神田外語大学同窓会

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ラテンアメリカに魅了されて〜海外で働く夢を実践中〜

卒業生の皆さま、初めまして!小原慎二と申します。2013年にイベロアメリカ言語学科ブラジル・ポルトガル語専攻を卒業しました。現在、私は日本のメーカー企業からの駐在員として、アルゼンチンのブエノスアイレスで日々奮闘しています。

気が付けば、大学卒業からあっという間に10年が経ちました。この機会を通じて、自身のキャリアとKUISとの強いつながりを振り返りたいと思います。

現在のアルゼンチンでの仕事〜試行錯誤と成長の日々〜

 私は大阪のスポーツ用品メーカーである㈱シマノから派遣され、アルゼンチンで自転車コンポーネンツの販売代理店の中南米営業担当として働いています。現地駐在員としての主な仕事は、メキシコ以南の14か国にある完成スポーツ自転車Assemblerに対するB2B(注1)営業や採算管理です。

「自転車を売っているの?」とよく聞かれますが、実際は、自転車そのものを販売しているわけではありません。私たちは世界のトップレーサーが使用する競技用自転車から生活に密着した自転車に至るまでのさまざまな自転車部品の販売営業を行っています。

中南米と一括りに言っても、たくさんの国が存在し、国土も広大。各国を駆け回り、いろいろな壁にぶつかりながら、試行錯誤を楽しむ毎日です。同時に、現地社員の教育や採用プロセスなど、日本よりも広い職務範囲に関わっています。こうした経験を通じて、自己成長を実感しています。

(注1)Business to Businessの略で、企業(法人)間から企業(法人)への企業間取引のこと。

寄り道が人生の大事な時間になった〜挑戦と冒険の大学生活〜

 改めて振り返ると、大学時代から不思議なご縁とつながりによって、今ここにいるのだと感じることができます。高校時代の3年間はサッカー一筋!3年生の最後の選手権大会で燃え尽きた後、ようやく将来のキャリアについて真剣に考えるようになりました。

幸いにも、中学・高校では比較的英語が得意だったので、新たに第三の言語を学びたいと思い、KUISのオープンキャンパスに参加。卒業生や先生方の熱意を感じた結果、私は、『サッカー = ブラジル = ポルトガル語』という単純な方程式に導かれ、 KUISのポルトガル語専攻に入学しました。

ポルトガル語専攻(通称ポル語) の同級生は皆、高いモチベーションを持ちながら切磋琢磨していたので、新しい言語を学ぶには非常に恵まれた環境でした。一方で、学べば学ぶほど、私はブラジルという国に魅了されていったのです。同時に、当時は国際協力にも興味を持ち始めていました。

そこで、大学2年の時に1年間の休学を決意し、サンパウロのスラムで活動する教育プロジェクトに参加。この1年間は、社会貢献の難しさを知ると同時に、ブラジルという国を通して自分の視野を広げる貴重な機会となりました。

復学してからの2年間は、ゼミでの国際協力研究や中南米政治経済の勉強、ポルトガル語とスペイン語の学習に加え、サークル活動やバイトに明け暮れる毎日。また、長期休みのたびに、好きな自転車を担いで、中国の奥地や東南アジア、そしてアメリカのRoute66を走りました。気が付けば、大学4年が目前に迫っているではありませんか。

そこで2度目の休学を決断。自分の目でブラジル以外の中南米をもっと見てみたいと思ったのです。そして、好きな自転車を使って、1年間、中南米18か国を放浪する『流学』という冒険的なモラトリアムに突入することに。この11,000kmの旅を通じて、異文化との交流や自己成長を体験し、現在のキャリアにつながる多くの人々と出会いました。

結局、2年間も休学したので、気が付くと、同級生は皆、とっくに卒業。中南米に魅了され続けた6年間の大学生活でしたが、大学内外で幅広く交友関係を築くことができました。今でも連絡を取り合うことができる人々は、私にとって人生の宝物です。

