仲代表の「グローバルの窓」

仲代表の「グローバルの窓」

第67回 “Business together again!”(また一緒にビジネスを!)

2024.05.24

ハイデルベルク

 ドイツは原子力発電をゼロの方針を打ち出し、太陽光発電等の再生可能エネルギー導入に積極的に取り組んでいました。我々はそこに目をつけ、ドイツでエネルギー事業を起こせないかフィージビリティ調査を実施しました。特に 「シュタットベルケ」という公社に注目しました。「シュタットベルケ」とは、19世紀後半からガス、上下水道、電力、公共交通サービス等時代のニーズに合わせた公共サービスを提供している自治体出資の企業です。ドイツ国内に約1400あり、1998年の電力自由化以後は、再生可能エネルギー事業が主となり、収益を上げていました。

 私は、「シュタットベルケ」の中でも主導的立場にあったハイデルベルクの「シュタットベルケ」に話を聞きに出張しました。あのヴィルヘルム・マイヤー・ヘルスターの戯曲、『アルトハイデルベルク』(1898年)の舞台となった学生の街、ハイデルベルクです。この戯曲のように、青春の香り豊かな古都です。ネッカー川に架かるアルテブリュッケ(古い橋)から眺める古城の風景はとても美しく、また、哲学者の道は散歩コースとして最高です。西ドイツに住んでいたとき、西ドイツで魅力ある街が私には三つありました。一つはローテンブルグ(ロマンチック街道の中心の街)、一つはベルヒテスガーデン(アルプスの麓でヒットラーの別荘のあった町)、それからハイデルベルクです。

「シュタットベルケ」へのプレゼンテーション

 「シュタットベルケ」との打ち合わせでは、ドイツの現地法人のドイツ人も合流し、彼にドイツ語でプレゼンしてもらいました。我々の作成したプレゼンがとてもよかったらしく、「シュタットベルケ」の出席者からプレゼン終了後、いっせいに拳で机が叩かれました。これは拍手と同じ意味で、ドイツでは「いいね」を意味します。「いい精霊を呼ぶおまじない」から来ているとも言われます。初めてこの音に遭遇すると驚きますが、これは肯定的な意味での示威行為なのです。

 プレゼンテーションは大成功。それに気をよくした私ともう一人の出張者は、その日、内部の打ち合わせが終わるや、古城の近くのビール醸造所のあるレストランに赴き、ドイツビールと地元料理のリンダ―ロラーデン(牛肉のロール煮)を堪能しました。翌日は土曜日で午前中時間があったので、私は一人でハイデルベルクを散策しました。30年ぶりのハイデルベルクはその頃と変わらぬ魅力を発していました。

ハーターとかつての家との再会

「シュタットベルケ」との連携も視野に入れ、我々のフィージビリティ調査は次の段階に入りました。そのためにはどうしてもドイツ人のパートナーが必要でした。ここで登場するのが、この「グローバルの窓」の第3回に登場したハーターでした。彼は、1993年頃にドイツ会社を退社し、その後紆余曲折があり、2014年頃はエネルギー業界でコンサル的な仕事をしていました。既に70歳に近い齢でしたが、仕事への情熱は80年代の頃と全く変わらず、「もう一度ディスクドライブビジネスの再来を!」とお互いに盛り上がりました。

 次の出張は、ハーターのいるミュンヘンでした。私は部下の技術者をハーターに紹介し、ハーターと共にビジネスプランを協議しました。この出張で私はミュンヘンに住んでいたかつての家(1986年~1990年)の近くにも行ってみました。スーパーや病院など80年代とほとんど変わりなく、私の住んでいた家(フラット)も当時のままでした。7世帯の入るフラットで、私は1階に住んでいました。このフラットでは、土曜日に住人が共同の庭に出てきて、庭仕事をするのですが、私は土曜日にはへとへと状態で、正午前に起きるのがやっとでした。目の前が共同の庭でしたので、寝坊して出て行くこともできず、いつも肩身の狭い思いをしていました。ドイツは共同生活の意識の高い国で、ベランダに花を出していないとクレームが来ます。仕事ばかりしていた私には正直しんどい国でした。そんなことを思い出しながら、久々に再会したかつての我が家に見入っていました。

次はパキスタンのエネルギー事業

 ハーターと再びビジネスができると、はりきって帰国しましたが、肝心のスマートエネルギー事業本部の業績が芳しくなく、我々のグローバル事業推進部は1年で解体となってしまいました。私のグループも半分に分かれ、ドイツの事業は私とは別の部が担当することになりました。ハーターと再び一緒に仕事ができるという夢は潰え、私の部下に託す他ありませんでした。

 私の次の仕事はパキスタンでの電力事業に移りました。200億円規模のポテンシャルがあるということで、真偽のほども含め調査、交渉を行うことになりました。

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