働き方改革への取り組み、またはコロナ後の社会変化への対応として、日本語研修をオンラインに切り替える企業が増えています。オンライン研修で、日本語によるビジネスコミュニケーション力向上をめざすには、どのような準備と対応が必要でしょうか?また、研修を選ぶ際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか?
外国籍社員の定着・育成を目的として、ビジネス日本語研修を成功させるポイントを説明します。
外国籍社員の定着・育成が目的
オンラインのビジネス日本語研修では、外国籍社員の定着や育成が大きな目的となります。具体的には、外国籍社員に見られる以下の傾向を克服させることが課題です。
- ビジネスでの日本語力や日本のビジネス慣習への理解が不足している優秀な外国籍社員を採用しても、離職されてしまうケースが増えています。職場や仕事を進めていくために必要な日本語コミュニケーション力不足による孤立や疎外感、日本のビジネス慣習や日本人の仕事への考え方を理解できない、などが離職の原因です。
- 知識偏重で、職場でのコミュニケーションに対応できない高度な文法知識や語彙力があり、日本語検定やテストで好成績を取れる外国籍社員であっても、ビジネスで通用する日本語力やコミュニケーションスキルが身についていないため、職場で苦戦するというケースが見られます。
- 「学生言葉」で話す、専攻分野以外について話し慣れていない日本採用の留学生の場合、学生言葉で流暢に話せても、敬語やビジネスの場での言葉遣いができない傾向があります。また、理系や技術系の専門職のような高度人材となる、大学院卒業の留学生の場合は、専攻分野の学術・専門用語や文献の理解はできるものの、日常の語彙力やコミュニケーション力が不足しがちです。読み書きには慣れていても、話すことに慣れていない場合があり、会話がかみ合わなくなる場面も多く見受けられます。
課題克服のための「成果の出るビジネス日本語オンライン研修」のポイント
それでは、上述のような課題を克服するためには、どのような研修方法が有効なのでしょうか? 成果をあげられるビジネス日本語オンライン研修のポイントを見ていきます。
- 日本語力を底上げする「読む」「聴く」「書く」「話す」の4技能を効果的に高めながら、配属後の状況をリアルに想定したコミュニケーションスキルの研修を行い、職場ですぐに活用できるようにする必要があるでしょう。研修でカバーすべきスキルは、例えばeメールの書き方や会議での対応、敬語、職場関係者との話し方などです。まずは基本となる日本語力のレベルを一定以上に上げながら、そうしたビジネスコミュニケーション力を習得させます。
- 日本のビジネス慣習への理解を高める「報・連・相」や時間厳守、席次などの日本のビジネス慣習、日本のビジネスマナー、日本人の仕事への姿勢や考え方を理解させます。
- 個々のレベルに合わせて研修を行う外国籍社員一人ひとりの属性や個々の日本語力レベル、学習課題への対応が必要です。日本語学習履歴や出身国により、学習上の課題はさまざまですが、まずは重点的に弱点を強化することで自信が生まれ、確実なレベルアップにつながります。研修開始前に日本語力のアセスメントと分析を徹底的に行い、弱点や課題の克服に直結するプログラム、可能であればカスタマイズプログラムを作成します。
ビジネス日本語オンライン研修のメリット
ポイントを押さえた日本語研修をオンラインで行うと、次のようなメリットが得られます。
- 国内各地や海外からも受講できる‐入社前・日本赴任前研修の実施が可能内定を出した留学生の場合、全員が国内の同じ地域に住んでいるとは限りません。そうした状況でも、オンライン研修であればマンツーマンや集合研修であっても、全国どこからでも受講が可能です。また、日本へ赴任する前の事前研修として行いたい場合は海外からも受講できます。コロナ禍の現在のように、日本へ入国できない場合にも非常に有効です。
- レッスンの消化率が高いオンライン研修なら、研修場所への移動時間が不要のため、受講者にとっては時間の確保がしやすくなります。時間の余裕ができた分、レッスンの出席率や消化率が高くなる傾向が見られます。
- オンラインの学習機能の活用画面共有やホワイトボード、チャットなどの機能を利用することにより、日本語の音声や単語をしっかり確認でき、レッスンの内容を深く理解できます。
- 業務のオンライン化に即対応現在、社内外での会議や打ち合わせなど、ビジネスの現場においてもオンライン化が進んでいます。オンライン研修は、そのまま同じ会議システムを使って行われることがほとんどのため、研修での経験がそのまま実務に活かされます。具体的には、オンライン研修のはじめ方や接続確認等の手順、チャット機能等の操作スキルなどは、即業務でも発揮できます。
ビジネス日本語オンライン研修を成功させるポイントとは
オンラインでの日本語研修には、さまざまなメリットがあることを見てきました。こうしたメリットを十分に得るためには、適切な研修環境を整える必要があります。ビジネス日本語オンライン研修を成功させる研修環境のポイントを見ていきましょう。
研修プログラム
研修の準備段階においては、事前のレベルチェックやアセスメントを行い、受講者のニーズに応えて弱点を解決できる内容のプログラムを作成します。プログラムは、研修目的を達成できる内容であるかどうかが大切です。また、オンラインのメリットが毎回のレッスンでどう活かされているかも確認しましょう。
担当講師
担当講師はオンラインの特性を理解し、システムの操作方法にも習熟している必要があります。講師が所属する研修会社が講師向けにオンライン研修を実施しているかどうかも確認しましょう。
利用システム
オンライン研修は通常、Web会議システムを使って実施されますが、受講生が自宅からアクセスすることもあるため、ZoomのほかCisco Webex、Microsoft Teams、Skypeといったチャット機能を備え、かつ操作が簡単なシステムがおすすめです。
また、集合研修をオンラインで実施する場合は、利用システムがグループ対応に適しているか、事前に調べておくとよいでしょう。
研修会社のサポート体制
オンライン方式の研修が初めてという受講生もいます。そのため、事前のガイダンスを行う、接続時のトラブルへも迅速に対応するなどのサポート体制が整っている研修会社を利用するとよいでしょう。
研修会社が、オンライン受講ガイドの配布や初回時のオリエンテーションを実施しているか、講師と受講生の間のやり取りをきちんと管理しているかも確認しましょう。
オンラインのビジネス日本語研修においてもプログラムの質が重要
オンラインのビジネス日本語研修は、自宅でも学習できる、時間の融通が利くなど数々のメリットがあります。利便性について検討するのはもちろん大切ですが、オンラインのビジネス日本語研修を成功させる秘訣は、対面の研修の場合と同様、学習者が目標を達成しやすいプログラムづくりにあります。文化的背景や日本語力のレベルが異なる外国籍社員に効率的に学習してもらうには、質の高いプログラムが必要です。
神田外語キャリアカレッジでは、学習者のレベルや研修の目標に合わせたカスタマイズレッスンの提供が可能です。教務コーディネーターが企業のニーズを確認しながら、オンラインレッスンのプログラムを作成し、学習の効果を最大化できるよう取り組みます。また必要に応じて、対面、自宅学習などを組み合わせた研修も行っています。担当講師はオンラインの特性や操作法について事前研修を受けており、利用システムは複数の中から要望や状況に合わせて選択が可能です。接続トラブルが発生した際には、事務局が速やかに対応しますので、安心して受講いただけます。ご利用を是非ご検討ください。