入国審査官と同様に英語力を活かせる仕事とは

将来、英語を活かせる仕事に就きたい人は、入国審査官以外にもさまざまな仕事があります。
以下の記事内で紹介しているだけでも「35種類」と、多くの仕事で英語が使われており、さまざまなフィールドで英語力を活かして働くことができます。

英語を活かせる仕事について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

【35種の仕事一覧】英語を活かせる仕事を英語レベル別に徹底解説

 

 

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