神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第5回 河村幹夫ブリティッシュヒルズ初代館長『外国人との交流は文化理解から始まる』

時代が変わり、増加する学生の語学研修旅行
イギリスの正式なマナーを学生に厳しく教えた

到着したふたりを出迎えたのは佐野隆治だった。佐野は、唯一完成していた職員用の宿泊施設に泊まり込みで現場の指揮を執っていた。佐野は河村幹夫を案内しながら、なぜ本物のイギリスを疑似体験できる施設を建てなければならないかを説明した。

半信半疑だった河村もやはり福島の工事現場を体験し、そして佐野の話をじっくりと聞いたことで、この事業が本物であることを認識したのである。そして、その場で「佐野さんにお世話になってよいと思いますよ」と川田雄基に伝えたという。三菱商事で自分の面倒を見てくれた上司が自分の転職に納得してくれたことに、川田はほっと胸をなで下ろした。

平成6(1994)年7月、国際研修施設「ブリティッシュヒルズ」が開館した。初代館長に就任した川田は、バトラーやプロトコル・オフィサーたちとともに、本式のイギリスのマナーを再現し、訪れる客人たちをもてなした。イギリス大使も訪れるようになり、ゴルフのコンペティション「アンバサダーカップ」も開催された。

学生たちの研修も当初は神田外語学院や神田外語大学だけだったが、修学旅行が従来の観光旅行ではなく、教育的な体験に比重が置かれるようになると少しずつ他大学や高校からの宿泊研修の来客も増えてきた。川田はリフェクトリー(食堂)での服装やマナーを徹底するなど、イギリスの文化を厳しく教えた。

川田の上司であった河村も三菱商事を辞めて、大学教授に就任した。「三菱商事だけが人生じゃない」という言葉通り、もうひとつの人生を歩み出したのである。河村は大学で教え始めると、ゼミの学生を連れてブリティッシュヒルズを訪れるようになった。夏になると、家族や友人たちとも訪れ、大好きなテニスに没頭したという。実は、河村自身の人生もイギリスを抜きには語れないのである。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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