神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第10回 古田暁神田外語大学名誉教授『異文化コミュニケーションの夜明け』

泊まりがけで同志と語り合う夏期セミナーが
新たなる「多文化関係学会」を誕生させた。

神田外語大学が開学した当時、「異文化コミュニケーション」の講義をカリキュラムに組み込んでいる大学は数えるほどしかなかったという。「異文化コミュニケーション」を学生たちに教えるには、科目を教えられる教員が必要となる。教員自身も「ファカルティ・デベロップメント」と呼ばれる研修を欲していたのである。異文化コミュニケーション研究所では研究者たちを対象にした「幕張夏期セミナー」の開催を始める。第1回は平成3(1991)年9月13日から15日にかけて開催された。テーマは「日本の大学における異文化コミュニケーション論の教育と方法」。全国から30数名の研究者が集まり、3日間にわたる講義と議論が行われた。古田のもとでセミナーの実務を取り仕切った久米は当時の様子をこう振り返る。

「参加した先生方のうち、異文化コミュニケーションの専門家はほんの数人で、それ以外の先生方の専門は、歴史学や社会学、哲学、国際関係などさまざまでした。先生方はそれぞれの分野で、『いくらやっても世の中は変わらない』という行き詰まりを感じていたようです。閉塞感を打破するために、今まで知らなかった異文化コミュニケーションを学べば、何かおもしろいことができるのでは、と考えている先生方が集まっていました」

この夏期セミナーは宿泊形式をとったことで、参加者の交流も深まり、全国の研究者たちの結束を固め、異文化コミュニケーションを広めることにも一役買ったのである。

その後も夏期セミナーは続き、平成7(1995)年からは会場を福島のブリティッシュヒルズに移した。中世英国のまさに異文化の環境のなかで研究者たちは活発な議論を交し、休憩時間にはビリヤードやテニスを楽しみ、ライブラリーのソファでリラックスしながら語り合った。この時期になると参加者も増え、講師を含めて70名という受け入れの限界にまで達していた。久米によると、このセミナーでの自由な議論が契機となって、新しい学会を求める声も上がった。その有志たちによって、平成14(2002年)に異文化コミュニケーションをテーマとする「多文化関係学会」が立ち上がったのである。初代会長には当時、神田外語大学の学長を務めていた石井米雄が就任した。(12/15)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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