神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第14回 佐野隆治 学校法人佐野学園会長『大学生の本気を引き出す環境づくり』

学生をどうやってやる気にさせるか
新しい施設を作るときはそれだけを考えてきた

平成12(2000)年に「ミレニアムハウス」を建てました。大学には400人が入る大きな教室はあるけど、講堂がなかった。でも、講堂だけを創ってもおもしろくない。日本文化を教える和室と劇場を作ることにした。劇場を作るのには、池田先生と色々な劇場を回りました。先生は、舞台がどれほど大切かを教えてくださる。特に舞台の奥行きや裏側が広くないと使いづらいという話を聞かせていただきました。建築家はダメです。池田先生のように実際に舞台をおやりになっている方でないと使い勝手が分からない。舞台を使う側が使いやすい劇場。観る人は座っているだけでいいんですから。

6号館ができたのは平成15(2003)年。ELIが発展したSALC(Self-Access Learning Center)とメディアプラザが完成しました。神田外語大学はまだまだ偏差値が高くない。それは学生の学習意欲が低いからです。どうやってやる気にさせるか。新しい施設を作るときはいつもそればかり考えます。学生がやる気になる施設を作っていけば、いつかは優秀な学生が出てきて、偏差値も上がるのかなと思っていますね。

図書館がどうしてもほしいという教員からの要望が多くて7号館を建てました。京都にある平等院の宝物館が小山をくりぬいて作っていましてね。そのイメージなんですよ。だから地面から屋根がずっと芝生でつながっている。図書館だから明るくなくてはいけないのでガラス張りにした。近代的なところもないとね。

6号館ができると、英語以外の言語の先生たちからは「少数言語の私たちだって少しは優遇してほしい」という声が聞こえてきた。そこで7号館の2階に、7つの語学空間を再現したMULC(Multilingual Communication Center)を作りました。言葉を学ぶ環境だから、偽物じゃ困る。買えるもの、作れるものはすべて現地で調達してほしいと制作会社に依頼した。博物館や美術館の展示を手がけている会社です。

タイ語のエリアには、古来からある休憩所の「サーラー」があるんですが、これは上野動物園のサーラーと同じ設計者なんですよ。タイの大使館に相談したら、紹介してくれた。ちょうど上野動物園の建物の改築で来日していたから、こちらも引き受けてくれた。タイでは有名な建築家だそうです。これも運がよかった。

僕は学生たちが外国語を話しているのを観ると、よかったなぁと思いますよね。まぁ、自分のやってきたことは間違っていなかったんだと、少しだけ安心します。でも、すぐに、本当でこれでよいのだろうか。もっと、何かやることはないのかって考えしまう。ひとつやって、またひとつやって、失敗もして。いろんな欠点も見えてくる。そして、あれもしたい、これもしたいと思う。でも7号館まで作って、とりあえず必要なものはすべて揃った。まだ土地はある。あとは、これからの連中が何をやるか、何を作るかですね。(6/8)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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