散々寄り道をした大学生活も終盤に差し掛かり、就活を進める中、「人生何とかなるだろう」というよくわからない漠然とした自信がありました。

そんな中、オファーを頂いた企業の中で「海外でのビジネスチャンスが大きい」と感じたことや、大好きな『自転車』との縁を感じたことから、シマノに入社することを決めたのです。

新たな挑戦と成長〜アルゼンチンのビジネスの現場で〜

入社後、私は大阪で生産管理と海外営業に一心不乱に取り組みました。その間に結婚し、息子も生まれ、まさに激動の8年間。その中で、海外でビジネスを学びたいという思いも日増しに強くなるのを感じていました。

そんな時、なんと、海外赴任の打診が!上司から「小原、海外で働きたいか」と尋ねられた時、行先も聞かずに即座に「はい」と答え、上司を驚かせました。しかも、家族には事後報告。今では、それは良い思い出話となっています。

現地では、プロジェクト運営やスペイン語を使った社員教育に携わることになりましたが、全てが初めての経験でした。「百聞は一見に如かず」と言いますが、学生時代から海外で働くことを夢見ていた私は、夢に浸る時間もなく、毎日が戦いと学びの連続です。そして、現地の社員には本当に支えられていると実感しています。

中南米を、旅行者ではなくビジネスマンとして飛び回る中、多くの失敗から学びを得ています。失敗からの気付きによって、成長しているのです。そして、いつも強く感じるのは、皆がハングリーでエネルギッシュであるということ。

ブラジルやメキシコ、アルゼンチン、他の諸国も、まだまだ成長途中でありながら、喜びを感じながら進化していることが感じられます。学生時代の印象とはまた違った魅力を発見し、時には苦しい経験もありますが、改めてラテンアメリカに魅了される日々を過ごしています。

アルゼンチンと言えば“Asado =ステーキ”
レストランで食べる牛肉もいいですが、週末友人・家族らと家で食べるのは格別です。

家族に感謝、今もこれからも

 2021年末にアルゼンチンにやってきてから、あっという間に1年半が経ちました。妻は快く私と一緒にこちらに来てくれて、現地での生活を支えてくれています。息子も地球の裏側からやってきたにも関わらず、現地でたくましく成長し続けてくれていることに感謝しています。

これからの数年間は、アルゼンチンでの仕事を成功させるだけでなく、日本から遠く離れた国にいる息子にも多くの経験をさせたいと思っています。この記事を書きながら、学生時代の長い寄り道が今の自分につながっていることに気付かされています。

最後に、先日開催したKUIS会@Buenos Airesについて

先日、Buenos AiresでプチKUIS会を開催しました。ひょんなことから、現地で活躍するスペイン語専攻2017年卒業の牛腸さんとブエノスアイレスで知り合い、「学生と卒業生がつながるKUIS会できたらいいな~」と意気投合して、企画したのです。

現在、ラプラタ大学に留学中の山本さん、渡邉さんや、私費留学中の伊盛さんが、そして、オンラインでもスペイン語専攻2020年卒業の佐藤さん、河野さんが参加。急な呼びかけにも関わらず、皆さんが集まってくれて、久しぶりに大学生のフレッシュな話や、活躍する卒業生の話を聞くことができて、大いなる刺激を受けました。

在学時には顔を合わせる機会もなかったメンバーがこうして集まれることに、KUISの素晴らしさを感じます。いつか『中南米KUIS会』を開催できたら素晴らしいですね。ここブエノスアイレスでも、さらなる交流の機会を作っていきたいと思っています。

今回、ブログ投稿の機会をいただき、ありがとうございました。KUISの在学生および卒業生の皆様の益々のご活躍を心からお祈りしています。

2013年卒業
イベロアメリカ言語学科ブラジル・ポルトガル語専攻
小原 慎二

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