異文化理解の先駆者たち

第6回 ラリー・E・スミス『違いに対処し、信頼関係を築くために』

異文化コミュニケーションへの理解を高めることは
我々すべてに恩恵があることなのです

異文化コミュニケーションを学ぶことに関心のある学生たちは、とても正しい道を歩んでいると私は思います。現代は、かつてないほどに異文化コミュニケーションの重要性が増している時代だからです。

どのような将来を描くにしても、またどのような職業に就くにしても、文化というものを意識する必要があります。たくさんの異なる文化が存在する世界ではもちろんですが、自国にいたとしても、自分とは文化の異なる人々との交流は必要不可欠なのです。

そして、現在、私たちの目の前にある地球温暖化や核拡散といった重大な課題にうまく対処していくには、自分とは根本的に異なる人々とコミュニケーションをする準備が必要です。自分と異なる人々との交流を恐れる必要はありません。ただ、「異なる」というだけなのです。

私は異文化コミュニケーションを学ぶ学生たちがいることを大いに喜びたい。異文化コミュニケーションを学び、他の人々と共有することは、我々すべてに恩恵があることなのです。そして、若いみなさんが新たな洞察を得て、これから書いていく論文を楽しみにしています。私もきっとそこから学べるはずだから。(6/6)

ラリー・E・スミス(Larry E. Smith)
1941(昭和16)年生まれ。1962(昭和37)年、米国・アーカンソー州立大学卒業後、1963(昭和38)年から1967(昭和42)年にかけて平和部隊(U.S. Peace Corps)の一員として、タイで英語教師として教壇に立つ。1969(昭和44)年にハワイ大学マノア校で社会言語学の修士号を取得。1970(昭和45)年、イースト・ウエスト・センターの異文化コミュニケーション分野の調査研究員に着任。国際言語としての英語(EIL)やワールド・イングリッシズの分野を開拓してきた。センターの教育訓練プログラム学部長を務めた後、1999(平成11)年に自身のセルフ・リーダーシップに関するコンサルタント会社Christopher, Smith & Associates LLCを設立。近著に『世界の英語と社会言語学 多様な英語でコミュニケーションする』や電子書籍の“SelfLEADERSHIP: Direction from Within”(2014年)などがある。2014(平成26)年12月、学会で訪れたインドのニューデリーで急逝された。

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取材・文:山口剛

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