LIFE
2021/11/05
タイ料理が世界でいちばん美味しい。
世界各地の料理を味わってきた探検家で作家の高野秀行はこんな感想を述べていました(出典①)。
今回はそんなタイ料理のひとつ「カオマンガイ」(タイ風鶏飯)のお手軽&手抜きレシピをお伝えします。
カオマンガイはゆでたり蒸したりした鶏肉をご飯のうえにのせ、そこにタレをかけただけの、とってもシンプルな料理です。
タイの街を歩けばカオマンガイ食堂にあたる、そのくらい庶民にとって身近です。
鶏飯ともよばれ、シンガポールやマレーシアにもそっくりの料理がありますが、タレの味付けが違うようです。食べ比べてみたいなぁ。
下はタイのカオマンガイ屋台の写真です(写真①)。看板には並盛30バーツ(約100円)、大盛40バーツ(約135円)とあります。
ちなみにタイ語のカオマンガイの「カオ」はご飯、「マン」は脂っこい、「ガイ」は鶏のことです。「カーオマンカイ」と表記したほうが正しいのかも知れませんが、すでに定着した「カオマンガイ」の呼び名に倣いました。
以下では日本の家庭でも簡単に作れる方法を紹介します。
特別な調味料・材料は、シーズニングソースだけです
(写真②:Amazon.co.jpやKALDIなどで買えます)。
楽ちんレシピなので一人暮らしの大学生にもおススメです。
鶏肉のゆで汁を炊飯やスープにも使いまわせる点では、ちょっぴりエコな料理でもあります。
【レシピ】
所要30分~1時間
4人分
(1) 鶏肉をゆでる
◎材料 ・鶏肉(もも肉、骨なし、皮付き可)600g ・ショウガ100g ・水1.5リットル ・塩少々
◎作り方 ・鶏肉は火が通りやすいようフォークでぶすぶす突き刺す。 ・鍋に水、鶏肉(切らずにそのまま)、ショウガ(皮付き、ぶつ切り)を入れ、塩をふって、鶏肉に火が通るまでゆでる(写真③)。途中でアクをとる。ゆで過ぎないのがポイント。 ・鶏肉を鍋から出し、皮ごと縦長に切る(大きさはトンカツを一回り小さくしたくらい)。 ※鶏肉をゆでたときの水はあとで使うので捨てないで! |
(2) ご飯を作る
(面倒なときここは飛ばして普通の白米で代用してもよい)
◎材料
・鶏肉のゆで汁
・米2合
・ニンニク2片
・油30g
◎作り方
・ニンニクをみじん切りにする。
・フライパンに、油、ニンニク、炊く前の米をいれて炒める(写真④)。すぐにニンニクの良い香りがしてくるので、そこで火をとめる。
・先ほど鶏肉をゆでたときのゆで汁と、炒めた米をつかって、いつもどおりご飯を炊く(電気炊飯器や土鍋などで)。
(3) スープを作る
◎材料 ・鶏肉のゆで汁 ・好きな野菜(例:大根1/4、ニラ半束、ニンジン1本) ・コンソメ15g ・シーズニングソース5g
◎作り方 ・野菜を切る(いちょう切りでも、細切りでも何でもOK) ・先ほど鶏肉をゆでたときのゆで汁に、野菜、コンソメ、シーズニングソースを入れて煮る(写真⑤)。 ・盛り付けのときショウガは取り除く(食べない)。
(4) タレを作る ◎材料 A 酢35g A しょうゆ35g A シーズニングソース25g A 砂糖 20~25g 味噌25g ショウガ15g(すりおろしておく) 鷹の爪1~2本(量はお好みで)
◎作り方 ・鍋に材料Aを全て入れ混ぜながら少し煮る。 ・砂糖がとけたら味噌を混ぜ入れ、火を止める。 ・大人用はすりおろしたショウガを入れ、さらに鷹の爪をハサミで切りながら投入する。パクチー好きな人はここに加えるとよい。 ※子供用はショウガや鷹の爪を入れないのがオススメ。 |
以上をお皿に盛り付けて完成です(写真⑥)。
タレを鶏肉にたっぷりかけて食べてください。
本当はタレを作るときは、大豆から作った発酵調味料ソイビーンペースト(タオチオとネット検索するとヒットします)を使います。でも今回は日本の味噌で代用しました。
それから輪切りにしたキュウリを皿に添えると一層タイの雰囲気がでます。
タイ料理はバリエーション豊富です。
一度食べて苦手と思った人も色々試してほしいなと思います。
きっと好きな味に出会えるはずです。
考えてみよう♪
さて先にのべたとおり、鶏飯(チキンライス)は他の国にもあります。
下の写真⑦はシンガポールの鶏飯です。
見た目はタイのカオマンガイとそっくりですね。
シンガポールでも鶏飯は庶民の味の代表ですが、そのルーツは海南島からやってきた中国系の人たちが、余った鶏肉の切れ端とスープで作ったまかない食だそうです(出典③)。
こうした各国の鶏飯とタイのカオマンガイは一体どんな関係にあるのでしょう?
タイの老舗カオマンガイ屋も中国系の人たちがはじめたのでしょうか?是非だれか調べてみてください。
【出典】
①高野秀行2015『移民の宴』講談社.
②山田均2003『世界の食文化⑤ タイ』農文協.
③田村慶子2019「シンガポールの食」信田敏宏・綾部真雄・岩井美佐紀・加藤剛・土佐桂子編『東南アジア文化事典』丸善出版、p.380-381.
※写真①(カオマンガイ屋台の写真)はタイのダーさん、写真⑦(シンガポールの鶏飯の写真)は京都大学東南アジア地域研究研究所の芹澤隆道さんより提供いただきました。ありがとうございました。
文&写真 和田理寛