神田外語グループのいしずえを築いてきた人々

第6回 川田雄基ブリティッシュヒルズ名誉館長『本物の英国があることに誇りを持つ』

神田外語の学生でもポロシャツなんかで来ると、
「着替えるまで食べさせないぞ」と追い返された。

では、ブリティッシュヒルズの草創期のお話をしましょう。

ブリティッシュヒルズの中心的な建物は、マナーハウスです。マナーハウスとは、英国の荘園領主の屋敷です。だから、一般のホテルとは違う。マナーハウスには主人と奥方がいて、客人が来ると、"Welcome to my manor house."と出迎え、客は"Yes, Sir."と答える。そういう格式がある場所なんです。マナーハウスの主人である佐野会長は、神田外語グループを束ねる総裁だから東京にいなきゃならない。私の役目は、留守の城を預かる「城代家老」だと決めました。

とにかく本物の英国を再現する。パスポートもビザもいらなくて、飛行機に乗らなくて汽車に乗って来られる英国。寸分違わない英国にするには、まやかしではダメです。擬似の擬似研修では何の意味もない。せっかく、材木から家具にいたるまで英国から運んで建物を造ったのだから、それにふさわしいソフトが必要です。私自身、これだけの場所を預かるのなら、本物の英国にしなきゃいけないと思いましたね。

マナーハウスとしてあるべきサービスを実現するために、英国のバトラー(執事)を採用しました。ピーター・スタンブリーという人物です。英国には執事養成学校があって、彼はそこで学んだ。養成学校を卒業したバトラーたちは、紳士のなかの紳士。彼らはバトラーの資格を得ると、中東の富豪に雇われたり、イタリアのトスカーナ地方に残る本物のマナーハウスのバトラーになっていく。バトラーは、立場は使用人であっても、軍隊で言う士官と同じ立場だから、マナーハウスの主人でも「ミスター・スタンブリー」と敬称を付けて呼ばなくちゃいけない。

バトラーの下には、アンダーバトラーやヘッドウエイターといった部下たちがいて、リフェクトリーの配膳などを仕切っていく。皿1枚並べるのにも、プレイスマットを使って正確に位置を決めていく。宴会ひとつにしても、純英国風のプロトコル(儀礼)に乗っ取ってやっていた。その皿にしても、学生たちが使うのはロイヤルドルトン。日本ではずいぶん高価な皿ですよ。階上のVIP用フロアではミントンを使う。皇室の方が見えても困らないようなクラスの皿です。

そもそも、リフェクトリーというのは、英国のパブリックスクール(寄宿学校)の集会場のこと。学生たちが集まって、お祈りをしたり、学長が訓示を述べたりする場所です。本来であれば、燕尾服に白の蝶ネクタイを結んで集まる。だから、ドレスコードだけはきちっとやろうということになった。神田外語の学生であっても、ポロシャツなんかで来ると、バトラーに「着替えてこい、着替えるまで食べさせないぞ」と追い返された。

学生が全員集まると、パブリックスクールの伝統にのっとって、バトラーが聖書の一節を読む。教師たちが入ってくると、英語で「起立、礼、着席」とやる。今の学生はこんなことやったら逃げちゃうんじゃないかと思ったけど、「レトロで面白い!」って好評でしたね。最初の頃は、「リフェクトリーとは、英国のバブリックスクールの集会場で……」と説明していましたが、映画『ハリー・ポッター』が公開されてからは、説明の必要がなくなった。あれこそ、パブリックスクールの典型ですからね。(3/7)

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写真撮影:塩澤秀樹
取材・文:山口剛

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