時代が変わり、増加する学生の語学研修旅行

第5回 河村幹夫ブリティッシュヒルズ初代館長『外国人との交流は文化理解から始まる』

本場のフィッシュアンドチップスに
歓喜した日本カナダ学会の参加者たち

河村幹夫には、ブリティッシュヒルズでの忘れがたい思い出がある。平成9(1997)年に開催された「日本カナダ学会」の年次研究会である。日本とカナダの交流を目的とした同学会の設立は昭和52(1977)年。モントリオールでの駐在経験があった河村は、縁あって同学会の創設会員となった。毎年、主に大学の施設で開催されていた年次研究会だったが、平成9年は河村の発案でブリティッシュヒルズでの開催が決まった。年次研究会に参加するメンバーはイギリスの文化に精通した人物ばかりで、ブリティッシュヒルズでの開催を心待ちにしていた。

事前の打ち合わせでブリティッシュヒルズを訪れた河村は、「フォルスタッフパブ」に行き、現場を仕切っていたパブリカン、ビル・ブラウンに相談をした。河村は最終日のランチをパブで開くことをブラウンに提案。メニューはフィッシュアンドチップスにしてほしいと頼んだのだ。そして、河村は彼にある頼み事をして、ブリティシュヒルズを後にした。

年次研究会の最終日、会議を終えた参加者たちはフォルスタッフパブに集まった。英字新聞に包まれたフィッシュアンドチップスが配られた。参加者たちからは歓喜の声が上がった。

イギリスでフィッシュアンドチップスと言えば、スタンドで購入するファストフードである。新聞紙の袋に入れられた揚げたての魚とポテトのフライに塩やビネガーを振りかけて食べるのがイギリス流だ。本場さながらのパブで、新聞に包まれたフィッシュアンドチップスをいただく。そして、新聞はきちんと英字新聞を使うという徹底ぶりだ。

打ち合わせのとき、河村はブラウンが英字新聞を毎日読んでいることを確認し、学会のランチで使えるように保管してほしいと頼んでいた。日本とカナダの交流に尽力する人々が、福島の山中に現れたイギリスの村で本場のフィッシュアンドチップスを味わう。ブリティッシュヒルズと河村のもてなしに、イギリス通の参加者たちが心から喜んだエピソードである。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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