神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第26回 長谷川貢神田外語学院元教務センター長 教育の質と成果にこだわる専門学校を目指して

景気回復により入学者数がふたたび減少
社会情勢に左右される専門学校の経営

入学者数が復活したのはつかの間でした。平成17(2005)年に1028人だった入学者数は、平成18(2006)年に200人以上減少し、平成20(2008)年には過去最低の705人にまで落ち込みました。原因は日本経済の回復です。日経平均株価は景気回復の期待から上昇し続けていきました。大学の就職率も回復し、経済的に余裕のある家庭は子どもを大学に進学させるようになったのです。

水野学院長からは「長谷川くん、幹部には『専門学校をやめて、神田外語大学だけにしようか』と考えている人もいるよ」と言われた記憶があります。入学者数のかつてない減少に経営陣のショックも相当大きかったようです。

神田外語学院の入学者数は、社会情勢によって変化する大学生の就職率と反比例するように増減しています。つまり、学院は大学と学生の取り合いをしているのです。高校生からすれば、語学は、大学でも、専門学校でも学べるので進路を変更しやすい。少しでもメリットがある方を選ぶのです。学院の経営陣は、安定的に入学者を確保するためにはどうしたらよいか真剣に考え始めていました。

平成20(2008)年の秋、リーマンショックが起きました。日本経済はふたたび大打撃を受けて、株価は最安値を更新し続ける日々。アメリカではクライスラーやGM(ゼネラルモーターズ)が倒産し世界同時不況に突入。日本でもJALが経営破綻しました。戦後、日本の大人たちが信じてきた「大企業神話」は崩壊し、高校生たちも、有名大学に進学して大企業へ就職することに疑問を抱くようになります。この不況によって、神田外語学院の入学者数はふたたび増え始め、平成22(2010)年には志願者数が1000人を超えました。

平成22(2010)年4月に糟谷幸徳さんが神田外語学院の副学院長に就任しました。糟谷さんは、みずほ銀行の出身で財務と経営のプロです。佐野隆治会長(※1)の方針のもと、「学院は女子学生が7割以上を占める。校舎がきれいかどうかは重要な学校選びの決め手になる」ことを明言し、次々と学習施設の新設や校舎の改装を行いました。実際、数多くの新入生たちが「この校舎で学びたいと思った」と志望動機を書いています。きれいで充実した学習環境が、オープンキャンパスなどで訪れた高校生を魅了しました。

※1 佐野隆治:昭和9(1934)年、佐野学園の創立者の佐野公一、きく枝の長男として生まれ、昭和38(1963)年、経営に参画。第3代理事長(昭和63(1988)年~平成22(2010)年)として、神田外語グループの発展において中心的な役割を果たした後、平成29(2017)年3月に永眠するまで会長を務めた。享年82歳。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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