仲代表の「グローバルの窓」

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第31回 “I will capture the Indian market ! (インドを攻めるぞ!)

2022.10.25

 インドとパキスタンに出張に行き、いろいろ調べた結果、「パキスタンは断念、インドに注力すべき」というのが私の結論でした。人口は当時インドは9.5億人、パキスタンは1.2億人、一人当たりGDPは、インドが350米ドル、パキスタンは600米ドルくらいでした。

  出張の印象としては、イスラマバードが非常に快適で、西側の車もたくさん走っていたので、パキスタンの方が進んでいるように感じたのですが、インドと決定的に違う点がありました。それは、「競争原理」が働くかどうかということでした。経済力は両国とも小さいですが、人口は共に億を超える巨大市場でポテンシャリティは確実にあります。しかし、「競争原理」の観点からパキスタンは当面、市場が拡大する可能性がほぼないと判断しました。なぜなら国がページャーのサービスを牛耳っていたからです。民間の自由競争がないのです。それに比べ、インドはそれぞれの州に権限を持たせ、州ごとに4社ほどページングサービスオペレーターを認可し、適度に競争原理を働かせるやり方を取っていました。私はこの点に注目しました。単に人口が多い、経済力がある、というだけでは見誤ってしまいます。

  実は、我々のインドネシアのページャー事業は、1990年くらいから参入し、数億円規模のビジネスを行っていましたが、今一つ売上は伸びていませんでした。民間企業が自由に競争しているのですが、ダイナミックさがないのです。人口も2億人と巨大市場です。確かに経済力、購買力が大きくありませんでしたが、もっと活気があってもいいと感じていました。なぜだろうと思って、いろいろ調べてみると、表向きはいろんな企業が乱立して競合しているのですが、裏でみんなつながっているのです。つまり、どの企業もスハルト大統領のファミリー企業だったのです。長男や長女、次女の企業といった具合にすべて大統領ファミリーの息のかかった企業なんです。激しい競争にならない、裏で調整しながらビジネスが進むという一種の談合的な市場でした。

  私がインドに注目したのは「競争原理が適度に効く市場」ということでした。パキスタンは問題外でしたが、億単位ビジネスのインドネシアですらスハルト大統領が続く限り、市場がダイナミックに動くことはないと踏んでいました。私がインドにのめり込んだ背景は、まさにこの点にありました。私はアジア事業部の事業部長に「パキスタンはビジネスになりません。インドに注力しましょう」と進言し、同意を得ました。

  事業部長は、担当取締役が元インド首席駐在員で、インドに詳しいというので、取締役と指しで話をせよと二人だけのランチミーティングをアレンジしてくださいました。少し緊張しながら取締役と面と向かった私に、取締役は「ボンベイ(今のムンバイ)とデリーを訪問したくらいでインドを知った気になるなよ。インドは広い。少なくともボンベイ、デリー、カルカッタ(今のコルコタ)、マドラス(今のチェンマイ)、ハイデラバード、バンガロールの6都市は行かないとだめだ」と言いました。国土も広く、州単位で政治や経済政策が動いていて、文化、習慣も違うので、最低でも6都市は肌で感じないとだめだと言うことだったのだと思います。

  これまでアジア事業部では、シンガポール、台湾、韓国、タイ、マレーシアが中心で、途中からアジア事業に入った私としては、どこか新しい国を自分自身で開拓したいと思っていました。それがインドではないかと自分自身で感じるところがありましたので、「インド勝負!」と思い、自ら斬り込んでいきました。マネジャーになりたてで、気負いも少しあったと思います。

  私は次の出張で、さっそく1か月のインド出張を組み、取締役の言う6都市すべてを訪問する計画を立てました。人口が億を超える国。それはインド、パキスタン、バングラディッシュ、インドネシアです。でもなぜインドなのか?それはポテンシャリティだけではない、何よりも「競争原理」があるかどうかなのです。インドがそれら大国の中でそのマインドがあった。さあ、いよいよインド!やるぞー!


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