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祝優勝!!ポルトガル語の全国弁論大会

2021/11/29

ブラジルは多様性の国です。南米大陸の半分を占める大きな国ですので、北と南では気候も違えば食文化も違います。海沿いの地域と内陸でも、景色が全く違います。飛行機でブラジル国内を飛んでいると、眼下の景色がどんどん変化していき、飽きることがありません。ブラジルに足を運ぶたびに、「うーん、まだまだよくわからない面白い国!」と実感しています。

今回ご紹介するのは、そんなブラジル・ポルトガル語を日々学び、奮闘している学生たちの様子です。

 

本学ブラジル・ポルトガル語専攻では例年、学内で詩の暗誦大会を実施しています。また学外で実施される全日本学生ポルトガル語弁論大会にも学生が積極的に出場しています。

 

昨年度はコロナ禍のため、残念ながら学内での暗誦大会も、学外での全国弁論大会も実施できませんでした。学生たちは、今年は例年以上の熱量で大会に臨みました。練習はブラジル人の先生方に指導してもらいながら行います。出場予定者たちは練習中もポルトガル語で先生とやり取りし、語学力を向上させています!

今回の大会で教員が驚いたのは暗誦の質です!詩は単に覚えて話せばいいというものではありません。モザンビークやブラジル、ポルトガルの難解な詩の内容を理解し、強弱や表現を深めていく必要があります。今回、どの学生も詩をしっかりと暗記し、さらに詩の世界を表現しながら観衆の前で堂々とした暗誦をしていました。1年生の出場者はポルトガル語を学び始めてまだ半年なのに、甲乙つけがたい発表でした。審査員となった教員は非常に頭を悩ませて審査をしました。

【1年生の出場者たち】

 

2年生は昨年度、コロナ禍によりオンラインで授業を受けざるを得ませんでした。思うように学べなかった時期があった分、対面の語学講義が始まった今年は並々ならぬ熱意で勉強しています。その思いが詰まった大会でした。

【2年生の出場者たち】

 

そして11月20日、京都にて全日本学生ポルトガル語弁論大会が開催されました。本学の代表として参加したのは、3、4年生の4名です。この大会では、優勝者に奨学金付きのポルトガル留学(1年間)の権利が副賞として与えられます。

(今回は出場者以外は会場に入ることができませんでしたので、出場した学生に写真をお願いしました。)

【ブラジル・ポルトガル・日本の国旗】

 

ドキドキの結果は...!

本学からの出場者、加藤明楠(かとう・はるな)さんが優勝し、駐日ポルトガル大使杯を受賞しました!!!そしてさらに2名が入賞しています!!! 

優勝◇ 駐日ポルトガル大使杯 加藤明楠さん(4年)

「どっちが大事?心の選択と社会のルール」

入賞◇ 駐大阪ポルトガル名誉領事賞 渡辺風香さん(4年)

「石の道に咲く花」

入賞◇京都ラテンアメリカ文化協会賞 小林優佳さん(3年)

「美味しいクレープ」

 

出場者はこの日のために弁論内容を練り、ポルトガル語の文章を推敲し続け、そしてそれを暗記し、表現にも注意を払いながら練習を行ってきました。そして当日、ブラジルやポルトガルの大使館の方々などの審査員の前で、堂々と自分の主張を述べました。

3人が入賞したことも素晴らしいですが、それよりも何よりも、当日までの練習での努力に拍手を送りたいです。どの出場者も、この過程で大きく成長し、語学力を伸ばしており、それこそが本当に素敵なことだなと、教員として感動しています。

詩の暗誦や弁論では、ポルトガル語として自然な発音・表現で話すことが重要です。それだけでなく、弁論の内容も重要です。語学学習全般に言えることは、ネイティブのような発音で話すことが重要なのではなく、伝えたい内容を心に持ち、それを伝えようとする意欲が重要だということです。今回、詩の暗誦大会や弁論大会に出場した学生たちは、この意欲をしっかりと持っていました。

例えば小林さんの「美味しいクレープ」はタイトルから想像できませんが、社会における公正な富の分配の在り方を弁論しています。クレープという身近な例から公正な社会を考える内容に、聴衆は引き込まれたことでしょう。惜しくも入賞を逃した片岡さんは、「自分自身を知る方法としての挑戦と反省」というタイトルで、挑戦し続ける中で自分が何者かわかってくる、と熱く語りました。ブラジル留学を目指す片岡さんのチャレンジ精神が伝わる弁論でした。

 

流暢なポルトガル語で思いを伝える3、4年生の様子を見て、1、2年生は刺激を受けていました。「来年は必ず弁論に挑戦する!」と早くも決意を述べに来てくれた1、2年生も少なくありません。コロナ禍により、大学生が大きな行動の制限を受けているのは確かです。そんななかでも学生たちは、自分たちの力で成長の場を創造しています。

大学は、自分次第で学びの幅が大きく広がり、深まっていく場です。教員はいつでも手助けできるようスタンバイしながら、学生自身の積極的な前進を見守っています。そして学生の姿から、実は教員も刺激を受けています。共に刺激し合うという大学本来の意義を、二つの大会を通じて実感できました。

さて、次は何に夢中になろう?!

 

文 奥田若菜(ブラジル・ポルトガル語専攻教員)