異文化理解の先駆者たち

第1回 古田暁神田外語大学名誉教授『異文化コミュニケーションの夜明け』

当たり前に行っているコミュニケーションとは、
どういうことかをもっと深く知りたかった。

当時の神田外語大学にはゼミナールがなかったので、私は異文研(異文化コミュニケーション研究所)に入り浸っていました。異文研には本がたくさんありました。読んでみたい本をすべて買うわけにはいかなかったので、異文研の図書を借りられたのはうれしかったですね。研究所には、久米先生をはじめ、教員や研究員の方々がいたので、何か疑問があれば、すぐに質問できました。

異文研には他の大学の研究者が訪ねてきていました。所長である古田暁先生や久米先生に会いに来ていたのです。運がよいと、私もそういった先生方とお会いでき、お話をさせていただきました。古田先生は雲の上の存在でしたね。私は久米先生から多くの指導を受けていたので、久米先生の先生、となるとちょっと恐れ多くて、気軽には話しかけられませんでした。

大学4年生になり、進路を決める時期になりました。私はコミュニケーションを専門的に学びたいと思うようになっていました。私たちが当たり前に行っているコミュニケーションとは、一体どういうことなのかをもっと深く知りたかったのです。でも、当時はコミュニケーション学の修士号や博士号を取れる大学は日本にはなく、先生方に相談すると、アメリカの大学で学ぶことを勧めてくれました。コミュニケーション学をもっと学ぶには海外に行かなくてはならないと考えるようになっていきました。

アメリカに留学することを決め、出願に必要なエッセーの準備を始めました。卒業論文はなかったので、コミュニケーションの授業で書いた英文のエッセーを提出することにしました。当時、異文研で、カンザス大学で留学を終えられた直後の長谷川典子先生にお会いする機会があり、長谷川先生にエッセーの添削をお願いしたことがありました。先生には「これは日本人の思考で書いている文章。エッセーとして成立していない」と厳しく指導していただきました。

両親はアメリカへの留学には反対しませんでした。好きなことをやったほうがいいし、私がこれから生きていくうえで、教育が必要だと思っていたようです。平成4(1992)年に神田外語大学を卒業して、翌年からアメリカのオクラホマ大学に留学し、修士課程で異文化コミュニケーションを専攻しました。(3/9)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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