世界を視野に入れたビジネスを展開するうえで、英語力や異文化理解といったグローバルコミュニケーション力の習得は欠かせません。そこで本記事では、ビジネスシーンにおけるグローバルコミュニケーションの定義を整理するとともに、スキルを効率良く身に付けられる研修にするコツを紹介します。
グローバルコミュニケーション力とは?
グローバルコミュニケーション力の向上は、近年多くの企業で挙がっている人材育成課題のひとつです。その背景には業界や業種、職種を問わず、海外事業の拡大や経営のグローバル化により、外国の取引先、関係者や現地社員と仕事や業務をする機会が増えていることにあります。
多国籍の人々と仕事を円滑に遂行するためには、文化が異なる相手や環境についてよく理解したうえで、自分の意見に自信を持って発信できる「コミュニケーション力」と強い「グローバルマインド」を兼ね備えることが必要です。言い換えれば、その「コミュニケーション力」と「グローバルマインド」こそが、「グローバルコミュニケーション力」と言えます。
「コミュニケーション力」と「グローバルマインド」を、それぞれ具体的なスキルに落とし込んでみましょう。
まず「コミュニケーション力」として特に求められる要素は、「発信力」と「理解力」です。グローバルビジネスで活躍するためには、発信力と理解力を高めて「自分の意見や真意を論理的かつ明確に伝え、相手を理解したうえで動かす」ための英語力を習得する必要があります。
一方「グローバルマインド」を身に付けるためには「異文化理解と適応力」が欠かせません。ネイティブだけでなくノンネイティブの外国籍社員と協働するワークスタイルが当たり前になりつつある現代、相手との文化背景の違いを理解、尊重する姿勢を持ちながら、利害が異なる外国籍の人々と合意を得ながら円滑に業務を遂行する能力が重要になります。
ビジネスシーンにおけるグローバルコミュニケーション力の重要性
グローバル化したビジネス環境においては、単に英語の知識が頭に入っているだけでは不十分です。例えば、取引先の外国人経営者と戦略的に交渉を進めて、自社だけでなく相手にとっても最適な取引を成立させる、社内プレゼンテーションで外国人上司を説得して企画進行の合意を得る。そういった「グローバルコミュニケーション力」は、今後一層必要になります。
逆に言うと、たとえその他のビジネススキルを持ち合わせていたとしても、グローバルコミュニケーション力を備えていなければ、グローバルに活躍して業績に貢献できる人材になることは難しいでしょう。有能な人材を、グローバルコミュニケーション力が不足しているがゆえに十分活用しきれなければ、企業にとっても大きな損失です。
そういったことから社員のグローバルコミュニケーションの習得を促すため、すでに研修を行っている企業もあるようです。しかし、十分な成果が出ていないケースも見られます。どういった研修では成果が出にくく、どうすれば成果の出る研修にできるのでしょうか。このあと見ていきます。
成果の出るグローバルコミュニケーション力研修にするコツは
成果の出ない研修に見られる課題を確認したあと、成果の出る研修にするコツをご紹介します。
成果の出ない研修にありがちな課題
全部が全部そうというわけではありませんが、日本における従来の英語学習は、「テキスト精読」や「単語・熟語暗記」といったインプット中心のものが多い傾向にあります。それでは英単語や文法などの基礎知識は頭に入っても、実際のビジネスシーンで使える実践的な英語力を磨くことは難しくなります。また、「異文化理解」については重要視されていないケースも少なくありません。
成果の出ない企業研修では、そういった従来型の日本の英語学習を取り入れていることが多いようです。やはりインプット中心で、かつ外国籍の人々と協働するうえで持っておくべき「マインドセット」の強化に関するカリキュラムが欠けているのです。
成果の出るグローバル研修にするには、一体どのようなことに注意すればいいのでしょうか。続いて見ていきましょう。
成果の出る研修にするコツは
ビジネスシーンで成果を発揮できる研修にするならば、想定されるビジネスシーンを織り込んだ企画設計をすることが大前提です。そのうえで、次の3点に留意するといいでしょう。
