神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第23回 酒井邦弥神田外語大学第5代学長 『学生が成長する舞台を作るために』

あなたの大学なんだから、
いつでも帰ってくればいい

世界は今、大きく激動しています。アラブの春でイスラムの国々の民主化が進んだと思えば、内戦が激化した。イギリスがEUを離脱して、ドナルド・トランプが大統領になった。人々は反グローバル主義や格差社会の進行を危惧している。けれど、本当の問題は資本主義や民主主義に限界が来ていることだと僕は思います。学生たちは、そんな時代を生きていかなくちゃいけない。

難しい時代だからこそ、人と人の交流、異文化理解、異文化交流が重要性を増すのです。我々は平和の礎はコミュニケーションだと心底信じて、腹をくくるしかない。平和の礎を築くことはたやすくない。願っていても築かれはしない。じゃあ、そのために何をやるんだ? それが問われる時代になると思います。

僕は今こそ日本だと思います。絶対に日本の考え方が必要とされるはずです。こんなに安全な国は他にないし、こんなに成熟した国民も他にいない。人間にはあるべき姿がある。それを日本が発信していかなくちゃいけないと思います。

神田外語大学の学生たちは、日本で、世界で、がんばっていくことでしょう。だからこそ僕は、大学が卒業生の居場所になるべきだと思う。卒業して何年経っても、「あなたの大学なんだから、いつでも帰ってくればいい」と僕は言いたい。

卒業生は数年ごとに職場を変え、キャリアアップをしていくでしょう。僕は、職場能力ではなく、職業能力をつけるべきだと学生に指導しています。会社が変わっても通用する能力。外国語と文化理解の能力はその最たるもの。だから、学び直しが必要だと思ったら神田外語に帰ってくればいい。それだけじゃない。神田外語は帰ってきてほっとする場所であり、誰かに泣く場所であってほしい。

振り返ってみれば、神田外語グループとの運命的としか呼べない縁でつながってきました。結局、こうやって神田外語大学に自分の居場所を見つけて、学生たちに追い風を吹かせることに生きがいを感じられたのなら、銀行員なんかにならずに、まっすぐ教育界に来るという道もあったかもしれません。そのことを佐野会長にお伝えしたら、「銀行時代があるから、今があるんじゃないですか」と正されました。まったくその通りです。また、本質を言われました。

色々としんどいことはあったけど、人生はやっぱりなかなかのものですよ。(7/7)

酒井 邦弥(さかいくにや)
昭和19(1944)年5月、中国・北京生まれ。昭和43(1968)年3月、東京外国語大学ドイツ語学科卒業。同年4月第一銀行入社。平成11(1999)年第一勧業銀行専務取締役。平成12(2000)年みずほホールディングス副社長。東京外国語大学理事を経て、平成22(2010)年4月神田外語大学第5代学長に就任。趣味はクラシック音楽の鑑賞で、後期ロマン派音楽をこよなく愛している。

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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