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元国連大使・吉川元偉先生による講演会「語学学習によって広がるキャリア」

2022.08.02
▲6月末日、国連の元特命全権大使である吉川元偉先生の特別講演会を実施しました。語学学習のアドバイスや、長年勤務された外務省や国連での経験についてお話いただきました。

(講師紹介)
吉川元偉先生:1974年外務省入省。国際連合全日本政府代表部特命全権大使・常駐代表、在スペイン日本国大使館特命全権大使、初代アフガニスタン・パキスタン支援担当大使、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部特命全権大使などを歴任。

毎回多くの学生が会場に足を運ぶ、元国連大使・吉川先生の特別講演会。今回のテーマは「語学学習によって広がるキャリア」です。高校時代のアメリカ留学がきっかけとなり、外交官の道を志した吉川先生。高校生当時は英会話のラジオ番組を暗記して、友人と通学時間に英語で内容を繰り返すことで自身の英語力を向上されたそうです。「発音も大切ですが、まずは基礎である英文法を理解することです。中学校で学ぶ文法ができれば、あとは使える単語を増やしていくだけ。生きた英語を聞いたまま真似して発音し、丸暗記することが秘訣です」と吉川先生の具体的な英語学習法に、学生たちは真剣に耳を傾けていました。

▲「まずは生きた英語を真似して発音してみること。リンカーンやケネディなど、著名な人物の演説を丸暗記してもいいですね」と吉川先生。語学学習において大切な7つの秘訣を学生たちに伝授します。
▲「英語学習で大切なのは、会話と文法のどちらだと思いますか」という吉川先生の質問に回答する学生たち。文法よりも会話の方が大切だという意見が優勢です。

42年間に渡る外交官生活では、英語だけではなくフランス語やスペイン語など、各国の要人の通訳として活躍された吉川先生。そのほかにも、カンボジアへの自衛隊派遣、イラクでの人質事件、北朝鮮の核ミサイルや拉致問題、パリ協定の署名など、吉川先生が関わった国家規模の案件は数知れません。ときには難しい判断を強いられる場面が数多くあった国連勤務時代。これほど多岐にわたる公務に携われたのも、語学という軸があったからこそ。語学は自身のキャリアの可能性を広げる無限のツールであることに改めて気づかされます。

最後に学生一人ひとりに「皆さんは何のために英語を学んでいますか」と問う吉川先生。すると学生からはさまざまな意見があげられます。英語を自身の研究や学習に役立てたいという人もいれば、将来仕事で英語を活かしたいという人、単純に英語が好きだから学んでいるという人も。日々自分たちが当たり前のように学んでいる語学。しかし、そもそも自分は何のために語学を学ぼうと志したのか。学生たちは「自分が英語を学ぶ意義」について改めて考え、言葉にすることで原点に立ち返ることができたようです。

▲将来の就職先の可能性を広げるため、海外でボランティアをするため、世界中の人と交流するため、自分の意見を海外に発信するため、海外ドラマを楽しむため、自分に自信をつけるため。語学を学ぶ理由は十人十色です。

―吉川先生より―

自分がやりたいことは変わりゆくものです。だからこそ「今の自分は何のために語学を学ぶのか」を考え続けることをやめないでほしい。語学を習得したあと「自分のやりたいことにどうつなげるか」という問いはとても重要です。いまやニュースも正しい情報とは限らない時代ですし、まわりの人の意見をうのみにせずに、自身の意見を大切にしてください。また、自分の知っている人だけと付き合っていても世界は広がっていきません。ぜひさまざまな国に友人を作ってみましょう。皆さんならそれができるはずです。

▲「やりたいことがたくさんあって何を選択するべきか迷っている」、「自身のキャリアプランはどのように決めましたか」と吉川先生に質問や相談をする学生の姿も。

いつも以上に吉川先生と学生の交流の時間を長くとることができた今回の講演会。「最近なかなか英語力が伸びずに悩んでいましたが、今日の講演会で自分が英語を学ぶ目的を再確認できました。まずは好きな洋楽を丸暗記してみます」という声も。語学習得は一朝一夕ではいかないものだからこそ、自分の夢や目標に結びつけることはとても大切です。自身の目標に近づいていると思えば、授業や課題への取り組み方は見違えてきます。日々の忙しさで見失いかけていた「自身が英語を学ぶ意義」を再確認できた学生たち。彼らはこれから一層モチベーション高く語学学習に励んでくれることでしょう。