- アウトプット中心のプログラムにする具体的にどのような業界で、どのような立場で、どのようなビジネスシーンで英語を活用するのかを洗い出し、
- Eメール、会議等で頻出するキーフレーズや表現を習得する
- 実際のビジネス現場で起こり得るシーンを想定したロールプレイングにより実践力を高める
- 異文化に触れる体験学習を加える
- 英語スキルと同時にコミュニケーション力も習得できるプログラムにするグローバル業務の流れを想定し、英語スキルと同時にコミュニケーション力を習得できることも大切なポイントです。具体的には、業務に今すぐ必要になる「英文eメールライティングスキル」「ミーティングスキル」「プレゼンテーションスキル」「ネゴシエーションスキル」などの英語スキルと同時に、相手との信頼関係を構築するための雑談、スピーキング力も身に付けられるようなプログラムが理想的です。
- 可能であれば海外体験プログラムを取り入れる予算的に問題がなければ、グローバルコミュニケーション力の主要要素である、「英語力」と「異文化理解」を同時に身に付けられる「海外体験プログラム」も取り入れたいところです。日本語環境から完全に離れて、異文化を直接「体験」「経験」できる機会をつくることで、英語力向上が図れるとともに異文化への理解が深まります。
海外体験プログラム成功事例
海外体験プログラムの成功事例として、神田外語キャリアカレッジが企画したプログラムをご紹介します。
【新興国 × 海外体験&現地語学留学 プログラム:A社】
[研修実施の背景]
設立以来の国内型事業モデルから脱却し、アジア新興国への進出、展開が経営課題となっていた。ドメスティックマインドから脱却し、海外においても高いパフォーマンスが発揮できる若手/中堅人材の育成を急務としていた。こうした人材育成施策として、グローバルな視点を持ち、積極的に異文化に入り行動できる人材の育成を計画。
[研修の主な目的]
- 主体性や突破力、コミュニケーション力、メンタルタフネスを高め、世界のどのような環境、状況においても成果をあげられるマインドと行動力を劇的に高めること
- アジア各国での滞在や企業視察を通じてグローバルな視野を広げ、自社のグローバルビジネスの展開を考える契機とすること
- 語学の習得がビジネスに直結することを体感し、その後の継続学習や取組みに向けての実効性を高めること
[研修の概要]
対象レベル:(英語)初級以上
実施国:タイ/インドネシア/マレーシア/ベトナム/シンガポール/カンボジア
内容:グローバルマインドセット研修<5日間>+現地語学学校通学(英語)/フィールドワーク/企業視察<11週間>
グローバルマインド研修……現地各国で通常の業務と同じように次から次へ複数のミッション(仕事)を与えられ締め切りまで成果を出すことを求められる修羅場研修。
現地語学学校通学(英語)/フィールドワーク/企業視察……各国現地語学学校に通学し、英語を学びながら異なる視点や考えの違いを体感する。現地進出日系企業などを訪問、ヒアリングし、新興国ビジネスの状況や課題を体感する。
適切な学習プログラムでグローバルコミュニケーション力を効率良く身に付ける
激化する国際競争の中で企業が持続的成長を遂げるには、社員一人ひとりがそれぞれの役割を担ううえで求められる、「英語力」と「グローバルマインド」を習得しなければなりません。加えてビジネスシーンで英語を効果的に活用するには、スキルとマインドの双方を養成し、真の意味で「グローバルコミュニケーション」を実践することが重要です。
グローバルコミュニケーション力の習得・養成には、ある程度の時間を要します。また、業界や職種に特化したスキルを身に付けてもらうには、きめ細かなサポートが必要なります。多岐にわたるテーマを抱える人事部門だけではこうした対応が難しいというのが実情ではないでしょうか。
神田外語キャリアカレッジでは、企業のニーズや社員のレベルに応じて効率の良いグローバルコミュニケーション力の習得・養成を目指せる研修プログラムのご提案が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。