異文化理解の先駆者たち

第1回 古田暁神田外語大学名誉教授『異文化コミュニケーションの夜明け』

その場で求められていることに応えていくうちに、
次の道が拓けていく、と私は思っています

私は、異文化コミュニケーションを学ぶことは、自分を学ぶことだと思っています。自分が他の人とどう違うのか、それを自分で発見していく学問だと思います。自分が他者とコミュニケーションをしながら、緊張したり、違和感を感じたら、それがどこから来ているのかを自分に問いかけます。過去の経験、あるいはマスメディアの影響によるものかもしれません。他人とのよりよいコミュニケーションは、まず自分をよく知ることから始まるのだと思います。

学生のみなさんには、他人と違うことを恐れないでほしいですね。大学生ぐらいまでは、他人と同じことをやっていないと怖いとか、集団の中にいたいというピアプレッシャーが強い。でも、研究者の道に進んだ私の場合は、人と違うことがよいほうに働きました。それは障害も含めてです。人と違う視点を持っていなければ、研究者としては駄目なんですね。それは研究者だけに限られたことではないでしょう。他人と違うことをぜひ、大切にしてほしいですね。

そして、他人に対してオープンであることです。誰かが自分に仕事を頼んでくれるとき、その人は私には「これができる」と思ってくれています。自分が思ってもみなかったようなことでも、引き受けてみると、「自分にはこんなこともできるんだ」と気づかされます。

他人からの評価に耳を傾け、相手の期待に沿えるようにがんばっていくことです。最近は、やりたい仕事を見つける「自分探し」のようなものが流行っています。でも、その場で求められていることに応えていくうちに、次の道が拓けていく、と私は思っています。(9/9)

岩隈美穂(いわくまみほ)
昭和44(1969)年生まれ。平成4(1992)年に神田外語大学外国語学部英米語学科を卒業後、アメリカのオクラホマ大学に留学し、異文化コミュニケーションを専攻。博士号を取得した後、アーサイナス大学講師、カリフォルニア大学バークレー校フェロー、アルバータ大学フェローを歴任。平成20(2008)年からは京都大学大学院医学研究科の准教授を務め、「医学コミュニケーション学」の講座を担当する。近年は、家具メーカーのデザインプロジェクトに参加するほか、東日本大震災後には福島県川内村で支援と調査を行うなど活動の領域を広げている。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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